雷編 波状逆落とし 上
雷編 波状逆落とし 上
益州を治めるここなった劉備軍は飛躍的に戦力を高めることとなった。兵、物資は流浪の身の頃から考えられない程の物量であった。
何より税を徴収することの恩恵は大きく軍師勢の負担はその分大きくなったと言える。
馬謖「姜尚? 本当に涼州の馬超殿が益州にいるのですかね?」
姜尚「必ずいる。探そう」
馬謖「今、全軍で探していますが……根拠はあるんですか?」
姜尚は全力で馬超を捜索していた。
劉備軍兵士「報告します! 馬超殿が見つかりました!」
姜尚「分かりました。劉備さんに会ってもらいます。城まで丁重にご案内して下さい。馬謖君、行こうか」
馬謖「本当にいた……姜尚は人智を超えているとしか思えない……」
姜尚「ははは。そんなことはないよ。曹操軍を撃退したんだ。必ずこの地にやってくると思っただけさ」
馬謖「確かにそうかもしれないが……それだけでこれだけの兵を動かせるなんて普通じゃない」
姜尚「そうかな……やらなきゃいけないことだから……僕は振り返れないんだ」
馬謖「強い想いは偉大だな……だが姜尚の想いを受ける女は大変だな」
姜尚「どっどういう意味……」
馬謖「ふふっ。私の目は誤魔化せないぞ! 一体、どの女を狙っているんだ姜尚!」
姜尚「ごっごめん……言っている意味が分からないんだけど……」
馬謖「おいおい。男同士だ。恥ずかしがらなくてもいいんじゃないか? 一体、誰のことが気になるんだ?」
姜尚「馬謖君! 違う! 僕はみんなに生きて欲しいと思っているだけで個々の女の人に対してそんな欲望を抱いてはいないよ!!」
馬謖「そうなのか? ……しまったな劉備様達に話してしまった」
姜尚「うわっ……」
姜尚は立ち眩む。
馬謖「安心しろ姜尚。いつかは誰かを娶るんだ。少しくらいの間違いなんで後でどうにでもなる!」
姜尚「うん。ありがとう……思い出したよ。馬謖君のそういうところ……」
馬謖「はははは! そうかそうか! 姜尚も馬謖に礼を言うか! しかしその言い回しはまるで以前から私のことを知っている様な言い方だな」
姜尚「おっと……気を付けるよ。僕は趙雲さんの所へ行ってから馬超さんの所へ向かうから」
馬謖「趙雲殿所へ?」
馬謖の疑問を後にし姜尚は趙雲の元へ向かった。
馬超と馬岱が劉備の元へ案内される。
馬超「涼州の馬超と申します。隣にいるのが従弟の馬岱です。俺を探されていた様ですが何の御用でしょう」
馬岱「兄貴。もう少し柔らかくいかないと……」
どこか冷たい馬超の態度に馬岱は釘を刺す。
姜尚「担当直入に言わせて頂きます。劉備軍に迎えたいのです」
馬超「劉備軍に……確かに俺は曹操に敗れて流浪の身。敗戦の将だからと言って見ず知らずの者に配下に加われと言われてもな……」
劉備「姜尚君、そうですよ。いくら何でも馬超殿に失礼ですよ。まずは一席を設け親睦を深めてからの方が……」
劉備は姜尚を制す。
姜尚「馬超殿は生粋の武人で下手な気遣いは無用と考えます。それに馬超殿には劉備さんの大徳に惹かれることはありません。一席を設けては余計でしょう」
馬超「随分と強引な軍師さんだな……この馬超は曹操と戦えるのであれば、どこであろうと構わない……だが俺と肩を並べて戦える者が一体何人いるのか……」
劉備「私の徳に惹かれることはないって……どういう意味ですか……」
姜尚「力を求め続ける者に大局を見極めることは出来ないということです」
馬超「ははははは! それはただの負け惜しみか!? 弱者が虚勢を張る姿はみっともないぞ!」
