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第2部ー27

 私は、何とか気を鎮めて、手紙を書きあげ、読み直してから、エドマンド様に、手紙を送った。

 エドマンド様は、皇帝陛下の身にもかかわらず、すぐに私の邸宅までお越し下さった。

 エドマンド様は、何も言わず、私を抱きしめた後、しばらくそのままでおられた。

 私も抱き返し、しばらく無言を貫いた。

 何故なら、今、言葉を交わせば、お互いにお互いを却って信じられそうになかったからだ。

 気が付けば、お互いに涙を流していた。


 そうは言っても、ずっとそのままでいるわけにもいかない。

 最初に、エドマンド皇帝陛下から私に話しかけられた。

「よく決断してくれたね。私の皇后になってくれるかい」

「はい」

 私は、答えた。


 現皇帝陛下の結婚式である。

 しかも、結婚相手を皇后に冊立するという式でもある。

 さすがに結婚式を教皇猊下が執り行うことはなかったが、枢機卿が執り行うことになり、いろいろと盛大な準備に半年近くも掛かる大変なことになった。

 そして、身内も、上流貴族も結婚式には参列することになった。

 フローレンス姉様は、私が入内を決意してから結婚式を挙げる間に、司祭を事実上飛び越して、司祭から司教へと叙任され、私の結婚式に司教として出席することになった。


 その間が、余りにも長いので、私はオリヴィアやサムエルと共に宮中へ入った。

 今だ婚約段階にある皇后候補者が、宮中で皇帝と同居するというのは異例中の異例だが、オリヴィアもサムエルもエドマンド皇帝陛下の実子(サムエルは表向きは養子)であり、宮中に住むのが当然なので、母代でもある私も宮中に入るという名分を振りかざしたのだ。

 一部の口うるさい上流貴族は、眉をひそめたが、エドマンド皇帝陛下から、ようやく母代に2人が馴染んだばかりなのに、しばらくとはいえ、間を裂くのはどうか、とお言葉まで出たので、それ以上の行動に出る者はおらず、私は宮中でエドマンド皇帝陛下と同居を開始した。


 そして、私達は当然のように関係を持ち、結果的に、私のお腹の中に胎児がいる状態で、結婚式を挙げることになった。

 一部の上流貴族は、更に眉をひそめることになり、私は却って開き直ったが、エドマンド皇帝陛下は逆に少し小さくなられてしまった。

 それにしても、アーサー皇帝陛下が、あれだけ苦労しても、一人も子どもを授からなかったのに、エドマンド皇帝陛下は、簡単に子どもを授かってしまう。

 本当に男女の縁は不思議なモノだ。


 結婚式当日、私は妊娠早期だったので、まだお腹が目立たない状態で、結婚式のドレスを着ることが出来た。

 フローレンス姉様は、身内であることもあり、私の着替えの場にまで付き添われた。


「それにしても、エドマンド義兄様とあなたとの縁が結ばれて、本当によかったわ」

 結婚式が全て終わり、フローレンス姉様が教会に戻る前、私の花嫁姿を称賛した後、フローレンス姉様はぽつんといった。


 私は思わず言いたくなった。

「フローレンス姉様、本当にエドマンド義兄様に未練はなかったの」

 と。

 フローレンス姉様の言葉の裏に、自分が結ばれたかったという意思を、私は感じ取ったからだ。

 でも、口に出せなかった。

 フローレンス姉様は、ローラさんとの関係等、いろいろとエドマンド義兄様に負い目がある。

 それもあって、自発的にフローレンス姉様は身を引いたのでは、と私は察したからだ。


 私が黙っている間に、フローレンス姉様は、私に暖かな笑みを向けて言った。

「ジェーン、本当に幸せになるのよ。エドマンド義兄様の愛を疑ってはダメよ」

「はい」

 私はそう答えながら、内心で神に祈った。


 来世では、フローレンス姉様が、幸せな結婚をエドマンド義兄様とできますように。

 神様、どうか、私の祈りを聞き届けてください。 

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