第2部ー13
本編に戻ります。
フローレンス姉様との話し合いが終わって、私が帰宅したら、すぐにドミニク義父さまに私は呼ばれた。
私は悪い予感しか覚えなかった。
フローレンス姉様の警告通りのことが、起こったのではないだろうか。
私と顔を会わせたドミニク義父さまは、満面の笑みを浮かべながら言った。
「喜べ。お前を皇后として、アーサー皇帝陛下は迎えたいそうだ」
ええ、そんな馬鹿な、私は絶句してしまい、声が全く出なかった。
フローレンス姉様は、私を皇貴妃として迎えたいという話が、アーサー皇帝陛下から出てもおかしくないとは言っていたが、それを斜め上に通り越したとんでもない話だ。
ドミニク義父さまは、私が断ること等、夢にも思ってもいないのだろう、上機嫌極まりない有様で、私に対する話を続けた。
「妻のヘレナにも相談したのだが。ヘレナも大賛成だ。皇女という立場のお前にとって、結婚に際して、皇后以外にふさわしい立場は無い。大公妃ですら、お前にとっては皇族を離脱して降嫁するという、自らの身分を捨て去る婚姻になるのだからな。皇族と言う身分を維持したまま、結婚という女の幸せを掴めるとは、本当に果報者だ」
いつの間に、ヘレナ母様まで巻き込んでいるの。
しかも、ヘレナ母様も、私の意見を全く聞かないで賛成するなんて、何を考えているの。
私は、ひどい頭痛が起きているような感覚がし、思わず寝込みたくなった。
「お義父さま。アーサー皇帝陛下の御言葉、真にありがたくお受けすべきですが、今の皇后陛下は、どうなされるのでしょうか」
私はとりあえず、疑問を呈した。
「うん。皇子を産めない皇后等は不要、皇貴妃に格下げするとアーサー皇帝陛下は仰せだ」
女は皇子を産むための道具というわけですか、前からアーサー皇帝陛下に、必ずしも好感を私は持っていなかったが、その言葉で、私のアーサー皇帝陛下に対する好感度は、思いきり下がってしまった。
私は、できる限り、ドミニク義父さまの機嫌を損ねないように気を付けつつ、話を続けることにした。
「それにしても、私は15歳になったばかりです。皇后として結婚するには若すぎると思いますが」
私は取りあえずは自分の年齢を持ち出した。
帝国で結婚が許されるのは18歳になってからだ。
だが、自分でも説得力が無いと思った。
何故なら、抜け穴があるからだ。
「何を言うのだ。皇帝陛下の勅許があれば、18歳になっていなくても、15歳になれば結婚できる。15歳になったお前を、皇帝陛下自らが皇后として迎えたいと言っているのだ。皇后になるのに年齢等、全く問題にならないだろう」
ドミニク義父さまは、私の反論を歯牙にもかけなかった。
私は舌打ちする思いを内心でした。
全く、ドミニク義父さまは、私の内心を少しは読んでよ。
私は、アーサー皇帝陛下の皇后になりたくないから、年齢を自分で分かっていながら持ち出したのに。
私は、更に頭を回転させざるを得なかった。
「ともかく、余りにも急な話ですし、また、余りにも意外な話なので、少し考えさせていただけませんか。ドミニク義父さまも、ヘレナ母様も賛成とのことで、私は嬉しいですが」
私の本音としては、私はアーサー皇帝陛下と結婚したくない、と声を大にして言いたい。
だが、私と言えど、それなりに皇女と言う自分の立場はわきまえている。
今、この場で、アーサー皇帝陛下との結婚等、お断りします、と私が公言するのは、余りにもいわゆる空気が読めない発言にも程があると分かっている。
こういう点には、フローレンス姉様に感謝すべきだろう。
かつてのフローレンス姉様の暴走は、私が行動する際のよい反省の鑑になっている。
「うむ。そうだな」
とりあえず、ドミニク義父さまは納得した。




