表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/76

72話 絶対的な隙

「覚悟……ええ決まってますとも……魔族に組する愚か者を抹殺し、その汚ならしい臓物を引きずり出してやる覚悟がなぁぁぁぁーーーー!!」


 大事な部下を殺されて怒りに燃えるルドルフ。だが、彼はいきなり飛びかかるような愚かしい真似はしなかった。


『……さぁ、どうするんだルドルフ? 相手は魔王を倒した英雄の一人。生半可な戦い方では間違いなく返り討ちだぞ』


 客観的視点から自身の状況を分析し、勝利をその手に掴むために様々な思考を必死に巡らせる。結界、辛うじてながら単純かつ明快な作戦へたどり着く。


「一撃だ……絶対的な隙を突いた一撃に勝負を賭けるしかない!!」


 腹を括るルドルフは再び吼える。


「大罪人アディア! いざ、尋常に勝負だ!!」


 相手がとてつもない強敵であるのは紛れもない事実。しかし、人間(ひと)である以上は必ず隙が生まれるはず。そう信じて回避に専念するが……


「な、何て危険過ぎる攻撃だ……これでは軽くかするだけでも致命傷になりかねんぞ!」


 それはまさに死と隣合わせの行動。ただそれでも精神を削られながら辛抱強く耐え続けてれば、やがては思惑通りの機会が訪れる!


「はぁ、はぁ……そろそろ()()か」


 およそ一秒を越えるか越えないかの短い時間。ルドルフは何もない場所へわざと視線を向けてアディアに巧妙な心理的トラップを仕掛ける。


「さぁ、どうなる!」


 我ながら博打(ばくち)な策ではあったが、彼女は見事に釣られて戦いから意識を手離す!


「今だ!」


 一瞬にも届かない絶対的な隙。ルドルフはその隙を逃さないために初めて自ら前へ出る!


「とったぞ、大罪人アディア!!」


 鋭い剣の一撃が吸い込まれるように彼女の喉元へ……と思いきや!?


「やっぱりここを狙ってきたわね、」


 何とアディアは大道芸人の如く、狙われた喉で剣を受け止める!!


「バ、バカなっ!?」


 ルドルフは予想もしない防ぎ方をされて狼狽えるが、剣を突きつけてる有利は変わらない。なので無理にでも貫こうと力を込める!


「ぬおおおぉぉぉーーーー!!」


 しかし彼女の喉はあまりにも強靭で強固ため、やむを得ず一旦あきらめて距離をとろうとするが……


「あまい!!」

 ベキッ!

「がぁ……!」


 離れ際に強烈な回し蹴りを喰らってしまい、肋骨(ろっこつ)を数本持っていかれてしまう!


「はぁ、はぁ……ぐはっ!」


 吐血! どうやら折れた骨が内臓に突き刺さったらしいが、それでもルドルフは目に宿る光を失わずにアディアを鬼の形相で睨みつけて罵声を浴びせる!


「ま、魔族に組する愚かな英雄よ! た、例えこの身が朽ちようとも……貴様だけは必ずこの手……ぎゃが!!」


 ただ悲しいかな。彼の最後のセリフは無慈悲な脳天への一撃によって人生ごと強制終了させられてしまった。


「悪いわね。中途半端なところで終わらせて」


 後ろめたさをまったく感じさせずに詫びの言葉を吐くアディア。彼女は目の前に転がる無残な亡骸(なきがら)を一瞥すると、罪悪感を一切感じさせない軽い足取りでリィン達の待つ村へ帰還するのであった。

ついに10万文字を突破しました!

これからもどんどん書き続けるので、よろしくお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