↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世「降霊術師」の村娘Bは、亡き侯爵夫人の霊と事件を解決する ~婚約破棄されたけど、今世こそ普通に結婚したい!~  作者: 三多来定


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/25

2.婚約破棄

 異世界の、とある村の村娘Bに転生した私。

 「死ぬ間際の希望通り」と言ったが、そうではなかった。


 だって、前世と同じく、霊が視えて、霊と話せるのだ。

 試したことはないが、多分「降霊術」も使えるだろう。


 でも私には前世の記憶がある。

 同じ轍は踏まない。

 死ぬまで霊感が強いことを隠し通す、これ一択である。


 前世の幼少期にやってしまったNG発言、「あそこに誰かいるよ」

 絶対に言いません。


 前世中学生時の、母親を亡くした同級生へのNG発言、「クローゼットの奥の衣装ケースにヘソクリあるからそれで好きな物買いなさい!」

 放っておきます。

 いつか見つけるでしょう。


 

 そうやって霊から目をそらし、私はいたって平凡に、16歳になったのだった。



「ココ、来月領主様がこの村に来るんですって!」


 ココと呼ばれた私は、鍬で畑を耕しながら、村娘Aである友人のエリーにうなずいた。


「知ってるよ、お母さんたちが話してた。この村の視察らしいね」


「視察なんて、この村に特に見るものなんてないよねぇ」

 エリーは鍬で土をグリグリとかきながら自虐的に笑う。


 エリーの言うとおり、この村は小さい上に若い男は全員兵役に行っているので、女と子どもと高齢者しかいない。

 とはいえ、土地が豊かなため、そんなメンバーでも野菜を育てて何とかやっていけるのだが。


「領主様って、かっこいいのかなぁ……」

「もう! ココには婚約者がいるじゃない! 心配しなくても、次のお休みの日にケビンから求婚されるって!」


 ケビンは私の2つ上の婚約者だ。

 この小さな村は村民が少ないため、幼少期のうちに相手が決まってしまうことが多い。

 私とケビンも、私が10歳の時に「大きくなったら結婚しよう」と可愛い約束をした仲なのだ。

 もちろん単なる口約束ではない。

 その後、お互いの親を交えて、私が13歳の時に正式に婚約をしている。

 とはいえ、ケビンは長身でなかなか見目が良い。

 兵役のせいか、体つきもガッシリとしてきて、私は彼と結婚するのが楽しみだった。

 恋愛小説のような恋ではなかったが、好みの男性と安定した結婚をして、今世は穏やかに過ごせそうである。


 でもなぁ、結婚しても、旦那様は兵役で殆ど村にはいないんだよなぁ。

 お母さんたちの噂話によると、大体の男は町で浮気をしているらしい。

 そりゃ、兵役は大変だろうけど、何だかなぁ、という感じだ。 


 ちなみにエリーは昨年結婚している。

 エリーの旦那様も町で浮気をしているのだろうか?

 もちろんそんなこと、きけないけどね。


 

 しかし私は、エリーの心配をしている場合ではなかったのだ。

 浮気をしていたのは、私の婚約者であるケビンの方だったのだから……。





「ごめん! ココ! 婚約を破棄してくれ!」


 私とお母さんが暮らす小さな家の小さな部屋で、兵役の休暇で村に戻ってきていたケビンは私に頭を下げた。


「こ、婚約破棄……?」

 私はポツリと呟いた。


 婚約破棄って、あれでしょ。

 貴族の女性が婚約破棄されて、でもイケメン王子か公爵か騎士団長に見初めらてハッピーエンドになる、あの婚約破棄でしょ?


 村娘Bに起こるイベントじゃないでしょ?

 婚約破棄されても、次がないんですけど!?


「ケビン! ちゃんと説明して」

 私の母であるマーチが、頭を下げるケビンの肩に手を置く。


「は、はい。実は……」


 ケビンの話した内容は、簡単に要約すると、町長の娘(17歳)に見初められてしまい、一夜を共にしてしまい、赤ちゃんが出来てしまい、再来月に出産予定だということだった。


「さ、再来月出産……!?」

 マーチはワナワナと体を震わす。


 すると私たちの家に、ケビンの両親がバタバタと入ってきた。


 謝り倒すケビンとケビンの両親と、頭を抱える母を見て、私はこの婚約が修復不可能だということを理解した。


 この話は、「浮気したけど、ヨソに子どもがいるけど、結婚したい」ではなく、「婚約をなかったことにして欲しい」なのだから。


「分かりました。どうぞお幸せに」

 私はニッコリほほ笑んで、隣の部屋に入って、固いベッドに突っ伏した。


 人生2回目だしね。

 婚約破棄くらい、どうってことない。

 いや、前の人生も恋人はいなかったけどね。


 ケビン、結構好みだったのになぁ。

 整った顔立ちも、焦茶の髪も瞳も、ガッシリした体つきも、好きだったのになぁ。

 小さい頃はよく一緒に遊んだのになぁ。

 お休みの日に帰ってきた時は、手を繋いだりしたのになぁ……


 私はシクシクと泣きながらいつの間にか寝てしまったらしい。

 朝起きたら、ベッドは涙で濡れていて、目がぱんぱんに腫れていた。

 

 ケビンのこと、ちゃんと大好きだったと気付いたのは、婚約破棄されてからだったのだ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。