78話 迫る百人の騎士
百人の騎士が村へ近づきつつあるなか、アディアと魔王とリィンの三人はリビングのテーブルに広げた地図を眺めながら作戦会議を行っていた。
「―――お察しの通り、現在百人の騎士がこの村を目指して進行中です。さらにその数から推測するに、いつもの視察と異なる目的であるのは明白……よって彼等を“脅威”と見なし、我々はそれを殲滅させる必要があります!」
リィンの状況説明を聞き、魔王が質問。
「百人を殲滅か……策はあるのか?」
「相手は騎士です。個人の実力が低くても集団で連係されたら侮れませんので……」
彼女は地図の一点を指差して言う。
「この場所は左右が切り立った高い岩壁に囲まれており、ほぼ一直線で道幅もそう広くありません。ですので、この地点で前後から挟み撃ちにすれば……」
「相手に逃げ場を与えることなく、一網打尽にできるってわけだな?」
「ご名答です魔王様!」
二人が作戦の大筋について納得してるなか、アディアが気になる質問をする。
「ねぇ。挟み撃ちはいいとしても、その作戦を実行するには必然的に片方が二人。もう片方は一人だけになっちゃうけど、内訳はどうするの?」
「もちろん、一人側は我が引き受けるつもりです!」
当然だと言わんばかりに胸を叩いて引き受けるリィン。だが、アディアは心配そうに訊ねる。
「大丈夫なの?」
「問題ありません。そもそも向こうの狙いは我が統治している村。それならば、我が率先して負担を背負うべきなのは当然のことです!」
「……わかったわ。アナタそう言うなら、私と魔王は反対側から仕掛けることににするわ」
「よろしく頼みます」
こうして作戦の詳細が決まり、あとは実行に移すだけとなるが、魔王にはどうしてもアディアのことで気がかりなことがあった。
「……なあ、貴様。確認なんだが、本気でその格好のままでやる気か?」
「そうだけど、なにか問題ある?」
「あ、いや。貴様が平気ならそれでいいんだ」
「変な魔王ね?」
そう、魔王はアディアの格好を気にしていたのだ。自分の母親の形見であるビキニアーマを装備した彼女を見て、彼なり色々と思うところがあったのだろう。
ただ本人がそれを問題にしないなら、彼としては口を出せない……っていうか、出したくもなかった。
―――数十分後のリィンが地図で指し示した地点にて。
見晴らしが良好な場所へ移動していた三人は、地形を確認しながら最終的な打ち合わせを行っていた。
「確認です。最初に我が騎士等の前方で行く手を阻み、魔法で混乱させます。そしてそこからは……」
「私と魔王が背後から一気に奇襲をかけて蹴散らす……っで、いいのよね?」
「ハイ、よろしくお願いします」
「魔王それで大丈夫よね?」
「当たり前だ。貴様こそ遅れをとったりするなよ?」
「へぇ、言ってくれるじゃない」
―――会議が終わり、しばらくして……
「オイ、見えてきたぞ!」
魔王の言葉通り、彼等の視界の先には切り立った岩壁に囲まれた道を規律正しい二列隊列で歩を進める百人の騎士の姿があった。
「あらあら、ザコ達が雁首を揃えて仲良くやって来たわね」
「まったくだ。自分達が何をされるかも知らずに、バカなヤツ等だ」
「同感です。愚かな行為は最悪な結末しか生まないことを徹底的に教えてやらなくてはいけませんね」
悪役幹部並み張りのセリフをスラスラと吐く三人。彼等は互いに顔を見合わせて頷いたあと、各々の役割を果たすために各持ち場へ向かっていくのであった。




