39話 リビングでの会話
前回に続き、リビングではアディアを横に置いてリィンと魔王による会話が再開されていた。
「前述した通り、我等魔族は一丸となって諜報活動を行ってます。
王都でのあらゆる事件や政の調査してます。また同じの、周辺地域で起きた出来事についても大小問わずに目を光らせている所存です」
リィンがここまで話すと、魔王は感慨深く頷いて口を開く。
「そうか。貴様達は未だに魔王軍……いや、余のために働いてくれてるのだな」
「ハイ、我等一同は……」
「感謝する」
「え?」
「貴様等の献身と忠誠に感謝すると言ったのだ」
「ま、魔王様……ありがとうございます!!」
労いの言葉をかけられて感激するリィン。今度は逆に彼女の方から質問する。
「あ、あの魔王様。こちらからもよろしいでしょうか?」
「かまわん、申してみろ」
「で、では御言葉に甘えまして……今日は何用でこんな辺鄙な場所へ訪れたのですか?」
「ああそれか。余達は王都へ向かう途中で、たまたまこの村へ立ち寄っただけなんだ」
「王都に? あんな無駄に人間が集うだけの場所に出向いて何をなさるおつもりで?」
魔王は数瞬の間を置いて、険しい顔で答える。
「……勇者への復讐を果たすためだ。この女と共にな」
「復讐? その従者と二人だけで?」
「そうだ……」
「ちょっと待ってよ!」
従者という言葉に、アディアがまた口を挟む。
「私が従者ってどういう意味よ!? 言っておきますけど、この子は私がいないと何もできませんからね!」
「オ、オイ、貴様は何を言って……」
「だいたい、アンタが装備してる銃は私が用意したものだし。夜だって、一人が寂しいからって一緒のベッドで寝てるのは誰よ!」
「はぁぁぁぁーーーー!? 銃はともかく、寝るのは貴様が勝手に余を巻き込んでるだけだろうが!!」
下らない言い争いを始めるアディアと魔王。これにリィンが冷静に割って入る。
「失礼、魔王様。今この女の口から魔王様と一緒に同じベッドで寝てると聞こえた気がしたのですが?」
「ぬぐっ!」
後ろめたそうに視線を背ける魔王。だが、リィンはそんな彼をさらに追及。
「魔王様?」
「あ、ああ……確かに余はこの女と寝た。し、しかし、それはあくまで不可抗力というか……」
「寝たのですね?」
「うう……まあな」
何かを観念して吐露する魔王に、リィンは突然激昂する!
「呆れましたよ魔王様!! いくら欲情にかられたとはいえ、我以外の女……しかも人間の女なんかと寝るとは何事てすか!?」
「オ、オイ、誤解を招くような言い方はやめろ!」
「いいえ、やめませんとも! あああ、魔族の長である魔王が人間なんかと……なんて嘆かわしい!!」
両手で頭を抱えて嘆くリィンに、魔王は狼狽えながら言い分けするが?
「だ、だから、誤解だと……っていうか、落ち着いて……」
「これが落ち着ける話ですか!!」
彼女はテーブルを叩いてさらに激昂……いや、暴走をする!
「こうなったら仕方ありません! 今一度、我が徹底した教育を施して差し上げる必要があるようですね!!」
「い、いや、だから……とにかく一回落ち着いてくれ……なぁ?」
必死に宥め続ける魔王。だが、その言葉はなかなかに届きそうでなかった。




