AIに「続きを書いて」と頼み続けたら、物語が進まなくなっていた
## AIに小説の続きを書かせるときに気をつけたい「物語の停滞」
最近はAIに「続きを書いて」と頼むことが多い。
そうすると、前の文章に続いた文章をちゃんと出力してくれる。
しかも、少しずつ文章も整っていく。
描写が自然になる。
会話が読みやすくなる。
登場人物の感情も分かりやすくなる。
細かいところが気に入らなければ、自分で修正を加える。
そうしているうちに、
「前より良くなった」
と思って、またAIに続きを書かせてしまう。
実はこれ、自分の作品でも何度かやってしまったことです。
そして、あとになって気づきました。
**文章は良くなっているのに、物語があまり進んでいない。**
AIが勝手に物語を停滞させる、という話ではありません。
むしろ怖いのは、**停滞していても、それを自然な文章として書き続けられてしまうこと**です。
AIに続きを書かせているうちに、一話や二話で終わるはずだった内容が、五話、六話、場合によっては十話近くまで膨らんでしまうことがあります。
しかも、一話だけなら、それほど悪くない。
会話も自然。
描写も悪くない。
心理描写もある。
だから、その一話を読んだだけでは気づきにくい。
ところが五話、六話とまとめて読むと、
「……これ、ずっと同じ問題について話していないか?」
となる。
**一話ごとは悪くないのに、積み重なると物語が停滞している。**
ここが、この問題の厄介なところです。
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### AIは「続きを作る」のが得意だからこそ怖い
AIに、
「主人公が問題について考える場面を書いて」
と頼めば、心理描写を増やせます。
「仲間との相談を詳しくして」
と頼めば、会話を増やせます。
「もう少し自然な流れにして」
と頼めば、前後のつながりも整えてくれます。
つまり、
**同じ場所を、かなり上手に掘り続けられる。**
これはAIの長所です。
問題は、作者までその場に留まり続けてしまうことです。
AIは、直前の文章につながる続きを作ることは得意です。
でも、
「この五話で主人公をここまで進める」
「この問題は三話以内に決着させる」
といった作品全体の進行まで、自動的に監督してくれるわけではありません。
だから、
「続きを書いて」
と頼み続けるだけでは、
**「物語を進める」より「今ある話を上手に続ける」**
方向へ流れてしまうことがあります。
AIが悪いというより、
**作者が物語の進行を監督する役割を手放してしまうことが問題なのです。**
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### 「話が続いている」と「話が進んでいる」は違う
たとえば一話目で、
「問題が発生した」
とします。
二話目で主人公が考える。
三話目で仲間に相談する。
四話目で新しい案を思いつく。
ここまではいい。
しかし五話目でも考える。
六話目でも相談する。
七話目でも別の人物から意見を聞く。
八話目でも悩む。
九話目でも準備について話し合う。
十話目になっても、
「さて、どうするか……」
となっていたら、かなり危険です。
作者からすれば、毎話少しずつ違う内容を書いているかもしれません。
でも読者からすれば、
**「結局、まだ同じ問題を考えているだけじゃないか」**
となります。
重要なのは、会話が増えたか、場面が変わったかではありません。
**話の始まりと終わりで、何かが変わったか。**
主人公が新しい情報を得た。
決断した。
行動した。
失敗した。
誰かとの関係が変わった。
問題が解決した。
新しい問題が発生した。
こうした変化があれば、物語は進んでいます。
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### Web小説では「次を読む理由」が必要になる
特にカクヨムなどのWeb小説では、ここが重要です。
読者は一話読んで、
「次も読もう」
とクリックする。
だから、
「長編全体では最後に大きく話が進みます」
だけでは弱い。
途中で何話も同じ場所にいると、読者はそこまで待ってくれません。
毎話、大事件を起こす必要もありません。
大切なのは、
**「次も同じ話になりそう」と思わせないことです。**
「この問題はどうなる?」
「主人公は次に何をする?」
