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第2部ー8

 エドマンド義兄さまとローラさんの子どもの件について、(大方はフローレンス姉様の推論を、私は伝えるだけになってしまったけど)私は、実家に泊りに来られたエドマンド義兄さまに、あらためて詳しく伝えた。

 私の話を聞き終えたエドマンド義兄さまは、深く肯きながら、私に言った。

「そのとおりだ。ローラの子は、私が事実上の皇太子の地位にある以上、注意して探さなければ、皇室の大醜聞を引き起こすことになりかねない。本当に厄介なことになっているが、何としても我が子を探し出さないといけない」

 

 エドマンド義兄さまの決意を聞きながら、私はエドマンド義兄さまの言葉に、あらためて自分の胸の痛みを覚えざるを得なかった。

 本当に、エドマンド義兄さまが、ローラさんやその子ども、更にはフローレンス姉様の事について語るのを聞くと、何故に自分の胸が痛むのだろう。

 私は疑問を覚えつつ、取りあえず、ローラさんの子を探すのが最優先だと、自分の心の中を割り切ってしまうことにしながら、言葉を発した。


「それにしても、ローラさんの子を探し出すにしても、頼りになりそうな宛はあるの」

 エドマンド義兄様の決意を聞いた自分の発した言葉が、自分の想像以上に冷たく聞こえてしまったことに、自分でも驚いたが、エドマンド義兄さまはそれどころではなかったらしい。


「フローレンスの言葉で調べる先が割り切れたというか、自分の盲点に気づかされたよ」

 エドマンド義兄さまは、心の中で自信が沸き起こったらしい。

 力強くそう言った後で、言葉を継いだ。

「ローラと一緒に失踪した4人の事に、もっと考えを巡らせて、ローラの行方を私が探ろうとしておけば、こんなことにはならなくてすんだんだ。ローラの下女と下男は、この場合は除外できる。下女や下男は、あくまでも給料がもらえるから仕えているだけで、主人が亡くなった後、主人の子どもまで面倒を見ようとすることはまずあり得ない話だ。だから、ローラの子を養っているのは、ローラの侍女か、ローラの騎士しか基本的には有りえない話なんだ。更にローラの侍女が、ローラの子を養っているのなら、遅かれ早かれ私に発覚している筈だ。何故なら、ローラの侍女と言うことは、帝国貴族社会の一員なのは間違いない。侍女として伯爵家に仕えるのは、帝国貴族社会の一員でないとありえない話だからね」


 エドマンド義兄さまの長広舌を聞きながら、私は私なりに私の考えをまとめた。

 確かに伯爵家以上の上流貴族の侍女に、庶民が成ることはありえない。

 上流貴族の身辺の世話をする侍女は、下級貴族出身なのが当然だからだ。

 そして、帝国貴族社会の一員である侍女が、皇室につながる女児の存在に気づいたら、本人は黙ろうとしていても、周囲の人間がそれに気づくのが当然だ。

 ということは。


「つまり、ローラの子を養っているのは、ローラの家に仕えていた騎士以外にあり得ない。ローラの家に仕えていた騎士の行方を何としても突き止めないと」

 エドマンド義兄さまの長広舌は一旦、終わった。

 しかし、と私の心の中で疑問が沸き起こった。


「ローラさんの家に仕えていた騎士の名前とか、手掛かりはあるのですか」

「ないよ」

 エドマンド義兄様は平然と言った。

 私は、心の中で盛大にずっこけた。


「だが、名前等が分からなくても、そんなに歳月は掛からずに突き止められるはずだ。騎士を雇おうと考えても、皇室や大公家のどこかに、コネがないと騎士は雇うことはできない。ローラの家は軍事貴族では無かったからね。そして、皇室の中に、ローラの子を匿っている騎士はいない場合は」

 エドマンド義兄さまはそれ以上は言わなかったが。私にも分かった。

 確かにすぐに私達に分かる筈だ。

 一旦、女主人公以外の視点に立つ幕間を3話、次話から続けます。

 男主人公のエドマンド、第1部のヒロイン、フローレンス、そして、ローラの娘とその周囲の人達。

 それぞれの想いを描いた後、本編を再開します。

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