54話 彼等もここにやって来た!
アディアと魔王がリィンの村へ訪れるほんの少し前。彼等に多大な被害を及ぼしたロゴスとザクノバもまた、別のルートを通ってこの地へ訪れていた。
「う~む、古めかしい建物に所々が舗装されてない地面。それに、まばらに歩き回るどこか古めかしい格好の者達……これまたずいぶんと田舎臭いところじゃな」
ロゴスが不満そうに村の印象についた率直な感想を述べていると、隣で周囲を見回すザクノバもそれに続く。
「ジイさんの言う通りだな。オレもこんな田舎臭い場所には一分一秒だっていたくないぜ」
「ふむ……じゃがのぉザクノバ。否定的したワシが言うのもあれじゃが、田舎には田舎の良さがあるとも思わんか?」
「というと?」
「ここは敢えて王都の喧騒を忘れ、のんびりとした雰囲気を楽しむのも手ではないかということじゃ♪」
「う~ん。言われたらそんな気もしないでもないが……」
「じゃろ? それにこういう田舎なら、意外と隠れた銘酒や地酒が味わえる……なんてこともあるかも知れんぞ?」
嬉々として自身の願望を口にするロゴス。ザクノバはそんな彼にやや呆れながら同意。
「やれやれ……わかったよジイさん。アンタにつき合うとするぜ」
「フォフォフォ、決まりじゃな♪」
「へいへい。それじゃさっさと……」
「おうとも! 酒場へ向かって出発……ぐわぁっ!!」
意気揚々と最初の一歩を踏み出そうとした瞬間だった。ロゴスが突然悲鳴を上げて踞ってしまう。
「どうしたんだジイさん?」
ザクノバは何事かと声をかけた。
「きゅ、急に動いたせいか……こ、腰が……」
「はぁ!? まさかギックリ腰とか言わねぇだろうな!?」
「そのまさかじゃ」
「マ、マジか……」
さっきまでとは打って変わって悲痛な表情をみせるロゴスは、大量の脂汗を流している。
「仕方ねぇ、ここはひとまずは医者だ! こんな田舎でも診療所の一つくらいはあるはずだからな!」
そう言ってロゴスを急いその場から連れ出そうとするが?
「ま、待つのじゃザクノバ……」
「何だよジイさん?」
「い、医者は嫌いじゃ……そ、それに……今下手に手を出されたら、腰が爆発しかねん!」
「はぁ? じゃあどうすればいいんだよ?」
「うう……一先ず宿屋に連れていってくれ。ベッドで二、三日も休めば大丈夫なはずじゃ」
「しかしなぁ。オレとしては医者にみせた方が安心だと……」
「た、頼む……横にさえなれば……ごわあああっっっーーーー!!」
「今度はどうした?」
「こ、腰に……ワシの腰に……ドラゴンが噛みつきおった!」
「ドラゴンって……あんまり往来でバカなことを言って騒がないでくれよ。周りのヤツ等からボケ老人みたいに見られ始めてるぜ?」
「そ、そうは言うがのぉ……この痛みは、さすがに……へぎゃあああーーーー!!」
「あ~あ~、こりゃ本格的にダメそうだな」
もはやどうしようもない仲間の窮地に、ザクノバは頭を不安そうに抱える。




