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雷子  作者: 三幸
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魏編 謀反

魏編 謀反



 成都攻略を終えた鄧艾は成都を抑え、益州周辺の都市に通達を出した。益州は完全に魏の領土となり蜀は滅ぶこととなった。



魏軍兵士「鄧艾様、鍾会様がお見えです」


 成都を攻略した鄧艾の元に鍾会が到着した。


鍾会「鄧艾。良く成都を落としたわね。流石だわ」


鄧艾「ああ……ありがとう」


 鄧艾は素っ気なく返事をする。


鍾会「どうしたの? 元気が無いわね?」


鄧艾「いや、ちょっとな……これを見てくれ」


鍾会「何これ? 蜀軍の帳簿?」


鄧艾「ああ」


 鍾会は鄧艾から蜀の財政の帳簿を渡される。


鍾会「この税収……酷いわね。これ程の税を民に強いるなんて信じられない」


鄧艾「成都は黄皓と申す者が取り仕切っていた……姜維の戦による浪費が原因と聞いていたが……」


鍾会「違うの?」


鄧艾「税収の多くが財宝に変えられ成都に残ったままだ」


鍾会「じゃあ……戦で使われたのではなく……誰かが私腹を肥やす為に……?」


鄧艾「そう考えるのが賢明だ。黄皓が蜀軍残党を負かしたと聞いている。一度、詳しく話を聞かねばならんな」


鍾会「その方が良さそうね。一度、司馬懿さんの元へ向かいましょう」


 鄧艾と鍾会は成都から司馬懿のいる許昌を目指した。




 その頃、魏軍を率いた黄皓は姜維達を破り単独で司馬懿の下に訪れていた。


魏軍兵士「司馬懿様。黄皓と申す者がお見えです」


司馬懿「黄皓? あぁ。鄧艾から報告は聞いています。亡国の有権者ですね。通して下さい」


黄皓「司馬懿様。お初にお目にかかります」


司馬懿「蜀軍の残党を討った様ですね。早くも魏国の為に働いたことは評価に値します」


黄皓「ありがとうございます」


司馬懿「それで? 今日は何の用でここに? 本来であれば私ではなく鄧艾に指示を仰ぐべきかと思いますが」


黄皓「大変申し上げにくいことなのですが……」


司馬懿「まずは口に出して下さい。でなければ何も分かりません」


黄皓「鄧艾様のことでございます」


司馬懿「鄧艾? 鄧艾がどうかしたのですか?」


黄皓「成都で旗揚げをしようとしている様でして……」


司馬懿「何ですって! 鄧艾が謀反を!」


司馬懿「信じられません! 虚言は死刑に値しますよ黄皓!」


黄皓「虚言など、とんでもございません!」


司馬懿「根拠は何ですか」


黄皓「成都の財宝を無断で使い徴兵を行っております」


司馬懿「鄧艾が徴兵? 今、成都には鍾会もいる筈……もし事実であれば蜀の土地に鄧艾と鍾会と言う難敵を作ってしまうことになる」


黄皓「どなたか成都の鄧艾様を討つべく、差し向けて頂いた方がよろしいかと」


司馬懿「魏軍の主力部隊は江陵の曹仁の元に向かい呉の攻略の最中です」


黄皓「そうでございましたか……」


司馬懿「今は私しかいない状況……鄧艾と鍾会の二人を相手に勝てるかどうか……問題は対軍師教育された鄧艾の存在……」


黄皓「何とか虚を突くことが出来れば魏国最強の軍師・司馬懿様であれば勝利は確実かと……」


司馬懿「いや……ありえない……あの二人が謀反なんて……そもそも徴兵だけで判断するのは……」


黄皓「それだけではありません」


司馬懿「何です! まだあるのなら早く言いなさい!」


黄皓「劉備様の子を……」


司馬懿「劉備に子が!? 初めて知りました……詳しく聞かせて下さい!!」


 司馬懿は驚く初めて存在が明らかとなった劉備の子の存在に。


黄皓「はい……劉備様はとても素晴らしい方でした。劉備様はお子をお産みになるも乱世に巻き込むことを避ける為に子の存在を隠しました。私はその子を守るように仰せ使い今まで隠しておりました」


