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関西弁の銀髪ハーフ美少女が俺を照れさせたいらしいが照れてるのはいつもキミだ  作者: 夜天 颯


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16/43

16. …その花火大会、うちらも一緒に行くで

終業式の日。


 七月の光は、朝からやけに強かった。


 教室の窓は全部開いているのに、風はぬるい。黒板の上には「終業式」の文字。授業はないはずなのに、どこか落ち着かない空気が残っている。


 夏休み前、最後の日。


 それだけで、教室は少し浮ついていた。


「なあ湊くん」


 朝一番。


 白銀ルナがくるっと振り返る。


「何」


「今日で一旦終わりやで」


「何が」


「学校」


「夏休み入るからね」


「……」


「……」


「もうちょいなんかあるやろ!」


 机を軽く叩く。


「寂しいとか」


「しばらく会えへんなとか」


「そういうやつ!」


「少しは思ってるよ」


「っ……!」


 一瞬で止まる。


「ほんまに?」


「うん」


「……」


「……」


「それ、ずるい」


 白銀さんは顔を逸らした。


 でも耳はちゃんと赤い。


     ◇


 終業式が終わり、教室に戻る。


 通知表やプリントが配られ、完全に“夏休みモード”の空気。


「なあ」


 白銀さんが机に肘をついてこっちを見る。


「何」


「花火大会、行く?」


「来週のやつ?」


「そう」


「行くよ」


「……」


「……」


「誰と?」


 少しだけ低い声。


「友達」


「名前」


「福原七海」


「……別の学校の、前会った子やんな」


「そう」


「……へえ」


 短い返事。


 でも、その中に少しだけ引っかかりがある。


 一度視線を落としてから、白銀さんは顔を上げる。


「じゃあ」


「うちらも行くわ」


「……うちら?」


「うん」


 にやっと笑う。


「一人で行くとは言ってへんやろ?」


 そのタイミングで。


「私も行くよ」


 静かな声。


 振り向くと、倉持美羅李が教室の入口に立っていた。


「花火大会」


「ちょうど行こうと思ってたから」


 自然すぎる合流。


「……」


「……」


「ちょっと待って」


「何?」


「何」


 二人同時。


 息が合いすぎている。


「一緒に行く流れ?」


「うん」


 白銀さんが即答。


「問題ある?」


「いや」


「……」


「……」


「七海には?」


「聞く」


 スマホを取り出す。


『花火大会、人数増えても大丈夫?』


 送信。


 数秒で既読。


『いいよ』


 短い返事。


 それだけ。


「……大丈夫だって」


「ほらな」


 白銀さんが満足そうに言う。


「決まりや」


 その横で、美羅李が静かに続ける。


「楽しみだね」


 声は穏やか。


 でも確実に“関わる側”の温度だった。


     ◇


 少しだけ空気が変わる。


 軽い会話じゃない。


「なあ湊くん」


 白銀さんが少し前に出る。


「何」


「福原さんってさ」


「うん」


「どんな感じなん?」


「どんなって」


「性格とか」


「……落ち着いてる」


「へえ」


「余裕あるし」


「ふーん」


 白銀さんは少しだけ目を細める。


「前会ったときも、そんな感じやったな」


「そうだね」


「……」


「……」


「なんやろ」


 ぽつりと漏れる。


「ちょっと気になる」


 その言い方は、はっきりしない。


 でも正直だった。


 その横で、美羅李が言う。


「強そうだね」


「……」


「……」


「何基準で」


「直感」


 あっさりしている。


「でも」


 少しだけ視線を落とす。


「それでも関係ないよ」


「何が」


「今だから」


 短い一言。


 静かだけど、ちゃんと刺さる。


「うちも別に関係ないで?」


 白銀さんが軽く言う。


「過去とかそういうの」


「……」


「……」


「まあ」


「なんか、おもろなりそうやな」


 軽く笑う。


 でも、その中に少しだけ本音が混ざっている。


     ◇


 昼休み。


 白銀さんはいつも通り弁当を持って後ろに来る。


 でも今日は座る前に言った。


「なあ」


「何」


「花火大会な」


「うん」


「隣、空けといてな」


「予約制なんだ」


「ちゃうけど」


 少しだけ目を逸らす。


「……なんとなくや」


 理由になっていない。


 でも、それで十分だった。


     ◇


 放課後。


 校門を出る。


 七月の空気が、一気に広がる。


「なあ湊くん」


「何」


「今日で一旦終わりやな」


「夏休み入るからね」


「うん」


 少しだけ静かになる。


「でもまあ」


 白銀さんはすぐに顔を上げる。


「花火あるし」


「終わりちゃうな」


「そうだね」


「……」


「……」


「楽しみ?」


「少しは」


「っ……!」


 また赤くなる。


「その言い方ほんまやめて」


 でも笑っている。


 その横で、美羅李が静かに言った。


「私も楽しみ」


 


 


     ◇


 夏休みが始まる。


 そして、その最初のイベント。


 花火大会。


 白銀ルナ。


 倉持美羅李。


 福原七海。


 まだ“好き”とは言えない感情と、

 すでに動き出している関係と。


 全部混ざったまま――


 たぶん、普通には終わらない。


 そう思いながら、俺はゆっくりと帰り道を歩いた

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