「そこまで書かなくていい!」AI小説の文字数問題
最近、AIを使って小説を書くようになりました。
以前は、
「小説くらい自分で書けばいいだろ」
くらいに思っていたんですけどね。
実際に使ってみると、これがなかなか便利。
アイデアを膨らませてくれる。
文章にしてくれる。
自分では思いつかなかった表現を出してくれる。
書きかけの作品を渡せば、
「こんな展開もできますよ」
と続きを考えてくれる。
おかげで、最近はかなりの勢いで小説を書くようになりました。
ところが。
そんなAI小説執筆にも、困ったことがあります。
それは――。
**文字数が増えすぎる。**
いや、本当に増えるんですよ。
こちらとしては、
「この場面を書いて」
とお願いしているだけ。
するとAIが、
「分かりました!」
とばかりに、ものすごい勢いで文章を書いてくれる。
しかも困ったことに――。
**ちゃんと文章として成立している。**
だから削りにくい。
例えば、
主人公が部屋に入る。
ただ、それだけを書いてほしかったとします。
人間なら、
――部屋に入った。
で終わってもいい。
ところがAIに書かせると、
扉を開ける。
部屋の中を見る。
部屋の広さを描写する。
窓から差し込む光を書く。
机の上に置かれたものを書く。
主人公の視線を書く。
主人公の感情を書く。
さらに過去の記憶まで掘り返す。
そして最後には、
「ここから何かが始まるような予感がした」
なんて締めまで入ってくる。
いや。
**主人公、ただ部屋に入っただけだから!**
何か始まるかもしれない。
でも、それは今じゃない。
こっちは部屋に入ってほしいだけなんだ。
そして、これは結構頻繁に起こります。
作者としては大したことをさせるつもりがない。
ところがAIは、なぜか壮大なイベントにしたがる。
ただ歩くだけの場面が、人生について考える場面になる。
ただ食事をするだけの場面が、家族との過去を振り返る場面になる。
ちょっとした会話をさせたかっただけなのに、
「二人の関係が大きく変わる瞬間だった」
みたいな雰囲気になる。
**いや、まだそこまで関係変わってないから。**
……と思うことがあるわけです。
もちろん、AIが悪いわけではありません。
むしろ、かなり真面目に仕事をしているのでしょう。
小説なのだから情景を描写したほうがいい。
読者に状況を伝えたほうがいい。
登場人物の心情も書いたほうがいい。
文章に厚みを持たせたほうがいい。
そうやって「小説らしい文章」を一生懸命作ってくれる。
結果――。
**文章がどんどん膨らんでいく。**
これが、なかなか面白い。
人間が自分で書いていると、
「ここは説明しすぎだな」
「この部分はいらないな」
「読者はここまで説明しなくても分かるな」
という感覚で削れます。
ところがAIは、放っておくとどんどん書く。
だから最近は、かなり具体的に指示するようになりました。
「短くして」
「説明を減らして」
「会話中心にして」
「情景描写は最低限」
「新しい設定を追加しない」
「同じ内容を別の言葉で繰り返さない」
「この場面では話を大きくしない」
など。
特に最後の、
**「話を大きくしない」**
は結構重要です。
AIって、油断すると話を大きくするんですよ。
作者が、
「主人公が部屋に入る」
と思っているのに、
AIは、
「主人公はその部屋に入った瞬間、これまでの人生を思い返した。そして、運命が大きく動き始めることを予感していた――」
みたいなことをやり始める。
だから、
**「いや、今日は部屋に入るだけです」**
と釘を刺す。
小説を書くというより、AIをなだめながら小説を書いているような気分になることがあります。
そして、ここでもう一つ問題があります。
**削るのが大変なんです。**
例えばAIに一万文字を書いてもらったとします。
読んでみる。
「ここはいい」
「この会話も使える」
「この描写も悪くない」
「この表現は自分じゃ思いつかなかった」
……となる。
でも、全部入れたら長すぎる。
だから削らなければならない。
ところが、
「せっかくAIが書いてくれたんだから……」
という気持ちが出てくる。
結果。
**削れない。**
そして文字数だけが増える。
これ、結構危険です。
特に小説投稿サイトでは、
**長ければ長いほど良い、というわけではありません。**
読者が読みやすい。
テンポよく話が進む。
続きを読みたくなる。
そのほうが大事だったりする。
例えば、
「主人公が食事をした」
という場面。
ここで重要なのは何でしょうか。
料理そのもの?
