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前世「降霊術師」の村娘B、婚約破棄されたけど今世こそ素敵な人と結婚したい!  作者: 三多来定


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76.ガーデンパーティーの招待客

 私のデビュタントでの婚約発表は、ジュリー様とニール様の思惑通り、華々しく大成功に終わった。


 王様と王妃様への挨拶も問題なく……どころか、王様直々にニール様と私の婚約発表をしたため、ホールにいた全員、私たちの婚約を認めざるを得なくなった。


 これには、グローカル公爵と隣国の王様からの根回し(アシュリー様の口添え)があったらしい。


 何はともあれ、次は婚約祝いガーデンパーティーである。


 しかし、また一つ、問題が起こっていた。






「クレアール公爵夫妻を婚約祝いガーデンパーティーに、ですか……」

 

 侯爵様の執務室に呼ばれた私とニール様は、侯爵様から婚約祝いガーデンパーティーに、クレアール公爵夫妻を招待することになった、という話を聞かされていた。

 クレアール公爵夫人は、ニール様の元婚約者のシンディ様である。


「ニールとココさんは複雑かもしれないが、いつまでも絶縁状態を続けるわけにはいかなくなったのだよ。ニール、これを……」

 侯爵様は豪華な封蝋の書簡をニール様に渡す。


 あの封蝋は、王家のものである。


「……陞爵(しょうしゃく)ですか……!」

 ニール様は珍しく驚愕の声を上げる。


 し、陞爵って、すごいことでは?

 侯爵の上だから、公爵になるってこと?

 

 私はつい、侯爵様の肩に憑いているジュリー様を見た。

 ジュリー様はほほ笑んで頷く。


「ワーネキー元公爵の領地をどうするかが問題となっていたのは知っているだろう? やはり公爵が二家だと難しいようだ。隣国との貿易の成功とアシュリー・シスネロス宰相の娘と婚約したことが決め手になったのだよ」

 侯爵様は私を見てほほ笑む。


 アシュリー様の影響大きいな!

 私はアシュリー様の足を踏んだことを思い出して目を泳がせる。


「王家はココのことをアシュリー宰相の実の娘ではないと疑っていると聞いておりましたが……」

 ニール様は書簡から顔を上げて言う。


 疑うも何も、実の娘ではない。


「それが、アシュリー宰相がわざわざデビュタントに現れたことと、アシュリー宰相とココさんがよく似ていたこと、アシュリー宰相がココさんの頭を撫でていたことで、愛娘(まなむすめ)に間違いないとなったそうだ」

 侯爵様は苦笑いをしている。


「ああ、アシュリー宰相とココは兄妹ですし、二人とも大伯父様似ですものね。頭は撫でていたのではなく、ココが昇天しないように押さえていただけでは……」

 ニール様は言いながら、私を見てぶふっと吹き出す。


 見ると、ジュリー様も口元を押さえて笑っている。

 

 私は笑うわけにもいかず、下を向く。

 実際、この昇天癖をなんとかしないといけないからだ。


 ニール様にときめく度に昇天していては、貴族の夫人など務まらない。

 だがしかし、私にとってはもっと重要なことがある。


 そう! 夜の営みの時に昇天したらどうするのだ! ということである。

 これが、今の私の最大にして一番の悩みなのだ!


 他に悩むことがあるだろう、というツッコミはお受けしない。


「まあそういうわけで、この婚約祝いガーデンパーティーでお互い歩み寄ったらどうかと王様とグローカル公爵から言われていてね……」

 

 侯爵様は笑っているニール様を見て苦笑いをしている。


「承知しました。絶縁は元々クレアール公爵が取り決めたことですので、クレアール公爵がよろしいのであれば私に異論はございません」

 ニール様は笑うのをやめて、キッパリと言い切る。


「私も同意見だ。グローカル公爵から小耳に挟んだのだが、どうやらクレアール公爵夫人がご懐妊したらしい。夫人の体調等に配慮した言動を心がけてほしい」


 侯爵様の「ご懐妊」という言葉に、私はニール様をチラリと見る。

 ニール様は少しほほ笑んで「はい」と言っている。


 ジュリー様も安心した表情をしている。


 良かった。シンディ様、きっと体調が良くなったのだろう。


 私の周りでは、最近ご懐妊が多い。

 そういえば、リリアンは出産予定日がもうすぐだ。

 

 ああ、私もニール様と早くそうなりたい。


 こんなふうに焦ってしまうのも、前世のせいなのだろうか……。






 侯爵様の執務室を退出して、ニール様がふぅと息を吐いた。


「ニール様、大丈夫ですか?」

 私はニール様を覗き込む。


「はい。少し安心してしまって……。シンディの話を心穏やかにする日が来るなんて、以前の私だったら想像も出来なかったでしょう……」


 ニール様の優しいお顔に、私の胸が少しチクチクとする。

 いや私、どれだけ嫉妬深いの!?


 正式に婚約したのに、焦ったり嫉妬したり、自分がさらに退化している気がする。


 ニール様は私の様子を見て、ふっと笑った。


「そんな顔しなくても、全てココのおかげなんですよ」


「……そんなことはありません。シンディ様に関しては、殆どジュリー様ですし……」

 私はうつむきながら言う。


「ああ、お母様も安心していましたね。お父様も絶縁を今まで見守って下さいましたし、私は本当に両親に心配ばかりかけていましたね……」

 ニール様は通路の先を見つめながら呟く。


 なんだか、ニール様のその言葉が、私にすんなり入ってきた。


 そうか。私たち、きっと、これからだ。

 結婚も妊娠もゴールじゃない。

 たくさん助けてもらって、やっと歩きだせるんだ。

 

「あの、私、シンディ様と仲良くなりたいです」


 私の言葉に、ニール様はほほ笑んだ。


「きっと私が妬けるくらいに仲良くなるんでしょうね」


 76話までお付き合いいただき、ありがとうございます!

 このお話も、残すところあと5話となりました。

 最後までお読みいただけたら本当に嬉しいです!

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