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前世「降霊術師」の村娘Bは、亡き侯爵夫人の霊と事件を解決する ~婚約破棄されたけど、今世こそ普通に結婚したい!~  作者: 三多来定


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15/21

15.解決のお礼

 クレアール公爵領からコイラーン侯爵領に2日かけて戻り、ニール様の部屋に入った私は、「念」が綺麗さっぱり消えていることに驚いた。


 直接クレアール公爵夫人様と話して分かったが、公爵夫人様は旦那様であるクレアール公爵様をちゃんと大切に想っているのだ。

 ニール様に悪いことをしてしまったという懺悔の念が、元々霊感が強かったこともあり、増長してしまったということだったようだ。


 それにしても、もう少し「念」が残るかもと思っていたのに、こんなに綺麗さっぱり消えていると、ちょっとニール様が気の毒ではある。


「ココさんが、念が綺麗さっぱり消えているとおっしゃってますわ!」

 私(ジュリー様)が私の思考をそのままニール様に伝える。


「はい。2日前に急に体が軽くなりました。お母様、ココ、ありがとうございます」

 少し複雑な表情をしながら、ニール様は頭を下げる。


「わたくし、ココさんに何かお礼をしたいのです。ニールから差し上げていただけますか?」

 そう言った後、ジュリー様は私とスッと交代した。


「えっ!? お礼なんていいですよ!」

 私は急に交代されて、慌てて手を横にふる。


「いえ、ぜひ、お礼をさせてください。何か希望はありますか?」


 私はニール様に見つめられて、思わず目をそらした。

 お顔が良いから直視できな……そうだ!


「あの、私、今世は結婚をしてみたいのです!」


「結婚ですか? ココは前向きですね」

 ニール様はふっと笑う。


 婚約破棄されたのに、ということだろうか。

 でも、そんなことを言っていても始まらないと私は学習したのだ。


「はい! ですので、このお屋敷のなるべく顔が良くて背が高い30歳以下の使用人の男性を紹介してください!」


 私は大真面目に言ったのだが、室内はしんとなった。

 いや、元々、ニール様と私しかいないのだけど。


「……ココは、結婚出来れば誰でも良いのですか?」

 ニール様は呆れたように私を見た。


「誰でもではありません! 顔が良くて……」

「それを誰でもというのです!」


 ニール様は思いのほか強い口調でピシャリと言い放った。


「懲りていないのですか!? 外見だけで選んで酷い目に遭ったでしょう!」


「ケビンは外見だけで選んだのではありません! 小さい頃から仲が良かったのです! ケビンは……」


「あの男の話をまだするのですかっ!?」


 ニール様の大きな声が部屋中に響き渡った。


 また、怖いニール様だ……。

 私の体が条件反射でふるふると震え出す。

 

「……あ……、すみません、大きな声を出して……」


「……いえ……」


 なんで、私がニール様に怒られなくてはいけないの?

 希望を言えって、ニール様が言ったのに!


「とにかくですね、私はココの相手探しは出来ません。ご自分で尽力してください……」


 ニール様は吐き捨てるように言って、私から目をそらした。


 別にいいけどさ。

 もともと、お礼なんていらなかったしね。


 私は「はい……」と呟いて、ニール様の部屋を後にした。






「あの子があんな風に怒るなんて……」

 ずっと黙っていた私の中のジュリー様がポツリと呟いた。


 私は通路の窓を拭きながら、そうかな? と思っていた。

 私はこの短期間で怖いニール様を2回見ているからだ。

 

「ニールはいつも冷静というか、穏やかなのですよ?」


 ふぅん……。

 そういえば、2回とも私に怒っていたっけ。

 もしかしたら、ニール様に嫌われているのかもしれない……


「そんなことはありませんわ!」

 ジュリー様が慌てたように言う。


 ジュリー様は優しいなぁ。


「大丈夫ですよ! 私の価値なんてジュリー様と話せるという一点だけですから、嫌われていてもどうってことありません。それより、本格的に男探しをしないと……」


「男探し、本当にやるのですか?」


「はい! あ、夜はちゃんとジュリー様と交代しますのでご安心ください!」


 そう、夜はジュリー様に完全に体を貸しているのだ。

 毎日、仕事が終わった侯爵様と私(ジュリー様)は、仲睦まじくお話をされている。

 そもそも私は、そのための、異例の個室を与えられた使用人なのだ。



 しかし、このことが、私の男探しをさらに困難にさせるのだった……。

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