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雷子  作者: 三幸
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魏編 三国統一

魏編 三国統一



 許昌の司馬懿の元には黄皓と鄧艾が交戦した報告が届いた。


魏軍兵士「司馬懿様。黄皓様が謀反人である鄧艾達と交戦したようです」



司馬懿「何ですって! あれ程、戦うなと伝えたのに! いや……謀反は本当で鄧艾の方から仕掛けたのか……その後、鄧艾と鍾会の安否は?」


魏軍兵士「伝令からの報告では鄧艾様は逃げたようです」


司馬懿「そう……ですか……鍾会はまさか……」


魏軍兵士「黄皓様から、こちらを司馬懿様にと……」


司馬懿「何です……その麻袋の中身は……」


 司馬懿は麻袋の中身を見る。一見した限りただの肉塊に見えた。


魏軍兵士「鍾会の子宮だそうです」


司馬懿「ひっ! うっ……うぐっ……」


 司馬懿は口を押え嗚咽を我慢する。


司馬懿「なっなぜ! そんなことをやり過ぎです!! あの者は一体、何を考えているのですか!」


 司馬懿の言葉に怒りが籠る。


司馬懿「子宮を送る意味……まさか鍾会は既に英雄の子を身籠っていたということ……だとすれば鄧艾の謀反は本当だった」


魏軍兵士「いかがなさいますか」


司馬懿「鍾会の子宮は墓を作り丁重に葬りなさい。それと至急、黄皓を……! 黄皓を呼び出して……いいの……ここで鍾会に対する残虐行為を行った黄皓を呼び出しては鄧艾の怒りの矛先は私にも向けられる……駄目だ……それだけは絶対に……黄皓に伝令を送りなさい。成都より出ることを禁じると当面、益州は黄皓に任せること伝えて下さい」


