88話 足掻き戦う騎士達
再び戦う気力を取り戻した騎士達を前にして、アディアは今更ながらに相手の残り人数を確認していた。
「ひー、ふー、みーの……全部で七人か」
彼女自身の実力を考慮するなら、この程度の人数はまるで脅威にはならない。しかし、全員が死ぬ覚悟で向かってくるというなら話は別だった!
「騎士団の誇りにかけて、正義を貫き通すぞ!!」
「オレ達ならやれる! 必ずやれる!!」
目を血走らせる彼等は自分自身を奮い立たせ、ゆっくりとアディアへ近づく……そして!
「かかれぇぇぇーーーーーー!!」
かけ声と共に、全員が一丸となって襲いかかった!!
「へぇ、恐れもせずに一気にきたわね。だったらこっちも遠慮は無用……くらえ! デス・インパクト!!」
迎え打つアディアは、大槌を猛烈な勢いで地面に叩きつけて揺らす!!
「ま、またあの技だ!」
「狼狽えるな! 足場が揺れるだけで、直接的なダメージを狙ったものではない!!」
誰かの騎士のアドバイス通り。今の技は相手の機動力を制限させるものであって、ダメージを狙ったものではない。
「なるほど、少しは頭の回るヤツがいるみたいね」
ただ技の本質を見破られても慌てないアディアは、彼等が自分の間合いに入るまでジっと待ち続け……
「ここだ! デス・サイス!!」
恐怖の刃による一網打尽を狙う!!
「来たぞ! 防御態勢だ!!」
「「応!」」
指示を受けて集団の中から躍り出る三人の騎士。彼等は自分達へ向かって来る刃の軌道上に立つと、手にする剣を互いにタイミング良く合わせて刃を受け止める!!
「「うおおおおおおおーーーーーー!!!」」
気合いで堪える三人の勇気ある騎士。いや、堪えるどころか……
「「いっ、けえぇぇぇぇぇぇーーーーーー!!!」」
受け止めた刃を跳ね返す!!
「なんですって!?」
まさかの反撃に面を喰らうアディアは、戻ってきた刃を辛うじて避ける!
「お、驚いたわね。三人がかりとはいえ私のデス・サイスを跳ね返すなんて……リィンが言ってたけど、確かに連係した力は侮れないかも知れないわ」
少なからず冷や汗を流して、相手を見くびっていたことに反省を覚えると、改めて気合いを入れ直して対峙!
「よし! こうなったら、全盛期の魔王と戦うつもりで本気の全力で望むしかないわ!」
大槌をギュっと力強く握り締めると、三人の騎士へ猛スピードで突進!
「さぁ、もう遊びはないわよ!!」
みるみる距離を詰めるアディア。これに対して騎士等はその場で踏み止まり合図を出す!
「今だ! 左右から挟み込め!!」
「なに!?」
迫るアディアの両側から二人づつ……計四人の伏兵が不意打ちを仕掛けた!!
「ここにきて全員で連係を!? まずい! このスピードだと止まれ……いや! このまま突っ切る!!」
減速どころか加速するアディア。おかげで両側の攻撃を躱し、速度を維持したまま前にいた三人の真ん中に立つ騎士に的を絞って勢いのままに頭上へ大槌を振り落とす!
「まずは一人!!」
ベキャ!
「――――――!!」
頭蓋骨が砕ける音を鳴らして絶命する騎士。両脇にいた二人が一瞬気を取られた瞬間!
「戦いの最中に気を抜くバカがいるか!!」
「なっ!」
「えっ!」
注意された二人だったが、内容を理解する前に双方共に横殴りの一撃を頭部に喰らって肉片をぶちまける!!
「これで三人。残るは……」
アディアがゆらりと振り向いて見る先には……
「……アンタ達だけってことね!」
憎しみに満ちた目で睨みつける、四人の騎士達が立つのであった!




