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41話 本性

無事に40話まできましたが……この先どうなることやら?

 村長の屋敷……もとい、リィンの屋敷内にあるリビングでは、アディアと魔王。それと家主であるリィンが食卓を囲んでいた。


「さぁ魔王。お口を開けてくださいな」


 自らが用意した料理をフォークに刺し、まるで幼子に食べさせるみたいに口へ運ぶリィン。だが、このお節介な行為は当然のように拒否されてしまう。


「やめてくれ。余はこんな()(リ・)でも中身はれっきとした大人だぞ!」

「こ、これは我としたことが、失礼しました魔王様!」


 リィンは出過ぎた真似だったと慌てて無礼を謝罪する。


「ふぅ……もうよい。それよりもだ」

「ハ、ハイ?」

「貴様の料理は相変わらず美味いな」

「お、お褒めいただき光栄でございます!!」


 今度は恍惚の表情をみせる彼女。どうやら、なかなかに感情豊かな人物のようだ。


 そして一方、アディアは出された料理を目の前にして難しい顔をしていた。


「う~ん……」

「あの、どうしましたアディアさん?」

「あっ! ちょ、ちょっとね……」


 声をかけられて曖昧に返すアディア……っが、リィンはこの態度で何かを察する。


「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。毒なんかは入れてませんから」

「ギクッ!」


 見透かされていたと驚くアディアにリィンは続ける。


「先程も言った通り、魔王様の従者にはそれなりの敬意は払うつもりです。なので一服盛るような無粋な真似をする気は毛頭ありませんので安心してください」


 あくまでもアディアを従者として扱おうとするリィン。その姿勢にはある種の潔癖ささえ感じさせていた。


「わ、わかったわ。それじゃ遠慮なくいただくとするわ」


 よってアディアは、罰が悪そうに料理を口へ運ぶ。


「……もぐもぐ」

「美味しいですか?」

「ええ、とてもね」

「それはよかったです♪」


 そうやって料理を食べ続ける三人だったが、やがて……


「あれ、魔王?」

「スースー……」


 疲れてしまったのか、魔王はいつの間にかソファーの背もたれにもたれかかったまま眠りについていた。


「あらあら、やっぱり子供の身体だと無茶が利かないみたいね。ねぇリィン、悪いけど寝る場所にまで案内してくれる? このままだとこの子が風邪を引いちゃいそうだからさ」

「承知しました。では寝室の方へ案内します」

「頼むわ」


 アディアは魔王を気遣うように両腕で抱えると、リィンの案内に従ってリビングから離れる。


 そして、着いた先は―――?


「えっ! 本当にここが寝る場所? ベッドも何もない空っぽの倉庫みたいな部屋なんだけど?」


 アディアが不思議そうに訊ねた瞬間。リィンは寝ている魔王を素早く彼女から奪い取る!


「なっ、何を!?」


 驚くアディアに落ち着いた口調で告げる。


「ご心配なさらずに。魔王様に危害を加える気はありませんので」

「危害を加えない? だったら何故!?」


 追及されるリィンは冷静に答える。


「魔王様は我の全てです」

「え?」

「あの日、我は魔王様に“秘術”を授けるはずだった」

「あの日?秘術? いきなり何の話を?」


 アディアは困惑している。


「アナタ達が城へ攻め込み、魔王様を討った日ですよ。あの日、我と魔王様は一つになるはずだったのです!」

「はぁ?」


 怪しい言動にますます困惑するアディアは、ここで魔王が彼女について発言していた内容を思い出す。


『一体いつからだっただろうか? リィンが余に対してあからさまに愛情を向けるようになったのは。貴様が勇者達と共に魔王城に攻めてきたあの日だって、ヤツは余に大事な秘術を授けると言ってきて……』


「あの日、そして秘術……そうか! リィン、アナタは私達が城へ訪れたあの日、秘術と称して魔王を手篭(てご)めにしようとしたのね!!」


 確信を突く質問に、リィンは禍々しく顔を歪ませる。


「手篭め……ええ、そうですとも! 我は……我等はあの日、一つになるはずだった……はずだったのにアナタ達は、二人の崇高(すうこう)なる時間を邪魔しただけに飽きたたず、魔王様に歯向かうという忌まわしい大愚行まで犯した!!」

「なっ、それって!」

「我は許せない……ようやく手を出しても差し支えがない年頃にまで達した魔王様との甘美な時間を奪い、焦がれた想いを遂げさせなかったクズ虫の存在を絶対に許せないっっっーーーー!!」

「ちょ、リィン。それは八つ当たり……きゃ!!」


 リィンが身勝手な思惑を露にしたその時、アディアには超大型台風級ともいえる強風が吹きつけた!!

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