↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2050年、人類崩壊。絶望郷と化した世界に抗う、少年達の物語――。【トゥエンティー・フィフティー・ベイビーズ】(近未来SF × ダークファンタジー)  作者: (冬ω冬)Win Poli(╹冬╹)
第五章 | 【Fifth Story of the Babies : 《特殊兵装、見参》】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/63

Episode 49 :【悲劇を断ち斬る、激流の刃】

 ――キシューイン……。ガチャッ……!!


【〝アマツボシ・リュウガ〟――認証完了。】


 龍雅《りゅうが》はスーツの内ポケットから、《アーマードバックル》を取り出し、腰部に装着。


 そしてすかさず、警察手帳を開くように《GP(ガラパゴスフォン)》をパカッと開き、ホルスターから引き抜いた〝アクセスカードキー〟を、ガラスケースに差し込んだ。


 そのまま龍雅は、手首のスナップを使って《GP》の画面を閉じ、バックルに装填《そうてん》する。


【《アーマード・システム》、始動。】


【《紺碧(コンペキノ)応龍(オウリュウ)》――迸《ほとばし》る激龍《げきりゅう》を、我が剣《つるぎ》に。】


 ――ガシュン、ギシュイィン!!


 電子音声の後、波模様の意匠を刻んだ群青の鎧が、龍雅を覆《おお》い尽《つ》くすように纏《まと》い付く。


 装着を完了すると同時に、龍雅の身体から、水飛沫《みずしぶき》が激しく弾け飛んだ。


 ――《紺碧応龍《コンペキノオウリュウ》》。


 水色に輝く刃の大剣と、渦潮模様の巨大な盾を携え、科学技術で再現した〝アクアキネシス〟(水を操る超能力)を駆使して戦う、激流の騎士。


 それこそが、龍雅専用の《特殊兵装》だ。


「フレンド君達! この場は俺に任せてくれ! 君達は、住民の避難《ひなん》や、他の《TYPE:D》の対処《たいしょ》に当たってくれ!」


 そう呼びかけると、龍雅は大剣の柄《つか》(剣を握《にぎ》るところ)に組み込まれたスイッチを押す。


 すると、大気中の水素と酸素が結集していき、激流《げきりゅう》の刃が生成される。


 これこそが、龍雅が愛用する大剣・《龍水剣《りゅうすいけん》》の最大の特徴《とくちょう》だ。


『了解しました!』


『任せましたよ、主任!』


 龍雅が戦闘モードに入ったのを確認した治安《ちあん》維持型《いじがた》達は、その指示に従って、場を離れる。


【グルルルルゥ……!! グギャアアアアアアアアアッ!!】


 束縛《そくばく》から解放された《TYPE:D》が、その鬱積《うっせき》した苛立《いらだ》ちを吐き出すかのように、裂《さ》けた口元を開いて咆哮《ほうこう》を上げる。


 そしてそのまま、口腔《こうくう》に巨大な炎の球を生成し、龍雅に向けて吐き出した。


 龍雅はすかさず、渦潮《うずしお》模様《もよう》が刻まれた盾・《海神《わだつみ》》を構え、水の防壁を展開し、火炎弾を受け止める。


 そして、圧倒的な物量差を以《も》って、《TYPE:D》が放った火炎弾を、一瞬の内に蒸発させてしまう。


 ――フシュゥウウウウウウッ……!!!


 高温を秘めた水蒸気が、周囲を覆《おお》い包《つつ》む。


 だが、《TYPE:D》は、翼を羽ばたかせ、それらを吹き飛ばしてしまう。


 それは、鮮明な視界を取り戻し、次の攻撃を仕掛《しか》ける策としては適切だ。


 しかし龍雅は、その時点で――相手を撃破する準備《じゅんび》を、すでに終えていた。


 龍雅は、華麗《かれい》な剣《けん》捌《さば》きで《龍《りゅう》水《すい》剣《けん》》を持ち替え、柄《つか》頭《がしら》(柄《つか》の先端)で《アーマードバックル》の側面を叩く。


【《狂《きょう》瀾《らん》怒《ど》濤《とう》海《かい》龍《りゅう》斬《ざん》》――発動。】


 ――ブシュウウウウウウッ!!!


