43話 リィンの実力
「今度はアナタが吹き飛ばされる番よ!」
アディアはセリフを吐く同時に、渾身の力で大槌を振るう!
「くらえぇぇぇ! デス・スイングゥゥゥーーーー!!」
確実に相手の無防備な胴体を捉えたと思ったその時だ!
「甘いですよ、アディアさん」
ビュン!
何とリィンの姿が突如として目の前から消え、攻撃が空振る!
「バ、バカな!?」
不可思議な事実に戸惑っていると背後から……
「あらあら、アディアさん。我はここですよ」
「くっ!」
声に反応してその場から跳び退くアディア。急いで振り向けば、そこには消えたはずのリィンが平然と立っていた。
「いっ、一体何が!?」
疑念のセリフを漏らすが、リィンはそれを無視して次の行動へ移る。
「今度はこちらの番です!」
そう言った彼女は上空高くに跳び上がり、右手に魔力を込める!
「刻め! ディストロイ・ストーム!!」
上空からの魔法攻撃にアディアは身構える!
「相手の魔法はおそらく風系……ならば、無理に受けるよりかは!」
考えた末、彼女は避けることを選択!
バアアァン!!
攻撃は喰らわずに済んだが、立っていた地面は爆発でも起きたかのように深く抉れる!
「やれやれ避けられましたか。だったら……これなんかどうですか!?」
「えっ! また消えた!?」
再びリィンが姿を消した次の瞬間、今度はアディアの眼前に現れて素手による怒涛の連続攻撃を繰り出される!
「さぁ! どうしましたアディアさん!? このまま終わりですか!!」
「ぐっ、こんなもので……」
パンチやキックの攻撃に耐え凌ぐアディア。やがて徐々にこのリズムに慣れてきたのか……
「ここだ!」
一瞬の隙を見つけ、渾身の一撃を放つ!
「あ、またそれですか?」
ビュン!
「ぐっ、やっぱりダメか」
残念ながら結果は前回と同様の豪快な空振りに終わるが、ここである違和感に気づく。
「今の攻撃が避けられた瞬間、微かに風を切る音が聞こえたような……ハッ!そういうことか!」
「おや、その顔……何か勘づきましたか?」
リィンに言われた通り。アディアは彼女が使う魔法の正体に気づく。
「ええそうよ。アナタの魔法は“風”……それも恐ろしく高度に制御されたね!」
「!?」
攻撃の秘密を指摘され、リィンの表情が僅かに強ばる。
「い、いつ気づかれました?」
「恥ずかしながらたった今よ。アナタに攻撃を加えようとした際、わずかに聞こえる“ビュン!”という風切り音が決め手になったわ」
「ほぅ……」
「さらにアナタが消えたかのように思われていたのは、魔力を極限にまで圧縮し、それを一気に放出したエネルギーを利用した超スピードで移動していた結果に過ぎないわ!」
完全に相手の攻撃を見破ったと得意気になるアディア。だが、見破られた立場のリィンは焦るどころか、感心したように口を開く。
「フフフ、正解ですアディアさん。音一つでそこまで理解するなんて、案外優秀な方なんですね」
「……どうも」
アディアはどこか怪訝に思いながらも礼を返す。
「けれど、別にそんな些細なことがバレてもどうでもいいんですがね」
「え?」
「確かに我の魔法の真髄は強力な風の制御にあります。ですが、それがわかったところで……アナタは絶対に我に勝てません!」
直後、リィンはまたもや視界から消える!
「し、しまった! どこに……!?」
「そう! カラクリがわかったところで、対応できなければ意味がありませから!!」
「!?」
メキッ!
「がはっ!」
相手の姿を認識した瞬間、アディアの鳩尾には強烈な左ボディが叩き込まれる!
「ゲホッ! は、早い……」
あまりのダメージに膝を落としかけたところ、さらに強烈な蹴りで腹を蹴り上げられて宙に浮かせられ……
「さぁ、ここからは地獄の始まりです!」
ダメ押しともいえる後ろ回し蹴りが、無抵抗な彼女の身体に深く突き刺さった!!




