678/716
景品棚に目を向けないまま指を差そう
離れたところにある屑入れ籠に向かって丸めた紙屑を放る瞬間、信号待ちしている人の生涯トータル時間のことが私の頭には浮かんでいる。
私が生きながらえることは、私に与えられた罰。
生き続けるということは、間違いを犯すのを避けたいと思う若い心を、ゆっくりと殺していくことを意味してる。
生き続けるということは、美しさと何度も出会い、出会っていながらそれを完全に見過ごすことを意味してる。
乾くこと、潤うこと、望んでいないものを受け取ること、奪われること。何色にもなろうとしない心の抱える矛盾、一つの躰に与えられる罰。そしてとめられない思考じたいも同じく私に与えられる罰だった。
両つの目があることは罰。
舌が抜かれずに収納され続けているのも、いつも聞こえることも、風を感じることも私に与えられる罰。
目が覚めても、いつも必ずもう一度だけ閉じる。怖いから。でも私は目をちゃんと開けて、全てを見ていく。