張飛「ふーん……自信ありげだね……」
関羽「ああ。それがし達を目の前にして中々言ってくれるではないか」
馬超「関羽殿と張飛殿とお見受けするが……俺はあなた達に劣るとは思っていない」
張飛「そうだね。強そうだもんね……でも……わ・た・しは……負けないよ」
「!!」
言葉使いがおかしい張飛に劉備と関羽が突如、驚く。
劉備「飛ちゃん! 駄目よ!」
関羽「馬超殿! 大変申し訳ないが張を煽らないでくれないか!」
劉備と関羽は何かを察してか張飛と馬超の衝突を避ける。
馬超「いや……煽ったつもりは……張飛殿、すまない……」
張飛「えっ……あっ……うん。張飛は何とも思ってないよ」
張飛は馬超に笑顔で応える。
劉備「雲ちゃん……」
関羽「うむ。分かりました」
劉備は目で関羽に合図を送る。関羽は劉備の考えを察したようだ。
関羽「すまないがそれがしと張はこれで失礼する」
張飛「ええ……ここにいちゃ駄目?」
関羽「少し外の空気を吸いに行こうか」
関羽は張飛の手を引っ張り部屋を出ていく。一連の流れに姜尚は違和感を感じた。
姜尚「話を戻させて頂きます。馬超殿、曹操殿と戦うと言うのであれば劉備軍と呉軍しか対抗出来る勢力はありません」
劉備「そうです。是非劉備軍に加わって下さい。馬騰殿とは共に曹操を討とうした間柄です。これも何かの縁だと私は思います」
馬超「……」
馬超は何も答えない。
姜尚「それと曹操軍に拘るのは止めてもらいたい。劉備軍は民の平和を願う者が集まった軍です。曹操軍とは結果的に戦うことにはなりますが、それよりも物事を大きく見て頂きたい」
馬超「まるで俺が小物の様な言い方だな。俺の武に敵う者などそうはいないだろうに」
馬岱「兄貴! そんな挑発的なこと言っちゃ駄目だって!」
馬超「俺は本当のことを言ったまでだ。それに先に小物扱いしたのはそちらの軍師さんだ」
黄忠「ふん。馬がなければただの歩兵でしょ?」
馬超「おやおや……まるでびっくり箱だな。俺をここまで挑発してくる連中は初めてだ」
黄忠「言ってなさい。あなたの馬の眉間に矢を射ち込んであげる」
馬超と黄忠が睨み合う。
馬岱「兄貴。駄目だよ。こんな綺麗な顔をした子に本気になっちゃ」
馬超「綺麗? はは! この甘ったるい女の毒臭に頭がやられたか馬岱」
黄忠「ふふふ……馬岱殿はまともなのに肝心の兄貴殿は馬糞の臭いで品性を無くしたようね」
馬超は腰の剣に手をかけ黄忠は矢に手を伸ばす。
諸葛亮「お二人ともそこまでです」
孔明が割って入る。
黄忠「でも孔明軍師! 先に馬超殿が!」
馬超「いや! そちらが先だ!」
諸葛亮「いいえ。二人が先に始めたのでは元々は姜尚の話の展開の進め方があります。一体、どういうつもりですか姜尚」
姜尚「馬超殿の武は認めましょう。しかし曹操軍に固執しては馬超殿の成長は望めません。初めの立ち位置が大事だと思いました」
劉備「姜尚君、ちょっと言い過ぎでは……本当に馬超殿を迎え入れる気があるのですか?」
姜尚「馬超殿が曹操軍に敗れたのは馬超殿の力の過信によるものです。劉備軍にいれば更に強く仲間と共に成長することが出来ます」
劉備「ですから……本当に馬超殿を仲間として迎え入れたいと思うなら……もっと他に言い方が……」
馬超「ふぅ……馬岱、行こう。劉備殿がどれほど魅力的でも軍師がこれでは話にならん」
馬岱「兄貴がそこまで言うなら……」
馬岱は少し寂しそうだ。
姜尚「馬超殿。先に言っておきます。あなたの居場所はここしかありません」