「この決断の結果は?」
そう思える何かが残っていれば、次の話へ進む理由になります。
だから長編全体の起承転結だけではなく、**一話や数話単位でも、話の始まりと終わりに差を作る。**
重要なのは事件の大きさではありません。
**読み終わったときに、最初と同じ場所へ戻っていないことです。**
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### 物語の停滞を早めに見抜く
停滞しているか確認するなら、まず数話まとめて読む。
五話くらいを一気に読んで、
**「一話目から五話目までで、主人公の状況は何が変わった?」**
と考える。
答えがすぐ出てこないなら要注意です。
次に、各話を一文で要約してみる。
一話目――問題が発生する。
二話目――原因を調べる。
三話目――解決方法を決める。
四話目――実際に行動する。
五話目――予想外の問題が起きる。
なら、ちゃんと話は動いています。
逆に、
一話目――問題について考える。
二話目――さらに考える。
三話目――仲間に相談する。
四話目――別の仲間に相談する。
五話目――相談した内容について考える。
なら危険です。
最後に、
**「この話を削除しても、次の話に大きな影響がないか?」**
も確認する。
日常回でも、人間関係が変わったり、新しい情報が出たり、次の行動が決まったりしているなら意味があります。
逆に、何も残らないのであれば、文章を増やすためだけの話になっている可能性があります。
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### AIに続きを書かせる前に、一つだけ決める
だから私は、AIに続きを書かせる前に、
**「この話で何が変わるのか」**
を一文で決めておくのがいいと思います。
「主人公が村を作る決断をする」
「敵の正体が判明する」
「仲間が一人増える」
「失敗によって計画を変更する」
これくらいでいい。
あとは、
「この内容を一話として小説にして」
とAIに頼む。
そうすれば、文章を膨らませてもらいながら、作者自身が物語の進行を管理できます。
逆に、
「この続きを書いて」
だけを何度も繰り返す。
すると文章は自然につながっていく。
細部もどんどん整っていく。
そして気づいたときには、
**一話分の展開を、五話、十話分の文章にしていた。**
しかも、その五話、十話が全部それなりに読めてしまう。
だから気づきにくい。
そして、気づいたときには、
「ここ、かなり削らないと駄目じゃないか?」
となる。
そうなってから直すのは、かなり大変です。
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AIを使った小説制作で怖いのは、文章が悪くなることではありません。
**文章が良くなることで、物語の停滞を見落としてしまうことです。**
一話だけなら面白い。
二話でも読める。
三話でもまだ問題ない。
ところが五話、六話とまとめてみると、
「ずっと同じ話をしていた」
と気づく。
そして、そのとき一番困るのは作者ではありません。
**読者です。**
読者は、
「この作品、次も同じことをやるんじゃないか?」
と思った瞬間に、次の話を読む理由を失ってしまうからです。
だから、AIに続きを書かせること自体を恐れる必要はない。
ただ、続きを書かせるたびに、
「この数話で何が変わった?」
「主人公はどこまで進んだ?」
「次の話を読む理由は残っている?」
を確認する。
AIは、同じ場所を上手に掘ることができます。
だから作者は、ときどき顔を上げて地図を見る。
そして、
「そろそろ別の場所へ進もう」
と決める。
……まあ、私自身も、自分の作品がいくつかそうなってしまってから、このことに気づいたわけですが。
正直に言えば、**気づいたときには結構手遅れなんですけどね。**
だからこそ、これからAIに続きを書かせるときは、もっと早い段階で確認しておきたいと思います。
**「俺は今、文章を良くしているのか。それとも、同じ話を長くしているだけなのか?」**
**「話は続いている。でも、本当に話は進んでいるのか?」**
**「この話を読み終えた読者は、本当に次の話をクリックしてくれるだろうか?」**
AIを小説制作に使うなら、文章を上手くすることだけではなく、**物語を前へ進めることも作者自身が管理しなければならない**のだと思います。




