第2部ー23
そんなふうに私が思っているうちに、エドマンド様から、自分の息子達をオリヴィアに紹介して、親しませたいという話があった。
タバサ大公妃殿下に、エドマンド様から、オリヴィアに関する話をしたところ、タバサ大公妃殿下が漏らしたのか、周囲が漏らしたのか、エドマンド様の実子、サムエル殿下や、義子、コナン殿下から、義理の姉妹になるオリヴィアに会いたい、とエドマンド様がせがまれているとのことだった。
私は何とも複雑な思いを抱いた。
「いいの。本当に。もし、サムエルが、オリヴィアと結婚したいとか、言いだしたら」
私が心配すると、エドマンド様に思い切り笑われてしまった。
「おいおい。オリヴィアも、サムエルも7歳になっていないのに。結婚したいというのも、半ば子ども同士の冗談に決まっているじゃないか。本気で意味が分かって、言っているわけがないだろう」
「確かにそうだけど」
私は、どうしても難色を示してしまった。
オリヴィアとサムエル殿下は、お互いに一生知らない関係になるだろうが、実は異母姉弟なのだ。
だから、結婚させるわけにはいかない。
しかし、真実をオリヴィアやサムエル殿下に知らせて、諦めさせるわけには行かない。
私はそう心配してしまうのだが、エドマンド様は鷹揚極まりない態度だった。
「本当に気が早すぎる心配だよ。オリヴィアもサムエルも、まだまだ子どもだよ」
エドマンド様に、そう何度も言われてしまい、私は言いくるめられてしまった。
そして、サムエル殿下やコナン殿下は、私達の下に折に触れて来るようになった。
同年代でほぼ同格の異性は、サムエル殿下にとっても、コナン殿下にとっても、親しみの持てる初めての存在だったみたいで、2人共、オリヴィアと仲良くなったこと自体はよい事なのだが。
「オリヴィアは、将来、私と結婚するからな。サムエルには譲らないぞ」
「何を言うのです。コナン兄上、オリヴィアは、私と結婚するに決まっているではありませんか」
うん、2人共、私を心配させる会話は止めてほしい。
オリヴィアは、コナンとはともかく、サムエルとは、絶対に結婚させないからね。
ちなみに、オリヴィアはというと。
「コナンよりも、サムエルと結婚したい。ジェーン母様、いいでしょう」
オリヴィア、私の心配を、更に大きくさせるようなことを言うのは禁止です。
冗談でもそんなことは言ってはいけません。
そんな日々を半年ほど過ごす内に、アーサー皇帝陛下の病状は、徐々に悪化していった。
フローレンス姉様曰く、
「自業自得。あんな生活を送った報いよ」
とのことだった。
元婚約者に対して、フローレンス姉様の言葉は、余りにも冷たく聞こえるが、私も、自分に対して求婚されたことや、オリヴィアとの1件からフローレンス姉様に同調してしまった。
結局、私がオリヴィアを引き取ってから、1年も経たない内に、アーサー皇帝陛下は崩御された。
体調を崩され、寝たり起きたりの生活になり、ある朝、アーサー皇帝陛下が起きて来られないので、宮中女官が起こしに行かれたところ、亡くなられていたとのことだった。
正式に立太子はされていなかったが、こういった場合を皇族や上流貴族は想定していたので、速やかにエドマンド様が、皇帝に即位された。
そして、サムエル殿下が皇太子に立てられた。
更に、私は。
「ジェーン。あらためて言うのも何だが、皇貴妃として入内してくれないか」
エドマンド皇帝陛下から、正式に私は求婚された。
私は少し考えてから肯いた。
だが、私の入内直前、エドマンド皇帝陛下に一悶着が起きてしまった。
本来、エドマンド皇帝陛下の皇后は、タバサ大公妃殿下がなられるものなのだが。
しかし、タバサ大公妃殿下は拒否された。