馬超「ふん……よくもそんなことを……」
馬超はその場を去ろうとする。
姜尚「やはり奥の手を使うしかないか……趙雲さん。出てきて下さい」
馬超が部屋を出ようとした瞬間に姜尚は趙雲の名を呼んだ。
趙雲「ぶっはぁあああ! はぁはぁ……」
突如、趙雲が部屋の隅に置かれていた大樽の蓋をぶち破り出てきた。
馬超「え……」
馬超は驚く。
趙雲「酷いではないか姜尚! 呼ばれるまで隠れてくれと言われたから隠れていたが! ずっと呼ばないなんて! いくら何でも長すぎる!!」
姜尚「はははは。すみません。馬超さんがもう帰ってしまわれるので少しだけ挨拶をと思いまして」
趙雲「むっ。そうなのか? ならば挨拶をするか」
趙雲は大樽の中で熱い思いをしながら隠れており。むさ苦しい男臭が辺りに広がった。
趙雲「馬超。自分は趙子龍と申す。帰り際の挨拶で申し訳ないがよろしくな」
馬超「あっ……あっ……いや! 俺の方こそ! 出会えて感激だ!」
趙雲と馬超は堅い握手を交わす。
姜尚「あっ。趙雲さん。その暑苦しい握手を早く終わらせて下さい。馬超さんが、か・え・れ・ま・せ・ん。から」
趙雲「おお! そうか! これはすまなかった」
馬超「あぁ……」
趙雲が手を放すと同時に馬超から悲しみの声が漏れる。
馬岱「兄貴。そろそろ行こうか」
馬岱が馬超に帰りを促す。
馬超「……」
馬超は背を向け部屋の扉で立ち尽くす。
帰るはずの馬超が何も言わず扉の前から動かない。
劉備「どっどうしたのでしょうか……」
姜尚「さぁ。僕には分かりません」
姜尚はとぼけた声で返事をした。
馬超「馬岱ぃいいいいーーーー!」
突然、馬超が叫ぶ。
馬岱「え!? 何!?」
馬超「お前は昔から仕方がない奴だ! それ程までに劉備軍に入りたいか!」
「!!」
その場にいる者達の表情が凍りつく。趙雲を除いて。
馬岱「いや……兄貴、ちょっとそれは……」
馬超「本当に俺を困らせるのが好きな奴だお前は!」
馬岱「まっまさか……いつもの……」
馬岱は趙雲を見る。
黄忠「何、言ってるのこいつ……」
馬超「すまない御嬢さん。あまりにも綺麗だったから少し意地悪をしたくなったんだ」
馬超は黄忠に近づく。
黄忠「あっ……そっそうです……か……」
黄忠はドン引きする。
馬超「劉備様! この馬超! そして馬岱! 劉備様にお仕えし趙雲殿と親睦を深め切磋琢磨し劉備様が治める世に一役担わさせて頂きます!!」
馬超は劉備の前で膝を付く。
劉備「えっええ……宜しくお願い致します」
姜尚「馬岱さん。良かったですね」
馬岱「ああ……嬉しいんだけど……」
姜尚「けど?」
馬岱「波乱の幕開けかな……」
姜尚「はははは! 運命の出会いをそんな風に表現するなんておかしいですね!」
姜尚は笑う。
劉備「しかし、姜尚君には少し冷や冷やしました……」
姜尚「申し訳ありません。馬超さんも曹操殿に対し強い復讐の念を抱いておりました。どうしても劉備軍に向かいれる前に心構えといいますか出発点を改めて頂く必要がありましたので」
劉備「結果的に良かったのですから……これはこれで正解だったのかも知れませんね」
諸葛亮「劉備様。ひとつ提案があります」
劉備「はい。なんでしょう」
諸葛亮「劉備軍は益州を治めることになり、将兵の増加に伴い政務に力を入れます。私は為政を担当しますので軍務は全て姜尚に」
姜尚「先生! 私にはまだ早すぎます」
ホウ統「俺も孔明の意見に賛成だ」
劉備「そうですね。分かりました」
