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野原苺香の日常  作者: 一条ひかり


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夜鳴きそば

この話は「異世界のむつ市(最北端)へようこそ!」56話、59話、77話 のサイドストーリーになります。

苺香が宿泊を伴う出張をする際、可能な限り選んでいるホテルがある。


夜遅くに「夜鳴きそば」を無料で振る舞ってくれる、あの全国展開している有名ホテルチェーンだ。


広々とした大浴場にサウナまで完備されており、仕事の出張でありながら、まるで小旅行に来たかのような気分を味わえる。


だからこそ苺香は、出張が決まるたびに第一候補としてそのホテルを探すのだ。


知人からはよく、こう言われる。


「普通のビジネスホテルに泊まって、外のラーメン屋で食べた方が安くて美味しいんじゃない?」


だが、分かっていない。


苺香が求めているのは、単に「ラーメンを食べる」ことではないのだ。


大浴場でゆったりとお湯に浸かり、サウナで汗を流して整った後、館内着(ゆかた)のまま足を運んで啜るあっさりとした醤油ラーメン。


そのすべてが、たった一つの建物の中で完結する。


移動の手間も、外の寒さや暑さに晒されることもない。


仕事で疲れた身体と心を解きほぐす至高のご褒美だからこそ、多少会社の規定宿泊費をオーバーして自腹を切ることになろうとも、苺香がこの選択を変えることはないのだ。


「よし、今回も空いてる……!」


PCの画面に映るホテルの予約サイトを見つめながら、苺香は満足げにうなずき、迷わず予約ボタンをクリックしたのだった。

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