司馬懿「待ちなさい! 本当に劉備の子であれば処刑の対象です! ますます謀反の理由にはなりません!」


黄皓「その子の父親に問題があるからです……」


司馬懿「一体誰ですか!」


黄皓「曹操様です」


司馬懿「何ですって!!」


 司馬懿は声を張り上げる。


黄皓「お子は既に成人しております。恐らくは随分、昔のことかと……」


司馬懿「曹操様はその事実を……」


黄皓「もちろん知りません」


司馬懿「確かに曹操様と劉備に接点は多かった……元々、二人がそんな関係だったなんて……」


黄皓「蜀の宝物庫に保管されていた機密文書を鄧艾様が発見され、その事実を知られてしまったのです」


司馬懿「まさかそんな奇想天外な事実が蜀にあったなんて……」


黄皓「お願いです司馬懿様! 私は今ままで命をかけてお守りした劉備様の子を血生臭い戦争の火種に巻き込んで欲しくないのです!」


司馬懿「ぐっ……」


 必死に訴える黄皓に司馬懿は鄧艾の謀反が事実ではないかと思い始める。


黄皓「今や天下は魏に染まりつつあります! ここでの謀反は中華全土を巻き込まむ大炎になるやもしれませぬ!!」


司馬懿「大体のことは分かりました。話を要約すると劉備と曹操様の子を天下の主に置きたいと鄧艾は考えているわけですね」


黄皓「はい」


司馬懿「最後の質問です。その子は自分の生い立ちを知っているのですか? そして鄧艾と接触したのですか?」


黄皓「いいえ。お子は自分をただの民と思っております。そして鄧艾様はまだ発見しておりません。今頃、血眼になって探しているでしょう。そして事実と本人の居場所を知る私のことも……ですから私は司馬懿様の元に参ったのです」


司馬懿「この事実……どう処理すれば……」


黄皓「簡単でございます。司馬懿様の伴侶にお迎え下さればよいかと……」


司馬懿「なっ! どんな発想ですか!!」


黄皓「英雄の子は男です。その子と司馬懿様の間に子が生まれればそれは揺るぎのない英雄の血を継ぐ天下を治めるべく生まれた中華の正当な後継者です」


司馬懿「私の子が……中華の後継者……」


黄皓「はい。急がなくてはありません……鄧艾様が鍾会様を成都に迎えた理由は鍾会様が女であるということですので……」


司馬懿「!!」


黄皓「英雄の子は両親の血をしっかりと引き継いでおります。精鍛で美しい顔に優れた頭脳を持っております」


司馬懿「美しい顔……優れた頭脳……」


黄皓「司馬懿様がお子をお産みなってから英雄の子の正体を中華全土に広める。全ての民が祝福し司馬懿様は永遠に語り継がれる物語の母となるのです!」


司馬懿「……」


黄皓「司馬懿様……英雄の子を伴侶にお迎え下れ……この黄皓、司馬懿様であれば、ここにお連れ致します……」

 黄皓は司馬懿に囁くように喋る。


司馬懿「いえ……まずは鄧艾と話します。それからでも遅くはありません」


黄皓「司馬懿様がそう仰るなら……私は何も言いません……ですが見つかるのも時間の問題……そうこうしている内に英雄の子は鍾会様と交わり子を宿すことになるやも知れません」


