ネイル
「Ain't In LA」がリピートでかかっている部屋。
クローゼットに無理やり押し込んだ過去なら、もう爆発しそう。日曜日は涙の味だけがする、毎週そう。
誰かは知っているのかな? いっぱいいっぱいかわいそうになった後の少女の読む本が、何だったら町内会的に許されるのかを? 『ベル・ジャー』? カミラ・グルドーヴァの短篇集? 八木重吉? 最近の私が考えていることといえば、高校のころ好きだったクラスメイトが前期ぶん熱中していた漫画のこと。仮に今彼と連絡を取れたとしたって、その漫画について、その当時彼の内面で起こったことについて本音を話してくれたりする可能性なんて、そんなの全然ないわけじゃない? というか、本人の記憶に残っていないことさえあるかも。私の記憶の中にある、後ろ側の席のあの少年の伏せられた目しか今や残ってないなんてこと、あるかも。つまり私がいいたいのは本人も含めて、誰も誰かを持つのなんて不可能なんじゃないかっていうこと。
きこえないものだけを聞いていたい。
忘れたほうが絶対いい約束があった(それもひとつの手かもしれないよね)。
私たちには不要なアドレナリン。
銀行に預けているのは過去の辛い日々。
再放送の旅、割られない卵。
町に居場所がない。
溜息すらも甘やかなもの。
起きぬけに騙そうとしてくる眠たい歌すべて。
最前列でした約束があるんなら忘れた体で来なくちゃいけない、頼れるものがないこの町では切なさだけが舌に載る、なぞなぞ始まったら座りこむしかない私、カレンダーむりくり騙してみるべき、傷つけた町の傷は一つだけ君ノモノニナル。
そして横断歩道を悠々と歩いて渡ってくる運命なんかも知らない顔してたいと思う、見かけたなら方向転換していいかな、私だけは。
じぶんの悲しみが降る場所だって、わかってて行くの。
私に付いた傷は、全部つまらない傷。そう誰かが決めつけた。
人生はいらない。
留守番電話サービスは要らない。




