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55話 足止めされる二人

「二〇三号室になります」


 宿屋の受付で手続きを済ましたザクノバは、腰痛で息も絶え絶えになったロゴスに肩を貸して二階の部屋へ向かう。


「ほらよジイさん。これでゆっくりできるだろ?」

「うう……苦労をかけてスマンのぉ」


 青い顔のロゴスを慎重にベッドに寝かせると、彼自身も隣のベッドに腰を下ろしてようやく一息つく。


「ふぅ、杖さえ無事だったら魔法であっという間に治療してやれたんだがな」

「いやいや、こうやってベッドに寝かせてもらえるだけでもありがたいわい」


 己の無力を嘆くザクノバに感謝を示すロゴス。その様子はとても仲良しそうだ。


「さて……ワシは少し眠る。お主は気晴らしに散歩でもしてきたらどうじゃ?」

「散歩かぁ……そうだな。代えの杖を探しがてら少しぶらついてみるか」


 ということで、ザクノバは一人で外出。


「―――ええと、宿屋で聞いた話だとこの辺りに……おっ! ここだな」


 訪れたのは武器屋。杖を探すためにやってきたのだが……


「悪いな、エルフのにいちゃん。あいにく杖は品切れなんだ」


 早々に店主に言われ、手ぶらで退店することに。


「やれやれ、無駄骨かよ……」


 しかし、それでも諦め切れなくて他の店も探索しみるが……


「ちっ、ここもダメか」


 剣や槍はいくらでもあるくせに、何故か杖だけは一向に見つからなかった。


 ―――それから数日後。ザクノバはアディアとの再会を果たし、現在の状況へ至っていた。


「調子はどうだいジイさん?」


 夜の宿屋にて療養を続けるロゴスに具合を訊ねる。


「だいぶ良くなったわい。ほれ!」


 そう言ってややスローな動きでベッド立ち上がると、ゆっくりながらも案外しっかりとした足取りで歩いて見せる。


「へぇ、順調に回復してるみたいだな」

「おかげ様でな……っで、お主の方は代わりになる杖は見つかったのか?」


 ザクノバは首を振って答える。


「何件かは当たってみたが、どこもダメだったよ」

「そうか、それは残念じゃな」

「まあな。だからジイさんには早く全快してもらわないと困るぜ」

「フォフォフォ。心配しなくても、この調子なら明日には元通りよ!」

「期待してるぜ」


 ロゴスに回復の兆しが見えて一安心……そう思われたところに?


 コンコン!


 何者かが部屋のドアをノックする。


「ルームサービスでも頼んだのかジイさん?」

「んにゃ、ワシは何も知らんぞ」

「「…………」」


 無言で顔を見合わせる両者。


「……下がっててくれジイさん。オレが対応する」


 不穏な空気を感じたザクノバは、慎重にドアの横に張りついてノックの主へ訊ねる。


「何の用だ?」

「…………」

「おい、聞こえてるのか?」

「…………」

「そっちからノックしたんだ! 何とか言ったらどうなんだ!?」

「…………」


 声を荒げても返事はない。


「ただのイタズラか?」


 そう結論付けるも、確認のためにドアを開ける。


 ガチャ! ガチャガチャ……!!

「どうしたんじゃ?」

「い、いや……」


 ガチャ!ガチャ!!

「開かねぇ! 外側から細工がされてるみてぇだ!」

「なんじゃと!?」


 突然の非常事態に二人は慌てる!


「た、立て付けが悪いとかじゃないのか?」

「それはねぇ。さっきオレが入室した時には、何ともなかったはずだ!」

「ぬぅ……となれば閉じ込められたということか? しかし、誰が何のために!?」

「知るかよ! とにかくドアが使えねぇなら、別の出口だ!」


 すかさず二人は窓に注目。すると彼等の視界には、メイド服を着た怪しい女の姿が映っていたのであった!

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