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第2部ー1

第2部の開始です。


第1部の女主人公の妹、ジェーンが新女主人公になります。

 あの大騒動から6年近くが経った。


 私の姉、フローレンス姉様は、アーサー皇太子殿下に婚約破棄されて、修道院に入ることになった。

 私の義兄、エドマンド様も、イザベラ様と婚約破棄して、タバサ大公妃殿下と結婚された。

 ちなみに、アーサー皇太子殿下は、とある公爵家の1歳下の娘と結婚された。

 帝国貴族社会の最上層部では、この婚約破棄と結婚の裏に何があるのか、探ろうとする動きもあったらしいが、自然と探られなくなった。

 下手に探ると、自分の命に係わるどころか、一族全体が族滅に晒される危険があると、探ろうとした者は自然と覚ったからだ。

 それが賢明な態度ね、と15歳の私でさえ、考えてしまう。

 この件について、自分の立場上、いろいろと詳しくなってしまった自分でさえ、あの大騒動の真相を探ろうとしたら、自分どころか一族族滅の惨劇が巻き起こるレベルの帝国最高機密に違いないと思ってしまう。


 私の現在の理解からすれば、そもそもの発端は、私の姉、フローレンス姉様が、本来の婚約者であるアーサー皇太子では無く、義兄のエドマンド様と結婚したいと思ったことだった。

 フローレンス姉さまの強引な行動に辟易したエドマンド義兄様は、ローラという愛人を作るが、ローラが自らの妊娠をきっかけに失踪してしまう。

 そして、愛人が失踪したエドマンド義兄様は荒んでしまい、愛人を片端から作るような生活を送る。

 それを見たイザベラ様は、エドマンド義兄様と関係を持ち、妊娠して、男の子を産んでしまう。

 この妊娠出産が、大騒動の発端と結末を結果的に作った。


 イザベラ様は、事の重大さ(何しろ未婚の身で、婚約者が相手とはいえ、妊娠出産したのだ)から、取りあえず、出産が終わり次第、修道院で尼僧になって、当分の間、謹慎と言うことになったのだが。

 イザベラ様は、自らのしでかした事の重大さが全く分かっていなかった。


 娘の起こした不祥事から、1年余り後、コーデリア皇后陛下が心労から御病気になられ、重体になられた際に、母上の見舞いに行きたい、そもそも何故、私が修道尼にならないといけないの、と周囲に散々訴えたことが、父上のウォルター皇帝陛下の御耳に入り、最後のウォルター皇帝陛下の激怒を引き起こした。


 この御怒りが、ウォルター皇帝陛下の絶命を引き起こした(実際、コーデリア皇后陛下の死後、2月程後に、ウォルター皇帝陛下は崩御された)とも言われているが。

 自分のしでかした事の重大さが分かっていない娘イザベラは生涯、修道尼にしろ、一生、女性以外と逢うことは許さず、修道院から外には出すな。

 この事、固く息子、アーサーに申し付ける。

 それが、ウォルター皇帝陛下の事実上の遺言になった、と私は聞いている。


 実際、イザベラ様は、今でも何で自分が修道尼にならなければなかったのか、分かっていないらしい。

 今から私が逢う姉、フローレンス姉様は、そう私に言っている。


 今、帝国の皇帝は、アーサー皇帝陛下だ。

 そして、私の義兄、エドマンドが事実上の皇太子になっている。

 表向きは、アーサー皇帝陛下の同父母弟のサムエル殿下が、皇太弟になられてしかるべきなのだが、実際はエドマンド義兄さまの子なのを、アーサー皇帝陛下もエドマンド義兄さまもご存知なことから。


 サムエルは、エドマンドの養子となった身、仮初めでも父となった者を臣下とすることは、人の道に反するという建前から、エドマンド義兄さまが事実上の皇太子になっているのだ。

 そして、アーサー皇帝陛下は、エドマンド義兄さまに後を継がせたくないらしく、子作りに懸命に励んでいるが、さっぱり子どもができない。

 アーサー皇帝陛下に子どもはできないのでは、と私はそう疑うようになっていた。

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