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71話 騎士ルドルフの戦い

「大罪人アディア! いざ、尋常に勝負だ!!」


 部下を殺されて怒りに燃え上がるルドルフ。さっそく問答無用で飛びかかる……かと思いきや、彼は意外にも冷静に相手の様子を窺っていた。


「あら? 派手に激昂しておきながらかかって来ないなんて……だったら、こっちからいくしかないわね!」


 一方のアディアは完全にイケイケモードに入ってるため、逆に自ら飛び出して大槌を横一閃でフルスイングさせる!!


 ブォン!!

 しかし、豪快な一振は風切り音を鳴らすだけであっさりと躱されてしまった。


「へぇ。今のを避けるなんて、さすがは隊長といったところかしら?」

「……」

「あら黙り? じゃあ……次はこういうのはどうかしら!?」


 再び振るわれる大槌の攻撃。今度は一撃だけで終わらせず連続で打撃を繰り出していく!


「でゃああああーーーー!!」


 だが、その全ては老獪な回避テクニックによってことごとく避けられて徒労に終わり、フィニッシュになる振り下ろしさえもジャンプ一番で躱されて無駄に地面へめり込ませるだけだった。


「くっ、ちょこまかとよく動く……だけど、着地の瞬間を狙われたらイチコロよ!!」


 言葉通り、ジャンプした後の着地の瞬間こそに隙は生まれる。よってそこを狙った追撃の一撃が振るわれるが!?


 ルドルフは正面に構えていた剣でそれを受け流して軌道を変え、さらには勢いを利用して彼女の体勢を崩す!


「や、やばっ!」


 慌てるアディア。だがここでルドルフは不安定になった相手に攻撃は行わず、何と安全圏といえる距離にまで退いのだ!


「えっ、どういうこと? 決定的とまではいえないかもだけど、今のはかなりのチャンスだったはず……にも関わらず、何も手を出さずに退くなんて一体?」


 アディアは困惑しつつも考える。そして、ある結論を導きだす!


「もしかして……私に()()()()の隙ができない限りは攻撃をしないつもり?」


 だとしたら呆れるくらいに慎重な男だ。ただ逆に言えば、彼攻撃を仕掛ける時は確実にこちらの負けに繋がることになる。


「ふ~ん、だったら……」


 策を思いくアディアは、頭部を無防備といえるくらいに前面に突き出した前傾姿勢をとる。そして……


「さぁ! これだけの隙を作ってやれば攻撃がしやすくなるでしょ!!」


 敢えてその体勢のまま突進し、わざと攻撃させてカウンターを狙う……っという作戦は見透かされていたようで、余裕綽々で躱されて徒労に終わってしまった。


「もう! これでも手を出さないなんて……うぶなネンネじゃあるまいし慎重にも程があるわよ!」


 そんなあくまでもよっぽどな隙に拘るルドルフの姿勢に苛ついていると、不意に彼の視線がある場所へ向けられているのに気づく。


「何かあるのかしら?」


 彼女もそれとなく視線を移してみるも、そこには何も目欲しいものは見当たらない。


「はて? 一体何を見てたのかしら?」


 不可解な行動に思考を奪われたその一瞬、ルドルフは信じられない速度で接近する!


「し、しまった!」


 視線を使った(トリック)にハメられたと理解したのも後の祭り。殺意の塊となった剣の切っ先は、狡猾(こうかつ)な獣が獲物を仕留めるが如くアディアの喉元へ襲いかかる!!

次回で大台の10万文字越えです!

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