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幕間ーフローレンス2

少し予定を変え、フローレンス視点の幕間を1話入れます。

 妹のジェーンとの話し合いが一通り済んだ後、ジェーンは自宅に帰って行った。

 私は思いを巡らせた。

 ジェーンは、私の話をどこまで真剣に受け止めただろうか。

 実は、私の話は全てが本当ではないのだ。

 一部、私が前世で読んだ漫画の記憶を交えて話している。

 前世の漫画の流れからすれば、ジェーンの身におそらく起こる筈の事だが。

 そのことをジェーンに明かすわけには行かない。


 そんなふうに私が考えていると、私とジェーンの話し合いの席に同席していた、私の腹心の先輩が私に声を掛けてきた。

「話の内容に嘘が混じっていませんでしたか」

「確かに混じってはいますが、ジェーンに覚悟を促すために必要な嘘です」

 私は先輩にそう言い訳をした。


そう帝国は身分社会なのだ。

 エドマンド義兄さまは、確かに事実上皇太子の地位にはあるが、厳密に言うと皇族でさえない。

 実父のドミニク様が皇族から貴族に降りられている以上、当然、エドマンド義兄さまは皇族では無く、貴族と言うことになる。

 だから、ジェーンが、エドマンド義兄さまと結婚するということになると降嫁ということになるのだが。

 これまで、皇族が、貴族の第二夫人として降嫁する等、全く無かったことだ。

 そういうことから考えると、ジェーンがエドマンド義兄さまの第二夫人になると言い出したら、帝国貴族社会で、醜聞呼ばわりされてもおかしくない話になる。


 それに、私が読んだ漫画の中と同様に、アーサー皇帝陛下には実子が産まれない。

 私は確証は全く無いものの、アーサー皇帝陛下は、前世で言うところの男性不妊症ではないか、と疑っていた。

 そうでも考えないと、あれだけ多くの女性と関係を持ちながら、アーサー皇帝陛下に子どもができない理由の説明がつかない。

 大体、あれだけ女色を好む男性が、同性愛の訳がないのだから。


「アーサー皇帝陛下は、何としても子どもが欲しいはず。そう言ったことから考えると、ジェーンはうってつけの存在よ。何しろ若くて健康そのものの身体を持っているのだから。血筋から言っても全く文句なしと言えるわ。何しろジェーンは、アーサー皇帝陛下と結婚した場合には、皇貴妃どころか、皇后になって当然の立場なのよ。アーサー皇帝陛下が、ジェーンにもしも執着するような事態が起きたら、未だに妊娠の気配すらない皇后陛下を、皇貴妃の地位に貶めてでも、ジェーンを皇后として迎えるとアーサー皇帝陛下は言い出しかねないわ」

 私は、先輩に言った。

 私の言葉に、先輩は寒気を覚えたようで、背筋を思わず震わせた。


「確かに、フローレンスが言うとおりですね。アーサー皇帝陛下は、ジェーンを皇后として迎えたい、と言い出しかねない。そうなったら、エドマンド様の第2夫人に、ジェーン様がなりたいと言われても、アーサー皇帝陛下は、ジェーン様に降嫁の許可を出されないでしょう」

 先輩は、しばらく考え込んだ末に、そう言った。


 私は肯きながら、話を続けた。

「だから、この話は急ぐ必要があるわ。アーサー皇帝陛下が動かれる前に、ジェーンやエドマンド義兄さまと一緒に動いて、既成事実を完全に作り上げてしまわないと。ローラさんのお兄さんに、帝都に来るように事実上の出頭命令を出すように、ローラさんのお兄さんが所属している修道会に依頼してくれないかしら、場合によっては圧力を掛けてもいいわ」

「承知しました」

 先輩は肯いた。


 実際、考えれば考える程、時間が無いと私には思えた。

 私の記憶が正しければ、アーサー皇帝陛下の寿命は、後1年といったところの筈。

 更に、教会内でささやかれる噂では、アーサー皇帝陛下は、やつれてしまわれているらしい。

 つまり、漫画通りに、アーサー皇帝陛下は、私は思いを巡らせた。

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