82話 剣vs竜巻
挟み撃ちをする前方地帯―――
リィンの魔法によって岩壁に叩きつけられたクライアン。彼の自らの機転により、絶好の機会を得たノーランはリィンの心臓にめがけて剣を伸ばす!
「うおおぉぉぉーーーー!!」
だがあと僅かで切っ先が届く寸前、彼女は素早く身を捩って攻撃を躱す!
「その程度のこと、見抜けないと思いましたか?」
「くそっ!」
悔しがるノーランは急いで体勢を立て直すが、その隙を狙われて無数の魔法の矢が彼を襲うを!
「ウインド・アロー!」
「!!」
ノーランは咄嗟に剣を振り回して防御するも、当然それだけで全てが防げぜずにダメージを受ける!
「ぐぐ……こんなもので……」
強がって耐えてもダメージは明確。そこにリィンが、とどめの魔法を放とうとする!
「!!」
しかし、不意に頭上からの攻撃を察知して中断。慌ててその場から跳び退いて難を逃れる!
ザスッ!!
直後、彼女が立っていた地面には剣が突きつけられており、同時に岩壁に叩きつけられていたクライアンが視界に映る。
「くっ、外したか……」
目的を遂げられずに悔しそうに剣を握り直す彼を見て、リィンはタメ息をついて反省の弁を口にする。
「ふぅ。あのウインド・ツイスターで倒し切れないなんて、我もまだまだ詰めが甘いか」
その後、気を取り直して再び魔力を集中してると……
「オイ、早くヤツを囲め!」
「急いで逃げ道を塞ぐんだ!」
多数の騎士達が彼女の周りを取り囲む!
「やれやれ、こんな真似をしなくても我が逃げ出すわけないのに……」
ただ囲まれる彼女の方は然したる反応もなく、かまわずに魔法を発動。
「……ウインド・ツイスター」
生み出された竜巻から吹かれる暴風が、周囲の騎士達を圧倒的に一掃していく。
「うわああああーーーー!!」
「ダ、ダメだあぁぁぁーーー! このままだとやられるぞ!!」
皆が悲痛な叫びを上げてパニックになるなか、団長であるノーランが微動だにせず喝を入れる!!
「狼狽えるな!! 我等は胸に正義を司る王都騎士団、この程度の脅威なんぞ容易く打ち砕かんでどうするんだ!!!」
「「…………!!」」
啖呵が効いたのか、逃げ腰になっていた騎士等の目の色が変わった!
「そ、そうだ……オレ達は騎士だ!」
「こんなところで、挫けて堪るか!」
彼等かま完全に騎士の誇りを取り戻したところ、ノーランはさらに続ける!
「お前達は強い!! 我等の正義を魔族に見せてつけてやるんだ!!」
「「おおおおおおおおぉぉぉーーーー!!!」」
奮起する騎士達は素早く隊列を組み、まるで一本の剣となって竜巻へ突撃!
「なっ、死ぬつもりですか!?」
リィンは狂気染みた行動に一瞬怯むが、すぐ様に魔力を追加して竜巻を強化!
「蹴散らせ! ウインド・ツイスター!!」
負けずに騎士等も突撃のスピードを上げる!!
「魔族を倒せぇぇーーー!」
「人類に正義をーーーー!!」
ズガガァァァーーーーンン!!
轟音と共に、双方が激しく衝突! 結果は!?
「「ぐああああああああぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」」
バリンッ!!
騎士の剣が竜巻を貫き、完璧に脅威を打ち砕いた!!
「バカな! ただ徒党を組んだだけの攻撃で我の魔法を破るだとぉぉぉーーーー!?」
信じられない光景に驚愕して固まるリィン。その瞬間に左右の岩壁からは猛スピードで接近する二つの影が!
「良くやったぞお前達! あとは団長であるこのノーランと……」
「副団長のクライアンに任せなさい!!」
主力二人による左右からの同時攻撃に、彼女は決断を迫られる!
「くっ!どうすればいい!? どちらを迎撃しても必ず片方への反応が遅れてしまう!!」
まさに究極ともいえる選択。判断を迫られるリィンの顔には、明らかな焦りの色が見えるのであった!