 必殺技の発動を意味する電子音声が鳴り響いた直後、《龍《りゅう》水《すい》剣《けん》》の激流《げきりゅう》の刃が、その勢いを更に増す。


 やがてそれは、龍雅の肉体すら追い越してしまうほどの大剣へと、進化する。


 その後の龍雅の行動は、至って単純明快《たんじゅんめいかい》だ。


「ウオオオオオオオオオオッ!! セイッハアアアアアアアアアアアーッ!!!」


 全身《ぜんしん》全霊《ぜんれい》の力を脚部《きゃくぶ》に込めて、跳躍《ちょうやく》。


 そして、勇ましい雄叫《おたけ》びを上げながら、超絶進化した《龍《りゅう》水《すい》剣《けん》》を振り下ろす。


 ――ズバァアアアアアアアアンッ!!! 


 放たれたのは、潜水艦《せんすいかん》すら両断する、破壊の斬撃。


 それは、優に10メートルを超える巨大な翼竜《ドラゴン》すらも、真っ二つに斬《き》り裂《さ》いた。


【グギャアアアアアアアアアアアアアアーッ!!!】


 ――ドガガァアアアアンッ!!!


 こうして《TYPE:D》は、大地が震えるほどの断末魔《だんまつま》の叫びを上げながら、爆散《ばくさん》した。


「今すぐに撃破する」という言葉通りの、完全なる大勝利。


 しかし、今の龍雅には、その余韻《よいん》に浸《ひた》る一時の休息すらない。


 龍雅は、《特殊兵装》の装着を解除することなく、バックルから《GP》を取り出し、その画面に表示される《TYPE:D》の位置情報を即座《そくざ》に確認する。


 龍雅にとって、《TYPE:D》の個体としての強さは、実は然《さ》したる脅威《きょうい》ではない。


 一番の脅威《きょうい》は――その数なのだ。


 現在、〈御門(みかど)大江戸(おおえど)〉内で確認できる《TYPE:D》の個体数は、確実に減ってはいるが、それでも数えきれないほどの個体が反応している。


 先程の戦闘のように、必殺技を発動して一瞬で撃破し続ければ、事は容易《ようい》に進む……のだが、現実はそう上手くいかない。


 なぜなら、必殺技はポンポンと連発できず、使用後には制限機能《セーフティロック》が起動する仕組みになっているからだ。


(とにかく、今は一刻一秒が惜しい。ここで立ち止まっている時間はないな)


 《海神《わだつみ》》を前方に放り投げ、サーフボードに乗るかのように両足を乗せる。


 次に、盾の裏側に埋め込まれたスイッチを、踏み込む。


 それにより、《海神《わだつみ》》から勢いよく水が噴出され、地上を滑るという形での高速移動を可能にする。


 こうして龍雅は、次なる戦場へと、疾走していく。

〝異形の翼竜(タイプ:ドラゴン)〟を、一刻も早く、討ち滅ぼすために――。


----------


 命とは 剣を握れば いとも容易く壊せるのに

 この両手で掬《すく》っても 指の隙間から零れ落ちてしまう


 「ならば、せめて この手の中にある命だけは」と

 流れを断ち切る刃で 一滴《ひとしずく》の祈りを護り抜く


(雨津星(あまつぼし) 龍雅(りゅうが))


-----------


挿絵(By みてみん)


《紺碧応龍》

-----------


<次回予告>


≪時を同じくして、朱音もまた、《TYPE:D》と対峙《たいじ》していた。≫


(……これは……かなーりマズい状況やな……)


(でも、悪いけどな……ウチは、こんなところで終われる人間じゃ、ないんよ)


次回――Episode 50 :【たとえ、窮地に追い込まれようと】


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。