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90話 戦いのあとで

「はぁ、はぁ……」


 残った騎士を全て葬り去り、ようやく休息をとるアディア。何も敷かない地面に腰をおろしてゆっくり休んでいると、魔王が側にやって来て声をかける。


「どうだ、さすがに疲れたか?」

「フフ……まあね」

「そうか。ならば、もう少しだけ休んだら村へ戻るとしよう。リィンもそれで……うぉ!?」

「ハイ!!我は魔王様に従います!!」


 嬉しそうに距離を詰めて答えるリィンの圧力に対し、魔王は若干引く。


「う、うむ……では意見が一致したということで、しばしの休憩だ」


 提案により、三人は揃ってその場で休憩。休んでるは軽い雑談を交わしつつ、ある程度の時間が経ったところで魔王がスッと立ち上がって口を開く。


「そろそろ出発するぞ。二人とも準備はいいか?」

「私は大丈夫よ」

「我も問題ありません」


 了承がとれたところで出発。すると村へ向かう帰り道、リィンがふとアディアへ訊ねた。


「―――気になってたのですが、アディアさんは同族についてどのような考えをお持ちなんですか?」

「え? 唐突に何の話?」

「あ、いえ、アディアさんはさっきの戦いで何人もの騎士……人間の命を奪いましたよね? それについて……その……」

「もしかして、罪悪感があるのかを訊いてる?」

「ハ、ハイ! 失礼かとは思ったのですが……その……」


 センシブルな質問をされたアディアは、しばらく考え込んでから答える。


「う~ん……ぶっちゃけて言うと、完全にな(・)い(・)とは言えないわね」

「や、やっぱり……スミマセン」

「何で謝ってるの?」

「え? だって、アディアさんは……我のために……やりたくもないことをやって……」


 リィンが申し訳なさそうに喋ってると、アディアは彼女の顔をジっと見つめて言う。


「……いいかしら?」

「あ、ハイ。どうぞ!」

「確かに私と彼等は同じ人間。命を奪えば、多少くらいは心が揺れたりはするわ」

「………」

「でもね? それが仲間のためになるなら、私は躊躇も後悔もしないわ」

「ナ・カ・マ?」


 リィンは戸惑いの表情をみせる。


「っそ、リィンは私にとって大事な仲間。だから、そのためになら……って、恥ずかしいから言わせないでよ!」

「あっ、ハイ、スミマセン!」


 はぐらかすアディアの態度に、何かを気づかされて謝るリィン。これ以上はこの話題を続けるのは邪推と判断し、無理矢理に別の話題へシフトするが?


「えっと、それじゃあ……最近の経済状況とかについては……ど、どう思われますか?」

「……無理しなくてもいいわよ」


 あまりにもわざとらしく見える行為だったため、アディアからは半ば呆れられてしまうのであった。


 ―――その後は適当に景色を眺めながら歩いていると突然、魔王が足を止めて声を上げる!


「オイ、あれを見てみろ!!」


 指差された方を見ると、無数の黒煙がもくもくと立ち上るの光景が映った!


「あの方角は……まさか! 我の村が燃えてる!?」


 瞬時に只ならぬ事態が起きていると判断したリィンは、村長としての責任からか急いで村へ走る!


「ちょ、リィン!」


 当然、アディアも彼女のあとを追おうとしたが……


「待て!!」


 何故か魔王によって止められてしまった。


「な、何なのよもう!? 私達も早くいかないと!!」

「そんなことはわかってる! ただ……」

「た(・)だ(・)って……何よ?」

「と、とてつもなく悪い予感がするんだ……くれぐれも……いや、絶対油断はするな!」


 青ざめた顔ではっきりされる忠告に、アディアは不安を覚えるが……


「と、とにかく、今は彼女を追って村へ向かうのが先決。いいわね?」

「ああ、それについては異論ない」


 結局は二人とも、リィンを追って急いで村へ移動するのであった。

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