司馬懿「ぐっ……! 分かりました……兵を与えます。まずは直ぐに英雄の子を成都から連れて来なさい。決して鄧艾達と戦ってはなりませんよ。分かりましたね」


黄皓「必ずやお連れ致します。司馬懿様、鄧艾様が本当に謀反であれば私に成都をお任せ頂きたいのですが……民の為にもう一度、働きたいのです」


司馬懿「いいでしょう。これより私は呉の攻略に向けての策を考え曹仁に伝令を送らねばなりません」


黄皓「分かりました。司馬懿様……」


 黄皓は完全な作り話で司馬懿を欺く。


 人の心と弱みに付け込む才能で司馬懿から兵を預かることに成功した。黄皓は成都に向かう。鄧艾を亡き者にする為に……。



 鄧艾と鍾会は僅かな兵を率い許昌に向かう。だが道中で異変を察知した。


鄧艾「前に魏軍の旗が見える……一体どうしてだ」


鍾会「ねぇ鄧艾……何だか様子がおかしくない?」


 成都を出て漢中で鄧艾達は黄皓の率いる軍と遭遇した。


鄧艾「鍾会……」


鍾会「分かってるわよ……囲まれてる……」


鄧艾「一体どういうことだ……一体何がどうなってるんだ……」


 鄧艾と鍾会は背中を合わせる。率いる兵は僅かな護衛しかいない。


黄皓「鄧艾殿。どうもどうも……お隣は鍾会殿ですかな……」


 魏軍の大軍の中から黄皓が現れる。


鄧艾「黄皓。何故お前が魏軍を率いてここにいる。そもそも蜀軍の討伐後に何故、成都に戻らなかった!」


鍾会「あいつが黄皓……生理的に受け付けない顔ね」


黄皓「司馬懿様のご命令で謀反人鄧艾殿と鍾会殿を討ちに参りました。成都に戻らない理由は魏国の裏切り者の下にいては私の未来はないので……」


鄧艾「何だと! 俺たちが謀反人だと!」


鍾会「ちょっと冗談じゃないわよ! 司馬懿さん……何考えてるのよ!」


鄧艾「鍾会! 今は突破する! 司馬懿さんの元へ向かい誤解を解くぞ!」


鍾会「分かったわ! あの馬鹿な先輩を引っ叩くわ!」


 鄧艾と鍾会は黄皓の包囲網を抜けんと走り出す。


黄皓「司馬懿様の元には行かせません! さぁ謀反人を討ち取りなさい!」


 黄皓の号令により魏軍は鄧艾達に襲い掛かる。


 鄧艾は向い来る敵を2本の剣で捌く決して致命傷を与えず軽傷を与え前に進むことに専念した。鍾会は僅かな手勢を率い鄧艾の作った血路を走る。鄧艾によって傷を負った者に止めを差しながら鍾会は進んだ。


 どれ程の時間が経っただろうか時間にして普段であればあっという間の時間がとてつもなく長い時間に感じられた。


 鄧艾は大勢を相手にするには向いていない。鋭くも早いその剣撃は襲いくる魏軍を全てどうにか出来るものではなかった。鄧艾の身体は悲鳴を上げ敵の攻撃によって自分の血で衣服を赤く染めた。鍾会の率いる兵も魏軍に追いつかれ一人、また一人と命を落とす。


