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52話 エルフの魔法使い

 引き続きゴメルの店にて……


 修理の依頼を終えたアディア。彼女はしばらくの時間を店内で過ごした後、何気に口を開いた。


「ねぇ、ゴメル? リィンからこの町のみんなが魔族だと聞いたけど、もしかしてアナタもそうなの?」


 聞かれたゴメルは彼女から預かった大槌を熱心に眺めながら答える。


「ああ、それがどうかしたのか?」

「見た目が普通の人間に見えるから、ちょっと気になってたのよ」

「……たまに人間相手にも商売してるからな。普段は魔法で角を隠すようにしてるんだ」

「ふ~ん、魔族だってバレたことは?」

「ないな。この間も杖が折れたエルフの魔法使いが客としてやって来たてたが、まったく気づかれる気配がなかったぞ」

「へぇ、杖が折れたエルフの魔法使……い!?」


 杖が折れた魔法使い。アディアには覚えがあるワードだ。


「ん、どうしたんだ?」

「ううん、何でもない……っで、そのエルフの魔法使いはどうなったの?」

「杖の代用品を探していたみたいだが、あいにくここは魔族の村で、誰も魔法を使うために杖を必要としない。

 だから悪いとは思ったが、品切れってことで御退店を願ったよ」

「そ、そう……」


 その後、アディアは当たり障りのない会話をしばらく続け、頃合いを見計らって店をあとにした。


 リィンの屋敷へ向かう帰路にて―――


「さっきの話……たぶんザクノバよね? まさかこの村に?」


 思わぬ情報に心をざわつかせるアディア。考えに集中し過ぎていたせいか、前をよく見ずに歩いていると……


「きゃ!」

「うぉ、危ねぇ!」


 案の定、通行人にぶつかってしまう。


「ごめんなさい! 私ったら……」

「いや、こっちこそすまない。考えごとをしていてもんで……」


 どうやらぶつかられた相手も前方不注意だったらしく、互いに謝罪してこの場を済ませようとしていたのだが……


「……アディア?」

「え、ザクノバ?」


 まさかの再会に両者は見合ったまま驚愕! しかし、数瞬後には敵対関係であることを思い出して互い距離を取って身構える!


「よ、よりによって、こんな場所でかち合うとはな……」

「それ、私も同意見よ」


 相手の出方を窺う両者。しばらく睨み合っていると、互いが丸腰なのに気づく。


「なぁアディア。大槌(いつものヤツ)はどうしたんだ?」

「さ、さあね……そっちこそ、御自慢の杖はどうしたのよ?」

「つ、杖ぇ? 今日は散歩中だ」


 下手な牽制をし合うも丸腰であることは変わらない。なのでここは戦うよりも……


「なぁ、ここ一旦話合わないか?」

「た、確かに……それもありかもね」


 やむを得ず、両者は話し合いを選択。


「よし! それじゃあどこか適当な場所で……おっ! ちょうどおあつらえ向きに茶店もあるじゃねえか♪」


 言った通り、彼の視線の先には周囲の背景とはあまり溶け込めてない派手な外見をした茶店が確認できる。


「あそこね。かまわないけど、店に入る前に一つだけ言っておくことがあるわ」

「な、なんだよ?」


 ザクノバは何を言われるのかと少し警戒!


「私、お金持ってないからね」

「へっ?」


 しかし、出てきた答えは肩透かしともいえる文無し宣言。よって……


「はぁ。好きなモンを奢ってやるから、とにかく一緒に来い!」


 最終的には財力にものをいわせ、アディアを上手く誘うことに成功するのであった!

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