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61話 大槌の威力

 魔王が魔力切れによりダウンしていた頃。アディアはゴメルの店に訪れいた。


「お疲れー、修理の方は終わってるかしら?」

「よぉ、アンタか。ちょうど今仕上がったところだ。ほらよ!」


 そう言われて受け取った大槌にアディアは驚く。


「すごい……まるで新品みたいにピカピカじゃない!」

「だいぶ汚れていたからな。念入りにクリーニングしといたぜ」

「ありがとう……あれ? よく見たら、ここの部分が前とちょっと形が違わない?」

(ヘッド)の部分だろ? 使っていた(はがね)を少し削り落として代わりに比重が軽いミスリルを足したんだ」

「……他にも何かした?」

「柄の部分も数ミリ程度だが削って細くしている。()()()を効かせた強力な打撃が打てるようにな」

「へぇ、色々やってくれてるのね」

「まぁな。とにかく全体的にアンタの手に馴染むように調整したつもりだ」

「確かに、修理の前に比べたらしっくりした感覚があるわ」


 ゴメルの仕事ぶりに感心するアディア。彼女はパワーアップした武器を使いたくてウズウズする。


「ねぇ、これちょっと試してみてもいい?」

「なら、いい場所があるから案内してやるよ」


 ―――村から離れた人気のない岩場にて。


「ここは?」

「いわゆる鍛練場みたいなところだ。たまに村の若いもんが剣や魔法を練習するために使ってるみたいだな」

「ふーん……っで、ここで大槌を振り回してその辺の岩をブっ叩いてみろと?」

「他に何があるんだ?」


 それもそうだなと、アディアは大槌の柄を強く握る。


「じゃあ適当に……あの岩なんてどうかしら?」

「あの岩? どれだ?」

「正面にあるやつよ……」

「正面……って、まさか!?」


 ゴメルが驚くのは無理もなかった。何故なら彼の視界に映っていたのは確かに岩でも、その大きさはちょっとした一軒家を超える大岩だったからだ!


「危ないから下がってて」


 アディアはゴメルを離れた位置に移動させると、自分が差し示した大岩の前に立ってかまえる。


「お、おい……」

「気が散るから黙って!」


 周りを静かにさせ、雑念を払うかのように目を閉じて集中。そして!?


「シッ!」


 短い息を吐く同時、()()()を利かせた一撃が火を吹く!!


 ビキビキビキィィィーーーーーー!!!


 大量の火薬を一気に爆発させたような衝突音と共に、岩には打撃点を中心にした蜘蛛の巣の如き亀裂が走る!


「す、すげぇ……ゴクッ!」


 ゴメルがあまりの威力に息を飲んだ瞬間!


 ズガガガアアァァーーーーーー!!!

 大岩はバラバラに砕け散り、目の前の景色が一変!


「ほわぁぁぁ~! こ、こりゃあ完全に災害レベルだ!」


 もはや目を見開いて仰天するしかない威力。それを生み出した自身の仕事にゴメルが身震いする一方、アディアは彼が携わったおかげで手に入れた破壊力に感謝の意を示す。


「ありがとうゴメル。アナタ、とっても良い仕事をしてるわ♪」


 良い仕事。それは職人にとって最大限の賛辞であるので……


「ハハハ! お褒めにいただきありがとよ!」


 ゴメルも彼自身を評価してくれた礼として、彼女へ最大限の喜びを言葉にして表すのであった。

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