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2050年、人類崩壊。絶望郷と化した世界に抗う、少年達の物語――。【トゥエンティー・フィフティー・ベイビーズ】(近未来SF × ダークファンタジー)  作者: (冬ω冬)Win Poli(╹冬╹)
第四章 | 【Forth Story of the Babies:《我等、人類を守る盾となり》】

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Episode 47 :【翼竜、襲来】

 ――ビビビビビーッ!! ビビビビビーッ!!


 突然、喧《けたた》ましいアラーム音が、治療室に鳴り響く。


 そして直後、鶴亀《つるかめ》を映したモニターが、空中に表示された。


 その瞬間、くつろぎながら談笑していた2人の顔が、険しいものとなる。


『緊急速報……。

〈アフターエリア〉から、夥《おびただ》しい数の 《ネスト》が、お引っ越ししてきたよ……。

 どうやら、電磁《でんじ》結界《けっかい》の緊急メンテナンス中に、突破されちゃったみたい……』


「えっ……!?」


 驚きを隠し切れない俺とは違い、雨津星《あまつぼし》さんと鳳紫《ほむら》さんは、今もなお冷静だ。


「マジかいな。フレンドちゃん達は、大丈夫なん?」


『流石に《TYPE(タイプ):D(ディー)》が相手じゃ、分が悪過ぎるよ……。

まあ、ある程度は、すでに対処してくれているみたいだし、御の字っちゃあ御の字だけどね……』


「……《TYPE:D》?」


 初めて聞く言葉に、思わず首を傾げる。


「《TYPE:DRAGON(ドラゴン)》の略。

 そのまんま、ゲームとかで出てくるドラゴンによく似た《ネスト》……ってところや。

 現在確認されている中で、最も手強い相手やで」


「ちなみに、君が倒した〝蜂《はち》の《ネスト》〟は、《TYPE:INSECT(インセクト)》――《昆虫のネスト》に該当する存在だな」


 ……成程。


 そういえば〈狭間(はざま)交信局(こうしんきょく)〉に向かう際、「白髪《はくはつ》の剣士が、巨大な鼠《ねずみ》を倒した」というニュースが、掲載《けいさい》されていたな。


 おそらくだが、そいつは《TYPE:哺乳類》とでも呼ぶべき存在なのだろう。


 ……そしてそれは、黒豹《くろひょう》に変異した、音葉《おとは》もまた――。


「それで、具体的な数は?」


『いちいち数えるのも面倒……。

 見た感じ――あ、今、一つ減った……』


「……? 一つ減った?」


 鶴亀《つるかめ》が、何かの探知機能を見ながら会話しているのは、分かる。


 だが、「一つ減った」という言葉の意味は、よく分からない。


 この場にいない鳴宮《なるみや》か、それとも俺の知らない他の特殊構成員が、すでに対処していたということだろうか?

 

