リベンジ・フォース
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再招集命令は静かに下された。
だが、その内容は決して静かではなかった。
「……十階層へ、再突入」
赤星帝――三等陸佐は任務概要を前に、一瞬だけ目を閉じる。
脳裏に蘇るのは、あの門。
光、変質、そして血。
「目的は二つ。選抜隊員への《ギフト》付与による戦力増強」
一拍。
「および――赤星三佐、貴官の“再付与”の可否確認」
室内の空気がわずかに張り詰めた。
「……二度目があると?」
「可能性は否定できません」
あの門が何を基準に“与える”のか、未だ誰にも分からない。
「同行は十二名。SFGpおよび特別警備隊からの選抜だ。加えて、護衛として百五十名規模を投入する」
これは調査ではない。
戦力創出作戦だ。
同時刻。
在日アメリカ軍。
「同時進行で行く」
ノーマン・ガーランド少佐は短く告げる。
「こちらも十二名。選び抜け」
特殊部隊の中でもさらに絞られた精鋭。
誰一人として動じない。
「十階層まで押し上げる。途中の損耗は織り込み済みだ」
低く、確実な声。
「……今度は、使いこなすためにな」
作戦当日。
塔内部・第一階層。
そこに広がっていたのは、かつての灰色の荒野ではなかった。
「……これは」
強化床、防壁、補給コンテナ、通信設備、発電ユニット。
巡回する兵士たち。
完全に基地化された塔内部。
「ようこそ、“前線”へ」
ノーマン・ガーランド少佐が立っていた。
以前よりも大きく見える体躯。
そして、それ以上に変わった“圧”。
「三雲のことは残念だったな……三尉……いや、赤星三佐、だったな」
赤星は歩み寄る。
「お久しぶりです、ノーマン少佐」
視線が交差する。
「……お互い、多くの仲間を失いました」
ガーランドはわずかに口元を歪める。
「ああ、そうだな」
一歩、踏み出す。
二人は互いに力強く握手を交わす。
「だが――生かされた俺たちには、やるべきことがある」
その声は力強い。
「……そうだろう?」
赤星は短く息を吐く。
「ええ。再び、上を目指しましょう」
一瞬の静寂。
ガーランドが笑った。
「――リベンジだ」
その一言で空気が変わる。
ざわめきが広がる。
米軍、自衛隊。
言葉も文化も違う兵士たちが、同じ方向を見る。
塔の奥。
交差する巨大階段、その先。
誰もが理解していた。
これは防衛ではない。
調査でもない。
奪い返す戦いだ。
「各員、準備を整えろ!」
号令が響く。
装備確認、武器装填。
選抜された十二名が前へ出る。
その中には――これから人間をやめるかもしれない者たちがいる。
赤星はその背中を見つめる。
(……二度目があるなら)
それは進化か。
それとも――
破滅か。
塔は沈黙している。
だが確実に、“次”を待っていた。
人類側の準備は整った。
――第二次攻略作戦、開始。
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