 鍾会は生まれて初めての敗北の色に檄を飛ばす。鍾会は鄧艾の背中だけ見て走る。その時、魏軍の兵が鍾会の服を掴む。


鍾会「いや! 鄧艾! 助けて!」


 敵に掴まったことで鍾会は鄧艾に向けて叫んだ。


鄧艾「鍾会!」


 後ろを振り返った鄧艾が見たものは槍で背後から突き刺される鍾会の姿だった。


鍾会「こんな最後だなんて……本当クソッタレだわ……」


 鍾会は激痛に耐えかねて膝を付き倒れた。


鄧艾「鍾会ぃいいいい!」


 鍾会の倒れる姿を目の当たりにし鄧艾は叫ぶ。


黄皓「残るは鄧艾だけですね。さっさと殺しなさい!」


 その光景を見ていた黄皓は兵に鄧艾を狙うように指示した。


鄧艾「黄皓! 俺を本気にさせたこと! 高く付くぞ!」


 鄧艾は立ち止まり吠える。


黄皓「あー。怖い怖い……」


 黄皓は鼻を穿りながら鄧艾を挑発する。


鄧艾「くそ! 一体、何故こんなことに! 今は一刻も早く身を隠さねば!」


魏軍兵士「謀反人、鄧艾! 司馬懿様のご命令だ。その首を置いて行け!」


 魏軍は鄧艾を囲む。


鄧艾「これまでか……!」


 鄧艾は自分の命がここまでだと悟る。


 その時、馬に乗った何者かが魏軍の中を突破した。姜維である。


姜維「僕に捕まって! 早く!」


鄧艾「誰だか知らんが……恩に切る!」


 姜維は鄧艾に手を差し伸ばし鄧艾は姜維の手を取り馬に飛び乗る。


姜維「訳ありと言ったところですね! 安全な場所まで逃げましょう」


鄧艾「ああ! ありがとう! もう駄目かと思った!」


 二人は馬を走らせ黄皓の手から逃げ伸びる。


黄皓「今のは姜維ではありませんか……諦めの悪い人ですねぇ。せっかく、その存在を忘れかけていたのに……鄧艾諸共の殺してあげなければなりません」


 黄皓は逃げる姜維と鄧艾に対し憎悪を抱いた。


魏軍兵士「黄皓様。鍾会の息がまだあります。手当し司馬懿様の元に送りますか?」


黄皓「そうですね……鄧艾が逃げた以上、その方がいいでしょう。鍾会を連れて来なさい」


魏軍兵士「はっ!」


 鍾会に自分で歩く力は既になく魏軍の兵二人がかりで黄皓の前に連れて来られる。


鍾会「ぐふっ……」


 鍾会は血を吐く。内臓に傷を負い一刻も早く手当が必要な状態であった。


黄皓「ふむ……まだ助かるかも知れませんね。助けて欲しいですか?」


鍾会「ふふっ……人の心配するなら……自分の心配をしてはどう……」


黄皓「私の? はははは! これは面白い! 不遜もここまでくると笑いになります!」


鍾会「鄧艾に……逃げられた……馬鹿な奴……一番、恐ろしい男を敵に回した自覚がないなんて……ほんと可哀そう」


黄皓「残念ですね……」


鍾会「残……念……?」


黄皓「あなたの希望である鄧艾を目の前で死ぬところを見せることが出来ないことですよ。別に生かしても良かったのですが……鍾会さんには司馬懿様の元に送り届けないといけないので……」


鍾会「はぁ……首だけ……ってこと……」


黄皓「いいえ。子宮だけです」


 黄皓は鍾会の腹部に剣を突き刺す。


鍾会「うあっあぁああああぁ」


 鍾会は激痛に叫ぶ。


黄皓「子宮はここですか? この当たりかな?」


 黄皓は鍾会の腹に手を入れ内臓を掻き回した。


鍾会「!!!!」


 鍾会は声にならない声を出し白目を向く。


黄皓「おやおや……鍾会さんとはもっとお話ししたかったのですが……もう終わりですか……」


 鍾会は絶命した。黄皓は鍾会の子宮を引き抜く。


 同時に多くの内臓も引き抜かれた。その光景に魏軍の兵士は絶句する。


黄皓「司馬懿様にこれを届けて下さい」


魏軍兵士「こっこれを……ですか?」


黄皓「そうです。それと鄧艾を逃がした旨も一緒に伝えて下さいね」


魏軍兵士「はっ!」


 黄皓の残虐性に兵は怯えながらも返事をした。


黄皓「さてと……成都に戻らなければ……私には役目があるのですから……司馬懿様であればこの贈り物の意味を分かってくれるでしょう」


 黄皓は成都に向かう。





 姜維は孔明の眠る定軍山の近くまで逃げていた。


姜維「ここまで来れば安全でしょう」


鄧艾「本当に助かった。ありがとう。俺は魏の鄧艾だ」


姜維「僕は蜀の姜維です」


鄧艾「姜維だと! 剣閣で死んだと聞いていた!」


姜維「鄧艾殿。成都攻略はお見事でした。完全に僕の完敗です。先程の戦いを見るに、あなたが優れた方だと分かり助けることを決めました」


鄧艾「姜維殿に言われると複雑な気持ちだ……素直に受け取っていいのか……」


姜維「ふふっ。どうぞ受け取って下さい」


鄧艾「それにしても一体どうしてこんなことに……平和な世は目前だったのに……」


姜維「黄皓を殺すことに協力してくれませんか」


鄧艾「それは俺の方からお願いすることだ」


姜維「こんな時に頼もしい味方が出来て嬉しく思います」


鄧艾「姜維殿。黄皓とは一体どんな奴なんだ!」


姜維「一言で言うならば内臓の病と言ったところでしょうか」


鄧艾「内臓の病?」


姜維「人々の心を巧みに利用し己の利を求め続ける者……」


鄧艾「成都での帳簿を見れば明白だな……司馬懿さんはなぜ黄皓の虚言に……」


姜維「黄皓は成都で人心を掴んだ……劉備さんの統治する成都で……口が上手いとかそんなものだけではない……まるで言葉で人の心を掴み騙す天災……」


鄧艾「昔、お師匠様に聞いたことがある。何故、人は騙されるのかって……それは詐欺師の本質は善意の塊だから……その善意は一般的な概念ではなく己の正義を基準にしたもので質の悪いものだと……騙すつもりなんて初めからないって……」