食卓の雰囲気?
そこで交わされる会話?
それとも食事中に起きる事件?
何を描きたいのかによって、必要な文章は変わります。
ところがAIに、
「食事の場面を書いて」
とだけ頼むと、
料理の匂い。
食器の音。
部屋の明るさ。
登場人物の表情。
料理の味。
季節感。
過去の思い出。
場合によっては料理を作る工程まで書いてくれる。
**「そこじゃない!」**
となる。
料理のレシピを頼んだわけじゃない。
この場面で必要なのは、その料理を食べながら交わす会話なんだ。
……ということがあるわけです。
だから最近は、AIに文章を書いてもらうとき、
**「何を書くか」だけではなく、「何を書かないか」を指定することが重要なんじゃないか**
と思うようになりました。
例えば、
「八百文字程度」
「会話中心」
「説明は最低限」
「情景描写は必要な部分だけ」
「新しい設定は追加しない」
「同じ内容を繰り返さない」
「この場面では新しい事件を起こさない」
など。
ここまで指定すると、かなり変わります。
AIは「小説を書いて」と言われれば、小説らしくしようとする。
だからこそ、
「今回はそこまで小説らしくしなくていい」
と伝える。
これが結構大事なんでしょうね。
そして、面白いことに。
AIに文章を書かせるようになってから、自分の文章についても考えるようになりました。
「この一文、本当に必要か?」
「この説明、さっきも書いてないか?」
「読者はここまで説明しなくても分かるんじゃないか?」
「この会話、物語を前に進めているか?」
「この描写は面白いけど、本当に今必要か?」
そんなことを考える。
AIに大量の文章を書かせる。
↓
文字数が増える。
↓
削る。
↓
何が不要なのか考える。
↓
自分の文章も整理するようになる。
こう考えると、
**AIの「文字数を増やしすぎる」という欠点も、使い方次第では勉強になる。**
そんな気もしています。
実際、自分で書いているときには気づかなかった、
「これ、なくても話が成立するな」
という部分が見えてくることもあります。
逆に、
「ここは説明を増やしたほうがいい」
と気づくこともある。
AIに大量に書かせて、それを削っていく。
それだけでも文章を編集する練習にはなるのかもしれません。
もちろん、本当に全部AI任せにしてしまえば、
「一話で何万文字あるんだよ!」
という作品にもなりかねません。
作者としては、
「全部必要なんです!」
と思っていても、読者からすれば、
「いや、そこまでいらないよ!」
となる可能性もある。
だから最後に必要になるのは――。
**人間による編集なんでしょうね。**
AIは文章を増やす。
人間は必要なものを選ぶ。
AIが十個アイデアを出したら、その中から二つを使う。
AIが一万文字書いたら、その中から必要な五千文字を残す。
そういう役割分担が、案外ちょうどいいのかもしれません。
つまりAIに小説を書かせるというのは、
**「文章を書くことをAIに丸投げする」ことではない。**
むしろ、
**「AIが作った大量の文章から、何を作品として残すのかを人間が判断する」**
ことなのかもしれません。
何を書くのか。
何を書かないのか。
どこまで説明するのか。
どこで切るのか。
そして――。
**何文字にするのか。**
AIを使って小説を書くようになって、以前よりもこういうことを意識するようになりました。
……まあ。
それでも、
「今回は五百文字くらいでお願いします」
と頼んだのに、
「分かりました!」
と元気よく返事をして、
**二千文字くらい書いてくることがありますけどね。**
お前。
五百文字って言ったよな?
……と画面に向かってツッコミを入れる。
そして削る。
また削る。
それでも残った文章を見て、
「……これ、結構面白いな」
となる。
そして結局、削れなくなる。
**だから文字数が増えるんですよね。**
AIを使った小説執筆。
便利です。
本当に便利。
でも、便利になったからといって、楽になったとは限らない。
書く手間が減った代わりに、
**「何を残すのか」という編集の仕事が増えた。**
最近はそんなことを考えながら、小説を書いています。




