噂の兄弟
兄の噂はお城の人たちですら知っているレベルみたいだった。王様に命じられて来た男が鳴らした我が家の壊れている恐ろしいチャイムが家中に轟いて、そのショックでお母さん、お義父さん、犬のジャクリーヌは死んだ。
もちろん一人目が母だ。急な来訪に鳴り止まない心臓を労りつつ半腰の状態でドアを開けたら立派な城の使いの人が立っていて、キャッと悲鳴を上げてお母さんは死んだ。次が義理の父親で、彼女への愛の証明のため、ホッホォイッと彼はナイフで腹を掻っ捌き、死んだ。ジャクリーヌはよく分からないけど突然の状況すぎてショックを受けたのか床に倒れるとそのまま動かなくなった。ちゃんと死んだ。
気の毒に、使いの人は困惑し、ドアを押さえておかないといけなかった。ぼくらが帰ってくるまでずっとそうしていたのだ。二人と一匹が目の前で死んだのだから、ドアを閉めるなんて真似は彼には不誠実に思われたのだ。
兄とぼくがいつものように殺し合いをえんじながら下校すると、幼いぼくらのブレーキ役をしてくれる存在がまとめてくたばってくれていた。思わずぼくはブリーフに仕舞いこんでいたピストルを取り出しじぶんの頭に押し付けるほかにないという精神状態になったんだけど、また兄に先手を打たれてしまった。裏拳でぶっ飛ばされ、脳しんとうを起こし、隠し持っていた武器を全部奪われ、ネットに出品され、ダークなユーモアのある説明文を兄が上げ、それがバズって、使いの人がいつまでもドアを押さえたままなので、色んな人がうちに上がり込んできて、ぼくにまでインタビューしにライターが発射されて来た。
「この国一番の戦士になるだろうと噂されるお兄さんを持つって、どんな気分でしょう?」
「そのへんってそいつの大福の食い方によるって感じじゃないですか? イケメンでもブスでも、強々でも弱々でも、きっしょい大福の食い方してんの見たら萎えるっす。ガチで」




