↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2050年、人類崩壊。絶望郷と化した世界に抗う、少年達の物語――。【トゥエンティー・フィフティー・ベイビーズ】(近未来SF × ダークファンタジー)  作者: (冬ω冬)Win Poli(╹冬╹)
第二章 | 【Second Story of the Babies:《出会いと別れ、それは新たな運命の幕開け》】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/60

Episode 19:【それは、誰にでも起こり得る惨劇《げんじつ》】

 ――ドゴォオオオオオオンッ!!!


 ――突如(とつじょ)、突風か、あるいは爆発の如(ごと)き衝撃波によって、俺は大きく宙に浮かび上がり、吹き飛ばされてしまう。


(くそっ……!! だが、この程度……!!)


 斎賀(さいが)先生特製の〝電磁(でんじ)結界(けっかい)ジャケット〟のおかげで、何とか意識を保ったまま、受け身を取って安全に着地することができた。


「な……夏神(なつみ)さん!」


「っ……俺は大丈夫だ。だが……」


 子供達がすぐに駆け寄ってきたのを見るに、俺は相当な距離まで吹き飛ばされたようだ。


 だが、何よりも気に掛けなければいけないのは……音葉(おとは)の存在だ。


 しかし、爆発の影響によってか、アスファルトを濡(ぬ)らしていた雨が蒸発し、その水蒸気によって、視界は霧(きり)の中にいるかのように不鮮明だ。


 これでは、音葉がどうなったのか、確認することができない。


「みんな、俺のそばを離れるなよ!!

 くっ……いったい、何がどうなって――っ!!?」


 ――ズシン……ズシン……!!


 水蒸気の霧の中、大きく地を鳴らす音を響かせながら、巨大な影がこちらに近づいてくる。


 その直後、突然に突風が吹き荒れ、霧を吹き飛ばしたことで、俺達はその巨大な影の正体を、すぐに知ることができた。


 ……いや、《《知ってしまった》》、という方が、正確だろう。


(……音葉……?

 いや、違う……あれは……!!)


 そこにいたのは、鋭い鉤爪(かぎづめ)が伸びる鋼鉄籠手(ガントレット)を着けた脚と、二又(ふたまた)に分かれた尻尾から伸びるキャノン砲が特徴的な、身長7mほどの――黒豹(くろひょう)の、《ヒューマネスト》だった。


【グルルルルゥ……!! ギシャアアアアアッ!!!】


 黒豹は、耳を劈(つんざ)く咆哮(ほうこう)を上げながら、俺達を踏み潰さんと、その巨大な前脚を大きく振り上げた。


「っ――!!」


 俺は咄嗟(とっさ)に《HERO(ヒーロー)》を引き抜き、マガジンにバッテリーを装填。ガシャッと撃鉄を起こす。


 ――バシュウウウッ!!


 そして、黒豹の鋼鉄籠手(ガントレット)に覆われていない部位に照準を定め、レーザーを照射した。


【ギジャアアアアッ!!!】


「みんな、今の内だ!!

 ここは俺に任せて、早く遠くに逃げろ!!」


 黒豹が怯(ひる)んだ隙(すき)に、続けてレーザーを照射して牽制(けんせい)を続けながら、他の子供達に避難を促(うなが)す。


 だが、目の前に《ヒューマネスト》が現れたこと、そして音葉の消息が未だ分からないこと……。


 その2つの要素は、まだ幼い子供達から思考能力を奪うには、充分(じゅうぶん)すぎる力を持っていたようだ。


「っ……!! 音葉はきっと、生きている!!

  〝TEAM(チーム)・CATS(キャッツ)〟のリーダーは、大好きな君達を置いて、いなくなったりはしない!!

 だが、君達が死んでしまったら、音葉を悲しませてしまう!!

 今はそれだけを考えて、とにかく逃げるんだ!!」


 ……俺の叫んだ言葉は、何の判断材料もない、憶測もいいところだ。


 普通に考えれば、音葉が無事に生きている可能性よりも、もうすでに……そう考えてしまう方が自然だということは、他の子達も分かっていることだろう。


 しかし、憶測だろうと出まかせだろうと……微かな希望に縋(すが)り付(つ)かなければ、人は生きていくことができない。


 たとえその可能性が、限りなくゼロに近くても、わずかな希望を信じること……その心の強さが、生きる力と勇気を与えてくれるのだ。


 そんな俺の想いを乗せた言葉を――どうやら3人の子供達は、きちんと受け取ってくれたみたいだ。


「――!! 2人とも、早くこっちに!!」


 キョウカが先導役となって、近くのビルの物陰へと、みんなを避難させてくれた……。


 それが確認できたのが、何よりの答えだ。


【グルルルルゥ!! キシャアッ!!】


 その直後、黒豹は《HERO》を警戒してか、後方へと大きく跳躍(ちょうやく)し、距離を取る。


 奴が唸り声を上げながら、俺の一挙一動を警戒しているその場所は、先程の爆発の痕跡が大きく遺されている場所――。


 俺が音葉を、抱き起こした場所だった。


「…………!!?」


 ――ちょっと待て。


 今、あの黒豹が立っている場所が、俺の勘違《かんちが》い・記憶違いでなかったとすれば――音葉は、いったいどうなったんだ?


 もしも音葉が、黒豹の餌食(えじき)になったにせよ、先程の爆発で木っ端微塵になったにせよ……その周囲には、血痕や衣服の切れ端など、何かしらの痕跡が残るはずだ。


 だが……そんなものは、一切見当たらない。


 まるで、神隠しにでもあったかのように、音葉の痕跡は何一つ、残っていなかったのだ。


 それに……この黒豹の《ヒューマネスト》は、いったいどこから現れたんだ?


 もし、すでに近くにいたとしたら、〝ネスト速報〟が反応していたはずだ。


 だが、ネスト速報からの避難警報は、現在もまだ発令していない。


 つまり、この黒豹は、《《たった今、この場所で、》》突然に現れた《ヒューマネスト》だということ――。


「……まさ、か……」


 ……それは、あまりにも突拍子もなく、荒唐無稽(こうとうむけい)で……できることなら、信じたくない……信じられない考えだ。


 だが、もしそれが答えだとすれば――今のこの状況の、全ての答え合わせができる。


(……まさか、ありえない……。

いや、でも……もし、もし本当に、音葉が――)


----------

<次回予告>


【ギシャアアアアアッ!!!】


(……やるしか、ないのか……!!)


「……音葉……!!」


次回――Episode 20 :【消えた少女の面影】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。