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雷子  作者: 三幸
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定軍山の戦い 上

定軍山の戦い 上




 劉備軍は益州を手にし北に布陣する曹操軍を撃退する為に定軍山に向かう。数万の兵を率い、ほぼ全軍と言える軍容であった。漢中は既に曹操軍の夏侯淵によって陥落しており定軍山の夏侯淵に勝利することは実質、漢中を手に入れることと同じ意味を持つ。それは劉備軍にとって領土拡大の絶好の機が益州に続き早くも訪れたことを意味した。



 劉備軍の進軍は曹操軍にも伝わり、曹操軍の陣営は慌ただしくなっていた。


曹操軍兵士「夏侯淵様! 劉備軍が直ぐそこまで迫って来ております!」


夏侯淵「参ったな……こんなにも早く動くとは流石に想定外だ。だが地の利に関してはこちらに分がある。早いところ準備を終わらせるか」


 定軍山の山頂に布陣する夏侯淵は劉備軍に備え丸太や落石の準備をしていた。簡単には退かない。それが名将夏侯淵である。


夏侯淵によって定軍山は要塞化されていた。正面に一本の路を作り、それ以外の山頂への経路は簡単には進めない。急な傾斜からの進軍は全てにおいて不利である。



 

 定軍山の近くまで到着した劉備軍だが馬謖は夏侯淵の陣構えに関心した。


馬謖「ここが定軍山。流石は名将・夏侯淵、良い所に布陣している……」


姜維「夏侯淵相手に奇策は通じない。地の利を活かし劉備軍を待ち構えていると思う」


馬謖「曹操軍が逆落としを仕掛けるのには絶好の場所だな」


姜維「逆落とし? 初めて聞くな……どんな攻撃方法?」


馬謖「坂の上から下る勢いを利用した猛攻で高度な攻撃方法だ。基礎を知らない姜維には難しいだろう」


姜維「なるほど……馬謖君はもの知りだなぁ」


馬謖「どの様な堅い守りも貫き敵陣に食い込む……果たして受けきれるか……」


姜維「被害は避けて通れないか……」


 姜維と馬謖は顔を曇らせた。


趙雲「大丈夫だ。劉備軍には自分達がいる」


馬超「そうだとも! 子龍の言う通りだ。並みの武将の集まりではないことを教えてやろう」


 趙雲達が姜維達を励まさんと現れる。


黄忠「私が夏侯淵を必ず討ち取って見せます! むしろ私に任せて下さい!」


姜維「黄忠さん。随分勇んでいますね。何か夏侯淵に恨みでも?」


黄忠「夏侯淵は弓術に長けていると聞きます。同じ矢を使う者として負けたくはありません」


姜維「そういうことでしたか。納得」


馬超「黄忠殿。夏侯淵は弓と言いますか……腕に仕込んだ弩の様です」


黄忠「弩なんて私の大弓に比べたら玩具の様な物! 私が証明して見せます!」


姜維「名将・夏侯淵か……新野の借りを返させてもらおう」


趙雲「今の劉備軍なら一致団結すればどの様な猛攻にも耐え切れるはずだ! さぁ進もうではないか!」


 趙雲の一言に皆頷き定軍山の麓に向かう。






黄皓「はぁ。張任を殺してから中々動きづらいですねー」


 姜維達が定軍山に向かった頃、黄皓は成都近郊の散策していた。


黄皓「この劉備軍とは戦ばかり野蛮な連中です。しかもこんな山奥に拠点を置くなんて……」


華佗「ふー。薬草が取れる崖はまだ先か……」


 華佗が黄皓の前を通り過ぎる。


黄皓「あれは旅の者ですかねー。丁度、退屈していたところです。少し話しかけてみましょう」


 黄皓は華佗に駆け寄る。


黄皓「そこの旅の方」


華佗「はい。何でしょう?」


黄皓「私、黄皓と申します。世間に疎く、よろしければ色々とお話しを聞かせて頂きたいのですが」


華佗「申し訳ありません。急ぎの用がございまして……」


黄皓「そうですか……それは残念だ」


華佗「私は医者をしております華佗と申します。道中、歩きながらであれば構いません」