姜尚「おやっさんに劉備さんまで」
諸葛亮「姜尚。軍の増強はすなわち兵站こそ要です。大きくなった軍を維持する為には止むを得ません」
ホウ統「孔明と俺の二人で姜尚が目一杯、暴れられる様にしてやるよ」
黄忠「まぁ私は最前線に配置してくれれば文句はありませんけどね」
趙雲「おっと。弓兵が最前線とは危なくて仕方がない。ここは自分と馬超が黄忠殿をお守りしようではないか」
馬超「趙雲殿! 糞弱い弓兵を守るだなんて……やはり俺が認めた男だ……」
黄忠「いいでしょう。私は後方で援護させて頂きます。間違えて当たったら御免なさいね……馬超殿」
馬岱「頼むから兄貴だけにしてくださいよ! 俺は普通なんで!」
馬岱が叫ぶ。
ホウ統「姜尚。みんな納得してくれているようだ。辞退はなしだぜ?」
姜尚「分かりました。必ずや全う致します」
劉備「楽しみですね」
諸葛亮「ふふふ……態度もオドオドしたものがなくなり、風格が出て来ました。宜しくお願いします」
こうして劉備軍に新たな仲間が加わった。
張任「馬超殿。私は張任と申します。こんなに重圧を感じるのは初めてだ。一度お手合せ願いたい」
成都の兵舎近くで張任は馬超に挑む。
馬超「止めておけ張任殿。あなたでは俺には勝てない。戦わずしても分かるはずだ……己の力を知りたいのであれば他を当たってくれないか」
張任「そう言われると尚更、引き下がる訳にはいかない」
馬超「俺は劉備軍に身を置いたばかりだ。問題を起こして事を大きくしたくない」
馬超の体に力が入る。
張任「この感じ……私が押されるなど……」
張任には馬超が先ほどよりも一回り大きく見えた。
趙雲「そこまでだ! 馬超殿、張任殿」
二人のやり取りを趙雲は止める。
張任「趙雲殿!」
馬超「安心してくれ本気で構うわけではない」
趙雲「同じ目的で集う仲間ではないか。武を競うのであれば戦場で戦果を挙げて競うべきだ。そうだろお二人さん?」
馬超「劉備軍は血の気が多いのが多くて困る……俺も人のこと言えないが」
張任「馬超殿。失礼いたしました。趙雲殿の言う通り……非礼をお詫びします……」
馬超「気にはしていない。ところで趙雲殿、これからあなたとは色々とお近づきになりたいものだな。さっきは色々と邪魔が多かった」
趙雲「ふむ。自分は一向に構わないが……」
張任「何だ……この私が除け者にされている感じは!」
趙雲が表れてから馬超は張任ではなく趙雲しか見ていない。
馬超「ここで出会ったことに運命的なものを感じる……趙雲殿、これからは子龍と呼ばせてもらおう」
趙雲「結構だ。好きにしてくれ。自分も馬超と呼び捨てにさせて頂くがな」
張任「ならば私のことは……」
「今まで通り張任殿と呼ばせてもらおう」
馬超と趙雲の声が揃う。
張任「私の感じる、この敗北感は一体! それとこの二人の関係から感じる空気に胸がトキメクのは何故だ!」
張任は暗黒面に落ち始めた。
周倉「おい! 姜尚!」
姜尚「周倉君。どうかした?」
周倉「劉備軍の総司令官になったそうだな」
姜尚「総司令官だなんて……先生とおやっさんには他にやることがあるから一時的なものだよ」
周倉「でも正式な軍師なんだろう?」
姜尚「そうだけど……」
周倉「そうかそうか! 兄貴分のおいらとしては鼻が高いぞ! 姜尚! 困ったことがあればいつでもおいらに相談するんだぞ!」
姜尚「困ったこと……」
周倉「ん? 早速何かあるのか?」
姜尚「関羽さんが前に出過ぎるから少し自重させたいかな? 危なっかしくて……」