 ……いや、雨津星さんの話だと、「特殊構成員は、《《現在では》》、彼と鳳紫さんを含めた、4人だけ」だったはず。


 その4人とは、雨津星さん、鳳紫さん、鳴宮、鶴亀……で間違いないだろう。


 つまり俺は、現時点ですでに、特殊構成員全員と面識がある状態なのだ。


 だとすれば、「他の特殊構成員が~」という可能性は、ないと断言していい。


 とすると、治安《ちあん》維持型《いじがた》のフレンドが、すでに対処している……と考えるのが自然な流れだ。


 ……しかしそうなると、今度は目の前にいる2人の、《《その微妙な表情》》の説明が、つかなくなるのだが……。


『鳴宮君には、君達2人より先に伝えてはいたけど、こんなに早く対応できるとは思えないね……。

だとすれば、可能性として考えられるのは……』


「……やはり、《《あの少年》》か」


 鶴亀が、まるで俺の考えを読んでいたかのように、呟いた。


 雨津星さんも、続くように、ぽつりと零す。


「少年……?」


 思わず聞き返すが、それを遮《さえぎ》るかのように、鶴亀が続ける。


『詳細な数と位置情報は、もう2人の《ガラケー》に転送しといたから……。

 仕方ないから、僕も出動するよ……。枕を高くして寝たいしね……』


 鶴亀がそう言い終えると、空中モニターが、プツンと消える。


 その後、《二つ折り携帯電話》を開いて情報を確認した2人は、そのまますぐに行動に移ろうとした――。


 その時、思わず、声が出た。


「待ってください。俺も行かせてください」


 ……言った瞬間、自分の軽率さにハッとする。


 あの時、鳴宮に言われた、「俺に勝てないようでは、《ネスト》の相手など務まらない」という言葉が、胸に突き刺さる。


 そもそも、今の俺は、ただの負傷者だ。


 最も手強い《ネスト》と称されている《TYPE:D》と戦ったとしても、足手纏《あしでまと》いにすらならないだろう……。


「……夏神君。

 君をスカウトした立場で、こんなことを言うのも、心苦しいが……それでも、聞いてくれ」


 そんな俺の葛藤を察したのか。


 雨津星さんは、戸惑いも呆れもせず、真剣な表情で、俺を見据えた。


「君は、『勇気と無謀《むぼう》の区別が付いていない』という、大きな欠点を抱えている。そのことを重く受け止め、充分に理解してほしい。

 俺は君に、戦場で華々《はなばな》しく散ってほしくて――特殊構成員にしたわけじゃない」


 冷徹《れいてつ》な言葉が、心に突き刺さる。


 今の雨津星さんに、先程までの温厚で柔和な雰囲気など、微塵も感じられない。


 俺の目の前にいるのは、〈A.E.G.I.S(イージス)〉の主任として……同時に、戦う使命を背負った戦士として、《ネスト》という怪物を倒す覚悟を決めた男だ。


 しかし、雨津星さんのその言葉は、鋭くも優しいもので……自然と、すっと胸に入ってくるものだった。


「……あーっと。ほな、ナッチャン?

 それならウチも、ちょっと言わせてもらうで?」


 続いて鳳紫さんが、明るく笑いながら、口を開く。


「自分の未熟さや非力さを受け入れるっちゅーのも、成長するために大事やと、お姉さんは思うで。

 まあとにかく、今日のところは、リュウさんとウチに任せとき。恥を忍んで人に頼るっちゅーのも、立派な強さやで?」


 言葉のニュアンスや態度に違いこそあれど、俺のことを本気で思ってくれていることに、違いはない。


 そんな2人に、そこまで言わせてしまったのなら、俺としては……もうこれ以上、何も言うことはない。


「……分かりました」


 心の中にある迷いを押し殺し、俺は素直に従うことを選んだ。


 雨津星さんも鳳紫さんも、完全に安心したわけではないみたいだけど――状況は、一刻一秒を争うものだ。


 だから、2人はそれ以上何も言わず、風を切るように治療室を後にした――。


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<次章&次回予告>


≪まさに、《ヒューマネスト》の中で最強と言える、強靭無敵な翼竜。≫


『――なあ、リュウさん。ナッチャン、あれで納得してくれたんかな?』


(夏神(なつみ)君が無謀な行動をしてしまう前に、そして何より人々の犠牲を最小限に抑えるために、今すぐに――撃破しなければ)


次章――【Fifth Story of the Babies : 《特殊兵装、見参》】


次回――Episode 48 :【相対する、翼竜と応龍】


-----------


 第四章、完結!


 ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!


 物語を最後まで見届けてもらえたこと、心から感謝しています!


 もし少しでも心に残ったものがあれば、

一言だけでもレビューや応援コメントをもらえたら、とても励みになります!


 それでは、また次の章で、お会いしましょう!


 「【T.F.B】の物語が、あなたの人生に、小さな輝きを届けられますように!」


 ----------


 PS. 本作のキャラや世界観を表現するイメージソングやPVなどを、YouTubeで公開しています。


 物語をもっと楽しみたいな、と思っていただけた方は、もしよければ、そっと覗いてみてくださいね!


 Youtubeにて、

 「トゥエンティー・フィフティー・ベイビーズ」

 ……と、検索してみてくださいね!

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