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前世「降霊術師」の村娘B、婚約破棄されたけど今世こそ素敵な人と結婚したい!  作者: 三多来定


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58.私の正体

 真っ白な空間に、私とジュリー様はいた。


「え!? ジュリー様!?」

 私は驚いてジュリー様を指差した。


「あら? 私まで来てしまいましたわ!」

 ジュリー様は周りを見回しながら、驚いている。


 一緒に祈っていたからだろうか。

 私とジュリー様は、おそらくだけど、神様のところに来ていた。


(おお! すごいシンクロ率だね!)


 どこからともなく声が聞こえる。

 頭に響いてくるその声は、男性とも女性ともとれない不思議な声だ。


(私はアリクナフタヤ神の使いのもの。まあ神様見習いだね)


 神様にも見習いとかあるのか。


(用件は分かってるよ。セドリックにした神託の続きだよね)


 話が早くて助かる、と私とジュリー様は頷く。

 なんだかこの意味の分からない状況も、ジュリー様と一緒なせいか、とても落ち着いていられる。


(地震が起きるのは本当でね。でも、この地震を引き起こすキッカケを与えたのが実はココなんじゃないかとこちらでは見ているんだ)


 神様見習いの淡々とした言葉に、私とジュリー様は固まっていた。


 私が、地震のキッカケ……?

 そんなこと、ある?

 

(ココも前世を少し思い出したようだけど、ココの魂が人間界におりたとき、必ず災厄が起こっていたよね? そしてココは毎回それを食い止めていた。でもこれさ、実は逆なんだよ)


 神様見習いの言葉に呆然とする私の幽体を、ジュリー様はギュッと抱きしめた。

 私たちは実体ではないので抱きしめたというのもおかしいが、私にはジュリー様がギュッとした感覚が確かにあった。


「お言葉ですが、ココさんにそのような意思はございませんわ!」


「ジュリー様……」


 霊体のジュリー様の温かさが、幽体の私に伝わってくる。


(意思は関係ないんだ。人間界は魂の修練場で、その魂にあった試練が与えられる。でもココは、えーと、何回転生してるんだっけ、ああ、15回だね。もともと力が強かったのに、何回も試練を乗り越えたから、魂が強靭になっちゃって試練が大きいんだよね)


 神様見習いの言葉に、ジュリー様は「15回……!?」と声を上げる。


 私はカタカタと震えていた。


「コ、ココさん、大丈夫ですか!?」

「わ、私、15回も、恋愛も結婚も出来なかったってこと……?」

「ええっ!? そこですか!?」


 ジュリー様の驚きに被せるように(そうなんだよ)と神様見習いが言う。


(本来なら試練を7〜8回も乗り越えれば、もう転生しないんだ。ココに分かりやすく言うのなら、極楽浄土に行くって感じかな。もしくは偉業によっては神様見習いになる。でもココの魂は、やり残したことがあるのか、何回も修練場に向かうんだよね)


 あの、それって、とんだ迷惑者では?

 自分の私利私欲(素敵な男性との恋愛と結婚)のために、災厄と共に転生を繰り返しているってことだよね?

 ちょっと私の魂、残念すぎじゃないですか?


「待ってください! ココさんは前世は25歳で殺されていますわ! 災厄の試練も乗り越えていませんよ!」

 ジュリー様は神様見習いに反論する。


「た、確かにそうです!」

 私も顔を上げる。


 前世も確かに強い力を持っていたが、特に試練は受けていない。

 もしかして、あの殺される場面が試練だった?

 試練に負けたってこと?


(あー、あれは試練じゃないよ。あの日ちょうど良くトラブルが起きたから、災厄が起きる前にココを殺しとこうってなったんだ。刺される時、体が動かなかったでしょ?)


 ……え?


(でもこの方法は、ココに助けられた霊たちから非難轟々で、じゃあ本人も望んでいるし、次はココを普通に育てれば何も起きないんじゃないかってなって、普通に育てるようにセドリックに伝えたんだ)


 前世で殺されたのは、神様の都合だったんだ……。

 あの熱くて痛くて、体がだんだん冷えていく恐怖の記憶は未だに思い出す。


 ああ、でも、この話は過去の話だけど、神様見習いが言いたいのは未来の話だよね。

 普通に育たなかった私が引き起こす災厄の話。


 なんだ。

 私は結局、結婚までは行き着けないんだ。

 

「分かりました。なるべく痛くない方法で殺してください」

「ココさんっ!?」

 ジュリー様が私をさらに抱きしめる。


「それと、もう転生しません。極楽浄土? に行きます。あ、もしかして地獄の方だったりして……」

「ココさん、死ぬのは私が許しません! ニールはどうするのですか!?」


 ジュリー様の言葉に、私の胸がグッと詰まった。

 幽体だから実際は胸は詰まらないのだろうけど、そう感じたんだ。


 でも、仕方ないじゃないか。

 ニール様を危険な目に遭わせるわけにはいかない。

 ニール様にこんな自分勝手で危険な私と結婚させるわけにはいかない。


「ニール様、最期に一目お会いしたかった……」


(あのー、今回は殺さない予定なんだけど……)


「……え?」


(死にたいのなら殺すけど……)


 私は即座に自身の幽体の首を横に振った。


「いえいえいえ、死にたいわけないじゃないですか! ニール様との結婚が目の前にあるんですよ!? てか、殺さないならそう言ってくださいよ! めちゃくちゃ悲劇のヒロインやっちゃったじゃないですか!」


「ココさん……」

 ジュリー様は少し呆れたようにほほ笑んでいる。


(別にココが一人で災厄を食い止めるのもアリなんだけど、それだとまた同じことの繰り返しだからね。幸いシスネロスは災厄にずっと備えていた。今回はシスネロスに助けてもらって食い止めてほしい。方法は……)



 私とジュリー様は、神様見習いの話す方法をしっかり聞き、神官長たちの待つ教会に戻ったのであった。

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