44話 かつての仲間から受けたアドバイス
リィンの後ろ回し蹴りによって深刻なダメージを受けるアディア。その後もさらに殴る蹴るの攻撃を受け続けた結果、無様に地面で仰向けになって倒れる。
「痛っ……まさか私がこうも一方的にやられるなんて……ね」
蓄積したダメージで意識が混濁するなか、アディアはふと昔のことを思い出す。
―――どこかの修練所にて、アディアはロゴスと共に激しめのスパークリングを終えて倒れていた。
「はぁ、はぁ……い、今のは一体何をしたのよ? 動くところも攻撃するところもぜんぜん見えなかったわ……」
息を切らす彼女は、傍で飄々としているロゴスへ訊ねた。
「ん? 今のは超スピードで軽くこずいただけじゃよ」
「超スピードって……それ本当なの?」
アディアは彼の言葉を疑う。
「本当じゃとも。ワシは嘘はつかん」
「へぇ。だったら、相手は反応する暇がないから攻撃し放題になるわね」
「……理屈ではなそうなる。じゃが、現実はそう上手くはいかんものじゃ」
「というと?」
「相手が反応できない程のスピードを仕掛けるとなると、仕掛ける者も危険が大きくなるんじゃよ」
「危険? 身体に多大な負担がかかるとか?」
「それもあるが、何より怖いのは相手にそれを対処された場合じゃ」
「対処……できるものなの?」
「できるぞ。やり方を聞きたいか?」
「是非!」
アディアは期待の眼差しを向ける。
「フォフォフォ、仕方ないのぉ。なら特別にエール五杯で教えてやるわい!」
「……え、タダじゃないの?」
「当たり前じゃ。ワシは武闘家であって、慈善家じゃないからのぉ♪」
「―――ああ……そういえばやってたわね。そんな話を……」
リィンの強烈な攻撃を受けて倒れていたアディアは、フラフラになりながらも何とか立ち上が……
「おや、まだやる気ですか? 我の動きにまったくついてこれてないのに無駄なあがきを!」
ビュン!
リィンはまたもや彼女の視界から消え、例の攻撃を仕掛ける!
「はぁ、はぁ……相手の攻撃方法は完全にわかってる……問題は、それに如何にその攻撃に対処するかだけど……」
悩めるアディアは、再びロゴスとの昔話を思い出す。
―――どこかの賑わう酒場にて。
「ちょっとロゴス! もう約束の五杯目を超えて八杯目よ! いい加減にさっきの答えを教えなさいよ!!」
なかなか本題に入らないロゴスに、アディアは苛立った様子で迫った。
「お、おお……え~と……何を教えるんじゃったかな?」
「惚けないで! 超スピードによる攻撃の対処法よ!」
「そうじゃった、そうじゃった……対処のやり方は簡単じゃ。まずは己の昂る気を鎮め、内なる心の眼を開いてから……」
「そんな達人論で語られても何の参考にもならないわよ! もっと万人受けなのはないの!?」
「ば、万人受けじゃと? う~ん、それなら……超スピードそのものを封じるしかないのぉ」
「封じる?」
「要は相手に力を使わせない。それが一番の対処方法なんじゃ」
「―――力を使わせないか……」
かつての仲間から受けたアドバイスを生かすため、アディアは周囲を見回す……すると?
「そうだ! アレを使えば!」
何と打開策が見つかり、速やかに行動へ移す!




