表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世「降霊術師」の村娘Bは、亡き侯爵夫人の霊と事件を解決する ~婚約破棄されたけど、今世こそ普通に結婚したい!~  作者: 三多来定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/19

7.村娘SSRで決着をつけます

 私は町の「ヘアメイク兼服飾小物」を扱うお店にいた。


 正しくは、ジュリー様である私の体と、ニール・コイラーン侯爵子息様がそのお店にいた、である。

 私は朝起きてから一度も意識を外には出していないのだ。


 正直、こんなに長い時間、霊を体に降霊させるのは前世でもしたことがない。

 しかし、全く異常は感じられない。

 ジュリー様との相性が良すぎるのだろうか。


 私(ジュリー様)は、くるくると着替えをし、テキパキと指示を出しながらメイクをし、茶色の髪を整えていく。


 すると、なんということでしょう!


 鏡に映った私は、村娘Bではなく、村娘SSRに変身していたのです!


 光を反射しなかった茶色の髪は香油により艶やかに光り、重ための一重まぶたは、アイプチのようなメイク技術でパッチリとした瞳に生まれ変わり、一張羅(いっちょうら)だったベージュのワンピースから上等な生地の淡いグリーンのワンピースに着替え、履き潰したペタンコの靴はグリーンのパンプスに変わっていたのです!


「ほら、ココさん、とてもお綺麗ですわ!」

「元は良いですからね。でも想像以上です」


 ジュリー様と侯爵子息様が褒めてくれる。


 う、嘘でしょ!?

 顔は平凡なんだなぁと諦めていたのに、実は結構可愛かったの!?

 誰からも可愛いなんて言われたことがなかったから、全く気が付かなかった!


「あら、元婚約者さんは『可愛い』と言ってくれませんでしたの?」

 ジュリー様が私に向かって話しかける。


 はい! 言われたことありません!


「あらまあ、サボっていた上に浮気ですか。ココさん、これは別れて良かったと言わざるを得ませんわ」


 別れて良かった?

 そんな風に考えたことはなかった。

 ケビンは見目がいいのに私はイマイチだから仕方ない、と思っていた。


「ココさん、今から町長の家に行きますが、どうしますか? お母様に任せますか? それともあなた自身が決着をつけますか?」

 侯爵子息様は、意地の悪い顔をしている。


 そうだ。

 これは、私自身の問題だった。

 ケビンに浮気されて婚約破棄された上、その浮気相手の女に陥れられているのだ。


 私の意思を汲み取ったジュリー様が、スッと私の中に引っ込んでいく。


「私、自分で決着をつけます!」


 私は侯爵子息様を真っ直ぐ見つめて宣言をした。





 人間って、見た目に自信があると、強気になるらしい。

 実は中身が何も変わっていないのに、私は何故か自信満々で町長の家に来てしまっていた。


 そして、そのハリボテの自信が、ペリペリと剥がれ落ちているところだった。


 町長の家のリビングルーム。

 40代の太ったオッサン(町長)と赤毛でツリ目の臨月の町娘S、3年間婚約者だった長身イケメンのケビンの3人と私は対峙していた。


「あの、何故、侯爵子息様がこの女と一緒にいるのですか?」

 町長はおずおずと壁際に立つ侯爵子息様に尋ねる。


「こういった話し合いは、第三者がいた方が良いのですよ。なに、私のことは気にしないでください。どちらの味方でもありません」


 侯爵子息様の言葉に、町長と町娘Sは顔を見合わせる。


 気にしないでと言われても、領主様のご子息だし、気になるに決まっている。

 というか、私の味方ではないらしい。

 そりゃ、そうか。

 侯爵子息様と私には何の関係もない。


 私の中のジュリー様が、「私はココさんの味方ですよ!」と励ましてくれている。


「ですが、一つ言っておきます。私は生まれつきとても勘が鋭いのです。嘘偽りはすぐに分かりますので、双方事実を話してくださいね」


「も、もちろんです」

 町長は真剣な表情で頷く。


「私もです」

 私も頷いた。


 「生まれつき勘が鋭い」は、きっと本当だろう。

 霊感が強い人は勘も鋭いことが多い。

 ちなみに私は、霊感が無駄に強すぎて、勘が鈍いデコボコタイプである。


「ここは私の家ですので、私からその娘の悪行を話しますね」

 町長はニヤリと笑う。


 先手をとられてしまった!

 私は侯爵子息様をチラリと見たが、侯爵子息様は何も言わない。

 本当にどちらの味方でもないようだ。


 町長はリビングルームのローテーブルに、手紙をバラバラと置いた。


「これらが、その娘が送り付けてきた『呪いの手紙』です!」


 手紙は全部で5通あった。

 もちろん、私はこんなもの知らない。


「私はこんな手紙は知りません!」

「しらばっくれるな!」

 町長は私を睨むと手紙を広げて私に見せた。


 その筆跡は明らかに私ではない。

 手紙の内容は……


「男を寝取る悪女のスカーレット様。これは呪いの手紙です。3日以内にこの手紙と同じ内容を5人に送らなければ、あなたは呪われるでしょう……って、コレ、『呪いの手紙』ですね!」

 私は感心したように言う。


 コレは前世で流行ったイタズラの手紙である。

 もちろんかなりタチの悪いイタズラである。


「何を言うか! お前がスカーレットに送ったのだろう!」

 町長はツバを飛ばしながら叫ぶ。


「いいえ。この字は私の字ではありません。それに、スカーレットさんのお名前を今初めて知りました」


 私は全ての手紙に目を通す。

 筆跡は全て同じで、全て同じ文章だ。

 私はケビンに手紙を見せた。


「ケビンなら分かるでしょ? 私の字じゃないわ」


 私はケビンによく手紙を書いていた。

 ケビンもちゃんと返事をくれたのだ。


「あ……! 本当だ!」

「ちょっと!!」


 スカーレットが私とケビンの間にずいっと入る。


「私のケビンに色目を使わないでちょうだい! このドロボウネコが!!」


 いやいや、ドロボウネコはあなたでしょう!?


「おい、スカーレット……」

「なによ! ケビンは黙っていて! とにかく犯人はこの女なの!」

 スカーレットはビシッと私を指差した。


 侯爵子息様が言ったとおり、かなり短絡的な女性のようだ。


「違いますよ。それに私、この家に来たのも初めてです」

「嘘よ! 私に悪口を言いに何回も来たじゃない!」

「来てません!」


 すると侯爵子息様がクスクスと笑い出した。

 私とスカーレットは言い合うのをやめて侯爵子息様を見る。


「ああ、すみません。どちらも嘘をついていないので、おかしくって……!」

『ええっ!?』

 私とスカーレットと町長とケビンの言葉が重なった。


 どういうこと!?

 じゃあ犯人は別にいるの!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