周倉「何だ? そんなことか? 姉御はおいらが守るから安心しろ!」
姜尚「うん。ありがとう周倉君。それと一つお願いがあるんだけど」
周倉「おっ? まだあるのか?」
姜尚「この辺りでスズランの種類が生えているみたいなんだ。それを出来るだけ沢山集めて先生に届けてくれないかな?」
周倉「沢山? そんなに沢山集めて孔明軍師に迷惑にならないか?」
姜尚「大丈夫だよ。きっと喜んでくれると思うんだ」
周倉「ほんとかよ! もし怒られたら姜尚のせいだからな!」
姜尚「その時は僕の名前を出してくれて構わないから」
周倉「分かった! そこまで言うなら集めてくるよ! 兵は適当に借りるからな」
姜尚「うん」
周倉はスズランを集めに向かった。
劉備軍兵士「姜尚様。よろしいでしょうか?」
兵が姜尚に話しかける。
姜尚「何か分かりましたか?」
劉備軍兵士「はい。姜尚様の言う通り成都と漢中の間道を東に抜けた馬の足跡を見しました」
姜尚「やはりそうか……曹仁殿と楽進殿だけではないと思ったんだ……漢中に在中する曹操軍の情報は?」
劉備軍兵士「夏侯淵、楽進、曹仁、満寵……そして軍師らしき人物が二名程になり兵の数は十万を超える規模です」
姜尚「確認出来るだけでもそれだけか……他にもいるべきだと考えるべきか……」
劉備軍兵士「新しく情報が入り次第お伝えします」
姜尚「お願いします」
兵は姜尚の元を去る。
姜尚「漢中攻略の全ては定軍山の攻略にかかっている……本来であれば全軍を投入したい所だが……ここは敵の遊撃隊に備えて成都の防衛に戦力を裂くしかないな」
姜尚は一人考える。
孟獲「よう姜尚。何一人で突っ立てんだ?」
姜尚「孟獲さん! 来てくれたんですね!」
孟獲「おうよ。悪いな成都の戦いに間に合わなくてよ。ちょっとどうしても持って行きたいものがあってよ」
姜尚「生活に必要な物資はこちらで用意してあったのに」
孟獲「いや。そんなんじゃねーんだ。こいつをだな兵の分を調達するのによ」
孟獲は茶色の革で覆われた鎧を姜尚に見せる。
姜尚「なるほど……南蛮軍は軽装ですからね……しかし、こんな薄い革で作られた鎧は……ないよりはマシか……」
孟獲「ははははは! 姜尚。この鎧を貫いて見せろ。もし出来たら後で一杯奢ってやる」
姜尚「いくら僕でもそれくらいは……分かりました。もし鎧を貫けなかったら僕が一杯ご馳走しましょう」
孟獲「言ったな……後悔するぜ?」
姜尚「では行きます!」
姜尚は剣で鎧を突き刺す。だが革一枚だけが斬れ貫通しない。
姜尚「え!?」
孟獲「何回でも挑んでみるがいいさ」
姜尚「くそ!」
姜尚は鎧を何度も斬りつける。だが表面の革の部分しか斬れない。
姜尚「どうなってるんだ……」
孟獲「ははははは! ちゃんと約束守れよ!」
姜尚「孟獲さん! この鎧は一体!!」
孟獲「これはな藤甲の鎧ってやつでな。藤の蔓を数か月の間、油に漬けて乾かす。その工程を何度も繰り返し鎧の下に編み込むんだ。表面を革で覆うのは編み目の隙間を隠す為なんだがよ」
姜尚「凄い……南蛮にはそんな技術があったのですね」
孟獲「量産することが難しい代物だが。曹操軍と戦うんだ。馬鹿共の分だけでも用意してやりたくてよ」
姜尚「これなら……逆落しを受けられるかも知れないな」
孟獲「なんだ? 早速の出番があるのか?」
姜尚「はい! 孟獲さんのおかげで頭痛の種が一つ取れました!」
孟獲「馬鹿野郎! どうぜなら全部取れたって言いやがれ!」
姜尚は定軍山攻略に活路に一筋の光を見る。




