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83話 アディアVSバグタス

 元勇者パーティーであるアディアと巨漢のバグタス。彼等は互いの武器となる大槌と槍による鍔迫り合いで火花を散らしていた。


「この力……どうやらただの木偶の坊じゃないみたいね!」

「そっちこそな! おかしな格好をしてる割にはなかなかの腕前を……してるぜ!」


 譲らぬ両者。しかし、片方はこの状況を良しとはしなかった。


「オイ、お前等ぁぁぁーーー! オレ様が押さえてる内に、さっさとこの女をブッ殺せ!!」


 何とバグタスは、卑怯にも周囲の騎士達へ加勢を命じたのだ!


「バ、バグタスさんの命令だ! い、いくぞぉぉぉーーーー!!」

「「おおぉぉぉぉーーーー!!」」


 恥も外聞もなく言われるがまま動く騎士達。多勢にも関わらずにアディアへ襲いかかる!


「くっ! 一騎討ちに加勢を頼むなんて、男のくせにずいぶんとセコい真似をしてくれるわね!」

「オレ様は正義を抱える騎士だからな。例えどんな勝ち方をしても許される存在なんだよ!!」


 最低なセリフを平然と吐くバグタス。彼の心に如何なる意味の正義が抱えてるかは不明だが、少なくとも一般的なそ(・)れ(・)とは相当の乖離(かいり)があるに違いない。


 そして、だからこそ……


「―――やれやれ、どんな勝ち方でもか……まったく、これだ

 から矜持がない輩は嫌になる」


 誇り高い魔王はそんな恥知らずな行為を軽蔑し、見逃さない!


 パァン! パパパァン!!

「あがが……」

「い、痛ぇよ……母さん……」


 素早く連射された銃撃により呆気なく制圧されていく弱き騎士達。そのやられっぷりは、情けないを通り越して憐れに見えるくらいだ。


「助かったわ魔王。残りのヤツ等もお願いできるかしら?」

「ああ、こんな雑魚共ならいくらでも引き受けてやる。その代わり貴様は、そこのデカブツを確実始末するんだな」

「ええ、そうさせてもらうわ!」


 魔王の助力に感謝し終えるアディアは、改めて目の前の相手に集中。


「さぁて、バグタスさ(・)ん(・)だったかしら? これでホントに一騎討ちをするしかなくなったわね?」


 蔑む口調で牽制するアディア。これにバグタスの反応はというと?


「ハハハ……そのムカつく口の利き方は気に入ったぜ。いいだろう、こうなったら本気で潰してやるよ!!」


 強気な態度で一騎討ちに応じ、鍔迫り合いの状態から強引に押し込む!


「オラ! さっさと潰れっちまいな!!」

「……ぬっ!」


 巨体を生かした圧力に押されるアディア。付き合い続ければジリ貧になりかねないと判断し、咄嗟に身を躱して力の行き先を変えると……


「うぉっ!」


 支えを失くしてバランスを崩したバグタスの隙を狙い、大槌の柄を相手の右足首に引っ掻けて薙ぎ払う!


「おおおっ!?」


 さらにバランスを崩すバグタス。だが、彼は槍をつっかえ棒にして転倒を阻止!


「残念だったなぁ。このオレ様が、簡単にひっくり返せるわけがねぇだろ!」


 さらに巨漢に似合わぬ動きで槍を軸にして独楽の如く回転し、アディアを容赦なく蹴り飛ばす!


「――――――!!」


 声を発する間もない勢いで岩壁に激突する彼女。魔王が慌てて駆け寄ってから呼びかけるも!?


「オイ、貴様!! 一体何をやってるんだぁ!?」

「…………」


 気を失ってるらしくて反応がない。


「ぐぐ……本当に何をやってるんだ貴様は……余にこんな心配……いや、そうじゃない!!」


 不意に過った何かを打ち消したく頭を左右に振る魔王。気を取り直すと、目をカッと見開いて銃をかまえる!


「……何のつもりだ小僧? まさかオレ様とやり合いたいと言うんじゃないだろうな?」


 見下す発言に怯むことなく言い返す。


「当然だ! 余は偉大なる魔王……絶大なる力をもって、お前を葬ってくれるわ!!」


 小さい身体ながらも臆することなく戦う意思を示す魔王。その勇姿はまさに彼が魔王であるかことを証明していた!!

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