魏軍兵士「分かりました」


司馬懿「黄皓の元に英雄の子を置いておくわけにはいきませんね……呉の攻略を終えた後、あの者を殺し英雄の子を迎えねば……」


 司馬懿は黄皓の残虐性に恐怖を感じていた。




 司馬懿からの伝令が届いた江陵では呉攻の準備が進められていた。


張コウ「司馬懿からの指示では呉攻めは水軍を用いて強行せよとのだが……」


曹仁「そうだ。それは呉の水軍を一ヶ所に集約させる為だとよ」


満寵「赤壁の大敗を塗り変えたいのかしら」


 江陵では呉の攻略の準備が始められていた。


曹仁「実はよ。司馬懿によると呉には内通者がいるらしいのよ。そいつらが俺達と精鋭をこっそり呉に届けてくれるって話だ」


満寵「どういうことかしら? 水上戦に持ち込むんじゃないの?」


曹仁「主力は呉に渡り水軍を陽動に回すってことらしい」


満寵「司馬懿が好みそうな戦いね」


張コウ「それよりも内通者が誰か気になるな」


曹仁「徐晃が今、会ってる。そろそろ……」


徐晃「みんな! お待たせ!」


 徐晃が現れる。


曹仁「いい時に帰って来てくれたな徐晃。どうだった?」


徐晃「打ち合わせはばっちり。今晩から明後日の朝にかけて呉に乗り込むわ」


張コウ「随分と勝手に進めてくれるな。で? そろそろ教えてくれてもいいんじゃないか。内通者は誰だ?」


徐晃「えっ……曹仁、あんたまだ話してないの?」


曹仁「これから話すとこだったんだ。呉の内通者は呉と魏を股にかける商人達だ」


満寵「それって罠じゃないですか? 信用出来るのかしら?」


徐晃「司馬懿の指示では絶対に裏切れない条件を付けたみたいなのよ」


満寵「何ですかそれは?」


徐晃「新しい通貨の制度。言うなれば今の通貨が使えなくなるってことよ」


満寵「なるほど……商人からすれば蓄えた財がゴミ同然になるってことね」


徐晃「司馬懿は通貨の両替期間を設け混乱を避けるみたいだけど上限を設けるって話。だけど協力してくれた商人達にはその上限を撤廃する。って約束」


張コウ「あいつ……割とえげつないな」


曹仁「司馬懿に金玉握られたら終わりだな。張コウ、気をつけろよ」


張コウ「ふん。司馬懿に握られるくらいなら……」


徐晃「私が握ってあげる!」


「……」

 徐晃の一声に誰もが曹仁でさえも口を閉ざす。


徐晃「みんな……どうしたの?」


満寵「ううん。しっかり握ってあげてね」


 満寵は全力の笑顔で応える。張コウは完全に沈黙する。


曹仁「他には何か言ってたか?」


徐晃「うーんとね……物資は全て用意してくれるって言ってたわ。商人の抱える私兵も一部、加勢してくれるって」


曹仁「太っ腹だな。なっ張コウ」


張コウ「……」


 張コウは固まっている。


曹仁「そうか……この手の話に耐性はないんだな……」


満寵「初々しくてからかいがありそう……」


曹仁「やめてさしあげろ……既に辛うじて致命傷だぜ……」


徐晃「何、作戦会議は駄目なの?」


 徐晃は顔をしかめる。


曹仁「自覚がないって怖いな満寵」


満寵「そうね。確信犯ってわけじゃないから責めることも出来ないものね」


 こうして曹仁達は商人達の強力を得て呉に渡った。



 呉に渡り終えた曹仁達は兵を編成する。この頃、魏軍の水軍が既に呉に向かっており朱垣が水軍を率い迎撃に向かっていた。

 

 曹仁達は呉の首都である建業に向う。周泰、徐盛が魏軍の動きに気付き迎撃に向かうが兵の人数、武将の数でも劣り苦戦を強いられる。


 呉軍は国の存亡をかけた戦いに奮闘するも商人の裏切りによって周泰、徐盛も力尽きる。



 呉の将兵が骸となった呉の首都である建業の草原地帯は魏軍で覆いつくされていた。


曹仁「最後は呆気ないな。いや……よく戦ったと言ってやるべきか……」


満寵「曹仁。呉の水軍が投降したわよ」


曹仁「後ろを取られたもんな。手間が省けてよかったぜ」


徐晃「最後に残った二人……呉の武将ね。江陵で見たわ……確か周泰と徐盛」


朱垣「周泰さん! 徐盛さん!!」


 朱垣が現れる。水軍は投降したものの朱垣は一人、仲間の身を案じて戻ってきた。


 だが朱垣の左腕はない。血が流れ止血してないことから腕を失ってまだそれ程経過していないことがわかる。


張コウ「おい。忘れ物だぞ」


 張コウが現れ朱垣の腕を投げる。


朱垣「ううっ……うわぁあああ……周泰さぁああん! 徐盛さぁあああん!」


 朱垣は大粒の涙を流す。


曹仁「生き残りか。あいつも見たことあるな」


満寵「張コウ殿も容赦ないですねぇ。あんな可愛い子の腕を斬るなんて」


張コウ「いきなり斬りかかって来たのはそちらだ。おかげで加減が出来なかった。許せ」


 張コウは朱垣に近づく。


朱垣「お前たちなんて……お前たちなんて……甘寧さんが生きていれば……」


張コウ「甘寧? 張遼とやり合った奴だな。小娘、死んだ者を引き合いに出されてはどうにもならんな……」


朱垣「うるさぃいいい!!」


 朱垣は張コウに斬りかかる。


朱垣「ぐっ……痛い……足……私の足……」


 朱垣は斬りかかる途中に転ぶ。太腿に矢が刺さっている。


満寵「ふふふ。ごめんなさいね……私たちこれから勝利に酔い痴れたいの。そういうの水を差されるみたいだから……」


 満寵が朱垣に矢を放っていた。


朱垣「うっ……みんなの敵も取れない、国も守れない……そして私は動くことも出来ないなんて……ううっ……」


張コウ「小娘……」


 張コウは馬を下り朱垣に近づく。朱垣の息は段々と細くなる死が近づいている。


張コウ「名はなんと言う」


 張コウは朱垣を抱える。


朱垣「朱垣……」


張コウ「そうか……いい名前だ。俺は張コウだ。お前と同じく住むべき場所を失った者だ……これ以上傷つく必要はない。ゆっくり眠るといい……」


 張コウは朱垣の最後を看取った。


曹仁「かっこいいじゃねーか」


張コウ「冷やかすな。住む場所を追われたこのある者しかこの気持ちはわからんさ」


満寵「あの子。好みだったの?」


張コウ「ふん。それで納得してくれるならそれで結構だ」


満寵「意地悪言っちゃたわね」


曹仁「次は孫権だ。行こうぜ」


徐晃「私は先に帰る」


曹仁「まぁそれもいいだろう。司馬懿によろしく言っておいてくれよ」


 徐晃は何も言わず帰る。


曹仁「どうしたんだあいつ……」


満寵「私も一緒に行くわ。後、よろしくね」


曹仁「おう」


 曹仁と張コウは建業に向かった。徐晃と満寵は司馬懿のいる許昌に向かった。


 その後、孫権は魏軍に捕縛され建業に監禁された。徐晃と満寵は長い道のりを経て許昌にいる司馬懿の元へ向かった。





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