第一幕 はじまり
更新目標達成!!やった!!
「はいじゃあ仮入部は今週いっぱいまでだからな~お前ら早くどこの部活入るか決めろよ~んじゃ号令~」
担任は生徒の顔を見ながらけだるげに言った。
号令が終わると、ふっと教室の空気が緩み、1年3組の連中はどこの部活の見学に行くかで盛り上がりはじめる。そんな空気に目もくれず、俺は急いで教室を飛び出し、全力で自転車をこいで帰宅した。
「ただいま~」
返事がない、ということは、同じ高校に通う姉は、まだ帰ってきていないということだ。
俺はつい嬉しくてにやけそうになってしまった。
急いで手を洗い、自室からゲーム機を持ってきて、セッティングする。
無事に完了すると、画面いっぱいに異世界の街並みが映し出された。
俺はコントローラを握り、前回の続きからバトルを開始する。
ゲームはとても楽しい。基本的に頑張ってプレイし続けていればレベルアップできるし、強い敵も倒せるようになる。現実世界では自分の持てるものすべてを捧げて努力してもそれがすべて報われるとは限らないし、それでもかなわない相手だってゴロゴロいる。それなのに、汗水たらして叶うかどうかわからない目標に向かって努力するなんてコスパが悪いと俺は思う。もちろんゲームだってうまくいかないことも多々あるが、現実世界に比べればマシだと思う。
しかしそんな楽しい時間は玄関の鍵が開く音によって強制終了された。
「湊くん、ただいま~」
「…」
「あれ?いないの?でも靴があるから絶対いるよね、湊くんは相変わらずお姉ちゃんに対して冷たいねぇ」
愉快な声と共に姉がリビングの扉を開けた。
俺は大きなため息をついた。
「湊くん!お姉ちゃんの顔を見てため息つくなんて酷いわね!」
姉の名前は郡山七海、俺の2歳年上の姉。県立真昼高等学校の3年生。底抜けに明るく自由奔放、さらに社交的で友人も多い。
「…姉さん、おかえり。」
「湊くん、ただいま!!なに、また仮入部にも行かずに速攻帰ってきてゲームしてるの?」
「…俺の仮入部事情は、姉さんには関係ないだろ。あと湊くん呼び、うざいからやめてくれ。」
「関係あるわよ!私は姉として、ゲームオタクで休日はずっと引きこもりの湊くんが、ちゃんと高校で青春できるか心配してるのよ!」
…そしてブラコンである。
「余計なお世話だ。ちゃんと俺には俺なりの青春プランがあるからな。」
「でもその青春プランに部活は含まれてないでしょ?」
俺は再び大きなため息をついた。今度は姉にではなく、学校に対してだ。
「…あのさあ、なんでうちの学校、1年生は部活強制なんだよ、今時、そんなの古くね?
叶う保証もない目標に時間かけるよりも、空いた時間全部勉強に費やしたほうが、いい大学にいけるかもしれないし、得られるものが大きいだろ。」
「そんなことないよ。部活でしか得られないものは絶対にあるよ!!」
「本当かよ。」
「ねえ湊、本当にそれでいいの?一度きりの青春だよ?」
「青春、ねぇ。」
俺は部活も嫌いだが、青春とかそういった類の言葉も嫌いだった。部活に打ち込んで、仲間と友情を育んで、素敵な恋をして、そういうのは、それこそ姉のような明るい一部の人たちに限られていて、俺みたいな一般人は無難な高校生活を送るものだ、そう思っていた。
「私はね、湊も青春を送れる場所を、誰もが主人公になれる場所を知ってるよ。」
「そんなのどこにあるんだよ。」
「舞台の上だよ。ねえ、私と一緒に、舞台作らない?」
「…はあ??」
書いてるうちにああしたいこうしたいってなっちゃうタイプの人間なので、連載しながらいろいろ変わってしまいそうで恐ろしいです。
次回も楽しみにしていただけたら幸いです。




