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91話 村で待ちかまえるもの

 村の方角から立ち上る黒煙に嫌な胸騒ぎを覚えて走るリィン。息を切らしてたどり着いた先で待ち構えていたものは!?


 ゴオオオォォォォ……

「はぁ、はぁ……そ、そんな……!!」


 燃え盛る炎に包まれ焼ける建物、衣服を赤く染めて地面に横たわる無数の村人達……そんな想像すらしたくない凄惨な光景だった!


「誰かぁぁぁーーーー!! 誰かいないのですかぁぁぁーーーー!?」


 状況を確かめようと必死に周囲へ呼びかけるが……


「――――――」


 返事を発する者はなく、聞こえてくるのは無慈悲に何かが燃える音ばかり。


「くっ! 誰でもいい……誰か返事を……」


 だが、それでも一途の望みを持って呼びかけを続けていると……


「来るな!! それ以上オレに近づくな!!」


 どこからともなく村人の怯えた声が聞こえ、急いで向かうが!?


「ぎゃああああーーーー!!」


 残念ながら一足遅く、声の主は無残に地面へ倒れて悲しい最期を迎える。


「そっ、そんな……ぐっ!」


 倒れた村人を前にして歯を食い縛るリィン。視界の先には、白銀の鎧に身を包んだ若い人間の男が、真新しい血に濡れた剣を持って立っているのが見える。


「この男が……我等の村を!!」


 瞬時に目の前の存在がこの惨状を巻き起こした元凶と判断し、有無もなく制裁の魔法を放つ!


「死して償いなさい! ウインド・ツイスタァァァァーーーー!!」


 怒り任せて起こす強力な竜巻は、男をめがけて一直線に向かうが!!


 スパッ!

「えっ!?」


 何とまるで虫でも追い払うみたいな剣の一振によって、あっさり掻き消されてしまう!


「バ、バカな!? 岩をも削り砕く魔法なのに!」


 渾身の魔法をあまりにも簡単に返されて当惑するも、何かの間違いだと思い込み、さらなる魔法を続ける!


「ならば今度は、もっと威力な……くらえ!ウインド・ツイスター・ダブル!!」


 次に出す魔法は二本の竜巻を合体させ、より強力かつ極大なサイズの竜巻となって男の全てを飲み尽くそうと襲いかかる!


「こ、これなら防げまい!!」


 村人達の仇が討てる……そう確信た瞬間、彼女の視界には一筋の光が走る!


「なっ!?」


 まさに一閃といえる光の正体は、男の剣技による鋭き一振。彼の目の前にそびえる竜巻(脅威)は一刀両断にされ、さらに剣の余波から生まれる風圧は鋭き刃となってリィンの身体をも傷つける!!


「ぐはぁぁぁぁーーーー!!」


 切り札を潰された挙げ句、ダメージを受けて地面に膝を着くリィン。幸運にも急所は外れたが、力の差は圧倒的なまでに深刻……


「ま……まだです!! まだ……終わりませんよ!!」


 それでも折れたくない彼女は、懸命に立ち上がって戦う姿勢を示す!


「村を……こんな目に合わせたオマエを……我は……我は絶対に許せ……許せ……くそっ!」


 だが、心のどこかでは相当に相手を恐れているらしい。なかなか“絶対に許せない”というセリフを最後まで続けられない……その時だ!


『絶対に許すわけにはいかないわ!!』

『これだけの重大なる愚行、余は絶対に許さんぞ!!』


「こ、この声は……」


 背後から聞こえる頼りがいある声に、リィンは泣きそうになって振り向く!


「一人で突っ走り過ぎよリィン。私達は仲間でしょ!」

「コイツの言う通りだ。戦う時は三人一緒だ!」

「アディアさん! 魔王様!」


 三人が揃い、いよいよ反撃開始……っと思われたところ、アディアは対峙する男の顔を見て我が目を疑う!


「何故……何故、アナタがここに!?」


 聞かれた男は、顔見知りを相手にするかのように気安い感じで口を開く。


「やぁアディア。久しぶりだね」


 男の正体、それは……


「ギルハート……何故、アナタがここにいるのよォォォォーーーー!?」


 アディアのみならず、三人が復讐の対象としている勇者ギルハート本人だ!!

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