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80話 道を塞ぐ者

 切り立った岩壁に囲まれた長い道のり。団長のノーランを先頭に率いる百人の騎士が村へ向かって進軍してると、彼等の前には目的地の村にいるはずの村長の老婆が姿を表す。


「おや、これはこれは騎士様方。こんな大所帯でどちらへお向かいですかな?」


 百人を騎士に対してまったく臆しない老婆。ノーランは不審感を隠し、紳士的に応じる。


「これはこれは村長殿。じつは今から、貴殿の村へ立ち寄ろとしていところなのです」

「私の村へ? ですがその人数ですと、大したおもてなしは出来ませぬぞ」

「なぁに、気遣いは無用です。我々の目的はただの調査ですから」

「調査? はて、村の者に何か落ち度でもありましたかな?」


 へりくだった話す老婆。だが、ノーランはその態度に誤魔化されまいと核心に触れる。


「数日前……王都からそちらへ訪問した者がいましたよね?」


 明らかに何かを探る問いに、老婆は予想していたともいえる口調で答える。


「あの顎髭を生やした騎士様のことですか? あの方なら、その日の内に視察を済ませて……」

「待った!」


 ノーランは発言の途中で割り込む!


「何故わかったのですか?」

「はい?」

「私が言った者が騎士であることを。しかも、顎髭の特徴まで明確に仰いましたよね?」

「!?」


 老婆の額に流れる一筋の汗、彼はそれを見逃さない!


「ネタは上がってるんだよ村長(ババァ)! いい加減にまどろっこしい真似はやめてルドルフの所在を吐きやがれ!!」


 語気を強めて詰め寄るノーラン。しかし、老婆は何食わぬ顔で思い出したかのように言う。


「ルドルフ、ルドルフ……ああ確かに数日、そんな名前の騎士様が村へ訪れてましたね」

「フッ、やはりな。さぁ早くそいつの……」

「……ですが、彼は今頃お仲間の方々とゆっくりとお休みになられてはずですよ」

「なに?」

「冷たい土の中でぐっすりと……ね!」

「き、貴様!!」


 全てが手遅れだと確信したノーランが剣を抜こうとしたその時!!


 パチン!


 老婆が指を弾くと、次の瞬間には羊の角を生やした若いメイド服の美女へと変わる!


「その角! お、お前は……!?」


 老婆は……いや、正体を表したリィンはスカートの両側の裾を持って会釈(えしゃく)。そして、冷たい笑みで告げる。


「お察しの通り、我は魔族です。偉大なる魔王様に仕える従順な下僕となる“暴風のリィン”。無知で愚鈍なアナタ方を闇へ葬る者になります!」


 言い終えた直後、彼女は一気に魔力を解放する!


「いきますよ! ウインド・ストーム!!」

「くぉ!」


 突如とし吹き荒れる突風にノーランを含めた百人の騎士達が怯むなか、一つの影が前に飛び出す!!


「図に乗るな下衆な魔族め! 我が剣の錆(さび)となりなさい!!」


 荒れ狂う猛風を切り裂き、リィンの眼前へ迫るクライアン。その決死の一撃を彼女の頭上へ振り降ろされようとするが……


「ウインド・ストームを抜けますか……ならば、これはどうです!? ウインド・ツイスター!!」


 今度は凄まじい竜巻がお起り、勇敢なる騎士は岩壁へ吹き飛ばされて叩きつけられる!!


「ぐはっ……!」


 ダメージを受けるクライアン。だが、表情には余裕があった。


「今です!ノーラン団長!!」


 何とクライアンは相手の意識を自分に向けさ、ノーランに攻撃の機会を与えたのだ!


「でかしたぞクライアン! うおおぉぉぉーーーー!!」


 彼の期待に応えるために剣を両手で握って走るノーラン。その鋭い切っ先は、リィンの心臓を確実に捉える!!

ついに80話まできました!

作者としては初めて書く集団戦闘になりますが、がんばって書きますので応援よろしくお願いいたします!!

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