↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世「降霊術師」の村娘B、婚約破棄されたけど今世こそ素敵な人と結婚したい!  作者: 三多来定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/81

28.キスされました

 トアル村の、私の家の私の部屋で、ニール様は私にキスをした。


「これで、キスはしましたね。お望みでしたら続きもいたしますが……」

 ニール様は、私を抱えたまま、平然と言う。


 続き!?

 続きって、なんだ!?

 いや、それよりも、なんでこんなに冷静なの!?


「あ、あ、あの、け、け、けっこん前で、えーと……?」

 私は、どもりながら、何とか自分の脚に力を入れて立ち上がった。


「別に結婚前にキスをしてはいけないという決まりはありませんので」

 ニール様はまたもや平然と言う。


 た、確かにそうかも?

 経験がなさすぎて、結婚後にするものだと思ってた!?


「キスにもいろいろありまして、もう少し深いのもありますが……」

「い、いえ! そこまでは、もったいのうございます!」


 ニール様は「もったいのう?」と顔を背けて、肩を震わせた。

 私は、咄嗟に断ってしまったことを激しく後悔した。


 ニール様と、深いキスだよ?

 二度とそんなチャンスはないかもしれないのに、なにを断ってるの!?


 すると、私の中でクスクスと笑うジュリー様の声がかすかに聞こえた。


 ジュリー様(つまり、ニール様のお母様)に見られたぁっ!?


「あら、ごめんなさい。お気になさらず続きをお願いしてくださいな」

 私の中でジュリー様は平然と言う。


「ニ、ニールさまっ! 私の中にはジュリー様がいらっしゃってですね……!」

「存じてますよ。私は気にしませんが……」


 いや、気にしようよ!

 何なの、この親子!?


「ああ、ココは気になりますか? では、屋敷に帰って、お母様にはお父様に憑いていただいて、それから続きをいたしましょうか。屋敷なら最後まで出来ますしね」


 さ、最後って!? ど、どこまでっ?

 ダメだ……!

 キャパオーバー……


 再び脚の力が抜けた私を、ニール様はもう一度支えて笑った。


「からかいすぎましたね」

「ニール! ちょっと性格が悪いですわよ!」

 私(ジュリー様)は、私が奥に引っ込んでしまったので、サッと交代し立ち上がってニール様を睨む。


「すみません。ああ、でも、『性格悪い』はクロックにも言われましたね。もしかしたら、これが本来の私なのかもしれません。なにか、とても、しっくりきます」


 ニール様の言葉は、ジュリー様をあきれさせていたが、私には全く聞こえていなかった。


 だって、ニール様とキスしちゃったんだよ!?

 これ、ご飯3杯はいけるネタだよ!

 ちなみにこの世界にはお米がないので、ご飯はないけどね!


 そうか! 

 何度転生を繰り返しても結婚できず処女だったのは、全てはニール様と出会うための布石だったんだ!


「……まあ、ココさんが前向きに元気になったからよしとしますわ」

 私(ジュリー様)は、ハァと息を吐いた。


「ココは本当に素直で可愛いですね」

 ニール様は満足げにほほ笑む。


 私(ジュリー様)とニール様は私の部屋から出て、食卓の椅子にうつむいて腰掛けている母を見た。


「お母様……」

「あ、侯爵夫人様ですね。ココは大丈夫でしたか?」

 私(ジュリー様)に話しかけられた母は、慌てて席を立つ。


「お母様。ココさんをどうかニールにお任せ下さい。必ず幸せにいたしますわ」

 

 私(ジュリー様)は真剣な顔で母に言うと、ニール様を肘でトンと小突いた。


「はい。ココの望みを叶えて、必ず幸せにします」

 ニール様も真剣な眼差しで母に言う。


 ニール様、本当に、本当ですか?

 私、信じちゃいますよ!


「はい。よろしくお願いします……!」

 

 母は、深々と頭を下げた。






 私と私の中のジュリー様とニール様は、一旦侯爵家に戻るため再び馬車に揺られていた。


 とりあえず今後の動きは、


・母マーチは神官長に今日のことを含め手紙を送り、母の今後は神官長に従う

・コイラーン侯爵家から正式に隣国の神官長へ面会を求める書簡を出す

・同時進行でシスネロス公爵家の17年前の出産について調べる


 である。


 しかし私は、新たに浮上した問題に頭を悩ませていた。


「また、どうでもいいことで悩んでますね?」

 ニール様が私の様子を見て呆れたように言う。


「どうでもいいことではありません。私がニール様と結婚したらですね、なんと、名前がですね……」

「ああ、『ココ・コイラーン』になりますね」

 ニール様はこともなげに言う。


「そうなんですよ! ニール様はちゃんと言えてますけど、私は、『ココココココイラーンです!』って言ってしまいます!」


「いや、まさか、そんなに『ココ』ばかりにはならないでしょう……」

 ニール様は口元を押さえて肩を震わす。


「なるんですよ! 私にかかれば、まるで餌食べすぎたニワトリみたいになるんですよ!」


 私は真剣なのに、ニール様は「ニワトリ?」と吹き出す。

 私の中のジュリー様も「餌食べすぎ?」と笑っている。


「そ、それでしたら『ココ』は愛称にして、名前を変えるのはどうですか? ほら、『ココット』とか……」

 ニール様が笑いを堪えながら提案をしてくる。


「『ココット』はダメなんです! 『ココット』は、婚約者に体だけ求められて結婚を先延ばしにされていながらも、医者を目指して頑張る医療助手、男性経験かなり多め、という設定なんですよ!」


「なんですか! その設定は……!」

 ニール様は、アハハと声を出して笑い出した。


 ニール様が声を出して笑うの初めて見た!

 私がポカンとしていると、ニール様は私の視線に気付いたようで、コホンと咳払いをした。


「ココの名前はこちらで考えますよ。またくだらない悩みが出ましたらぜひ教えてくださいね」

 

「くだらない悩みって、ひどいです!」

 私は馬車内で叫んだ。


 ニール様はやっぱり性格悪い!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。