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恋はどこまでいってもゲームなの






 街には最近目立ってるカップルがいる。あの子は風船を持ってきている。あの子はそれを片手で摑んだまま彼とキスをしたり、走って横断歩道を渡ったりした、3人はいつ見ても一緒。

 風船は日によって色が変わり、あの子はいつも可愛く、いつ見ても笑い顔、あの子みたいな女子がいたらきっと教室も退屈なところじゃなくなるね? でも彼のほうはどうだろう? 彼のほうに、例えば、あの子がビル広告に気を取られた一瞬の隙に彼のそのまなざしに何か不適切なものが滲んでいやしないかどうかとか? 私たちはよくそういうことを話す。

 あの子について私たちが語るのはいつもそういうこと、あの子の手から風船が離れていったら、きっと良くないことが起きるかもしれないね? 彼のほうはどうだろう? 彼のほうでもそんな事態は避けたいという考えがあるように見えていてほしいところだだがしかし気づいている者もいるんだ、ねぇ彼の手には針が一本あるよね? その針でしか彼はあの子を愛せないとかそういう感じ? ま? ま、ま、まっさかぁ、いやでもわかんなくない? 本当にそこ断言していいの? だってそれだけしか奴らには手はないとかありえるの? そこのとこ真に理解できるのは世界にただ一人、本人だけだもんね? 何ともいえない、針がないと本当には誰かを愛せないなんて。あの子は彼の針に気づいてるのかどうなのか? それもまた見ているだけの外野にとっては理解することはできない。あの子の風船は風に嬲られ、太陽の光に苛められ、木の枝に痴漢される。あの子たちは協力して、それらを回避する。あの子たちは自然で、明るい雰囲気があって、歩いているだけで楽しそう。話すことが一杯あって、クレープ屋で思うさま注文に悩んで、手と手を繋いで見つめ合って。ただ、つまりは結局のところ、彼が近づきすぎる瞬間がある、というだけだろう。適切な距離とはいえないような近さになる瞬間がある。たんなるストレンジャーに過ぎない人たちが一斉にあの子の横にある風船に目が行ってる、そういう瞬間がある。ベンチで彼とあの子が休憩していて、風船も横に並べてあの子がウェットティッシュで汚れを取ってあげてる時とか。あの子には見えない角度から彼の針が風船を愛撫する、あの子は気がついてない、あの子はクレープを食べるのに夢中だったりする、彼の様子が普段と違うのに気づかないねぇあの針に早く気づいてよ、気づいて! お願いだから。彼の不安、おそれ、それからあれは何? 二人の距離が近づきすぎることに対する緊張? まなざしから読み取れる様々なもの。彼は、針は、スリルを味わうためにあんな在り方をしているんだろうか? だけどあの子はいつでもクレープに夢中、たっぷりのホイップクリームに、グロいほど新鮮な果実に。無邪気に、呑気に、口元についた白を小指の先で拭い、それを紙ナプキンで拭いたりしてた。あの子らしく愛嬌たっぷりに。あの子の風船が割れる日も近いのかもね、ある時ついに破裂するんだ、それってさ、彼の針のせい? 本当に彼のせいでそうなるの? あの子は過失ゼロ? 本当にそう断言していいの? わかんないな、ただ明らかなのは2つのことだ。あの子はとても可愛いってこと。そしていつかきっと音を立ててそんなものは破裂するんだっていう、そのことだけ。











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