姜維「そうかも知れません……現に黄皓の本性を最後まで誰も見抜けなかった」


鄧艾「どこで歯車が狂ってしまったんだ……曹操様が亡くなり、お師匠様達がいなくなり……どうして」


姜維「魏も色々とある様ですね。差支えなければ教えてくれませんか……」


鄧艾「姜維殿は命の恩人だ。過去の経緯であれば幾らでも語ろう」


 鄧艾は今までの魏軍の経緯を姜維に話した。


姜維「曹操軍。いや、魏もまた乱世の犠牲者か……」


鄧艾「そういう見解もあるのは確かだ……犠牲を止める為に乱は起こり矛盾の塊だよ。ほんと……」


鄧艾「姜維殿はこれからどうする?」


姜維「黄皓を追い成都に向かいます」


鄧艾「そうだな……それよりも共に許昌に向かわないか? 司馬懿さんからの誤解を解き黄皓に一片の希望もない形で首を刎ねたい」


姜維「許昌か……司馬懿殿の誤解を解くことは可能ですか?」


鄧艾「やるしかあるまい。今の俺達には兵が必要だ」


姜維「ならば許昌に向かいましょう」


鄧艾「ああ」


 こうして姜維と鄧艾は許昌に向かった。




 その頃、江陵の曹仁の元に司馬懿からの伝令が届いていた。


曹仁「おい。司馬懿からの伝令が届いたぞ」


徐晃「何? 蜀を滅ぼした話ならもう聞いてるんだけど」


 曹仁達は呉の対岸に面した江陵にいた。


曹仁「呉の攻略についてだ」


徐晃「いよいよ始まるのね……」


曹仁「張コウと満寵も交えて作戦会議だな」


徐晃「分かったわ……」


曹仁「どうしたんだ? 元気ねーじゃねか徐晃……」


徐晃「変ったわね曹仁」


曹仁「はははは! 俺様が変わった? 馬鹿なこと言ってんなよ!俺様は俺様だぜ!」


徐晃「やっぱり変わったわ……以前ならそんな風に言わないもの」


曹仁「以前の俺様ならなんて言うんだ?」


徐晃「多分こう言うわ。『また強くなっちまったのか俺様は!』とか言うと思う」


曹仁「……」


 曹仁は黙る。


徐晃「于禁が死んだこと引きずってるのね」


曹仁「引きずるとか言うな。背負ってるって言えよ……みんなが消えた……俺様の知らないところで……」


徐晃「惇姉達のことよね」


曹仁「呉の連中を負かした後、俺様は夏候惇達を探す……探したいんだ……」


徐晃「本当は今直ぐにも行きたいのね」


曹仁「ああ。夏候惇にはいっぱい世話になったからな……ガキの頃から俺様は曹操様の後ろを追っかけてた……曹操様は絶対に後ろを振り返らない。だけど夏候惇はいつも俺様のことを心配して何度も振り返ってくれて手を差し伸べてくれたんだ。俺様はそれが何か恥ずかしくて夏候惇の手を取ることはなかった……」


徐晃「惇姉らしいわけど……あんたも可愛いとこあったのね」


曹仁「どっかでよ泣いてんじゃねーかな……俺様は夏候惇と仲間達に手を差し伸べなきゃいけないんじゃねーかなって思うんだよ」


徐晃「曹仁……あんた……めっちゃいい奴……うぅ……」


 徐晃は泣き始める。


曹仁「何でお前が泣くんだよ徐晃! 俺様はお前のことの話なんてしてねーぞ!」


徐晃「あんたの成長した姿、絶対に惇姉が見たら喜ぶと思う」


曹仁「そうか……その言葉、ちょっと照れるけど嬉しいぜ徐晃」


徐晃「みんなで作戦会議始めましょう」


曹仁「おおよ! 悪いがとっと終わらせて好きにさせてもらうぜ!」


 曹仁達は中華凌統一の弊害である呉の攻略を進め始めた。



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