黄皓「それは嬉しい。ここの連中は私とあまり話してくれなくて……華佗殿、ありがとうございます」


華佗「では、参りましょう」


 黄皓は華佗と名乗る医者と共に同行することにした。


 華佗は中華一の医者としてその名を知られる者である。その医療術は神医と呼ばれ多くの人達が華佗によって命を救われた。





 定軍山の正面に陣を構える劉備軍は山を囲む様に将兵を配置するも鉄壁の要塞と化した定軍山を前に睨みあう時間を過ごしていた。


姜維「急な坂を上がらねばならないか……これは中々、苦しい展開だな」


 姜維は突撃の号令をかけることを躊躇した。


馬謖「敵は誘い乗ることはない。こちらが仕掛けねば……だが躊躇する気持ちは分かる」


姜維「いつまでも怖気づいていられないか……」


馬謖「ここは先生に知恵を借りるべきかも知れないな」


姜維「いや。先生には頼らない。このまま攻撃することにするよ」


馬謖「正気か姜維!?」


姜維「もちろんさ。多分、僕は試されている……やるだけやって見るよ。作戦は既に伝えてあるから」


 姜維は突撃の合図を将兵にかける。まず趙雲と馬超、そして馬岱の率いる騎馬隊が坂を駆け上がる。騎馬隊は山頂を目指した。


夏侯淵「そうだ。それでいい……一気に坂を上がらねば俺の元へはたどり着けない」


 夏侯淵は迫りくる騎馬隊を山頂から見下ろす。そして開戦の合図を送る様に手を上げる。曹操軍は一斉に火を付けた丸太を坂を転がす。怒涛の勢いで転がる炎の丸太が騎馬隊に迫る。


趙雲「ふん! こんなもの想定の範囲だ!」


 趙雲達は丸太を躱すが後方で兵達が落馬する音が聞こえた。夏侯淵の率いる弓兵が一斉に趙雲の騎馬隊に矢を射かけた。丸太は避けることで動きを読まれていた。


趙雲「おのれ! 夏侯淵!」


 趙雲の言葉に怒りが籠る。


馬超「子龍! 避けるのは危険だ!」


 馬超が趙雲に向けて叫ぶ。


趙雲「うむ! ならば!」


 向かい来る丸太を趙雲は飛び越える。これならいける! 趙雲はそう思ったが馬で丸太を飛び越えるだけの技量を持つ者は少ない。多くの騎馬隊が落馬し丸太と夏侯淵の射る矢の餌食となる。初手は夏侯淵に軍配が上がる。


馬超「くっ! 地の利とはこれ程までに……」


 馬超から夏侯淵の戦上手に息を飲む。だが曹操軍相手に無傷で勝利を掴むことは出来ないことは十分理解している。趙雲達は犠牲を出しながらも山頂を目指す。生き残った騎馬隊は足を止めず山頂を目指した。


夏侯淵「ふふっ。諦めんか……この執拗な攻撃……裏があるな……左右の斜面の森に火矢を放て! 落石も始めろ!」


 夏侯淵の指示で定軍山の斜面に火矢が放たれ大きな石が転がる。




 

 斜面からゆっくり山頂を目指す別働隊の魏延と張飛の前に炎が広がる。


魏延「え! 何でこちらの動きが!」


張飛「もう! このままじゃ進めないよ!」


 森に転がされた落石は木に引っかかり別動隊の張飛と魏延の部隊の行く手を阻む。


 放たれた炎は別働隊に迫る。


張飛「一旦退くよ!」


 張飛が如何に強くとも火を相手に戦うことは出来ない。張飛と魏延は撤退を余儀なくされた。



馬岱「兄貴! 動きが読まれてる!」


馬超「くっ!」


 騎馬隊の執拗な攻撃は側面から山頂を目指す為の囮であったが夏侯淵には通じない。


馬謖「完璧な守りではないか……姜維このままでは……」


姜維「……」


 姜維は口を閉じる。


馬謖「おい! 姜維!」


姜維「馬謖君。全将兵に攻撃の手を緩めないように伝えて下さい。張飛と魏延さんの部隊も前方の坂に配備して正面から山頂を目指します」


馬謖「正気か!? これ以上の犠牲が出るぞ!」


姜維「戦いはまだ始まったばかりだよ」


 姜維の口調は冷静だ。正面に張飛と魏延が展開する。坂では夏侯淵の弓兵達の攻撃を躱すも徐々に数を減らす騎馬隊が少しずつ前進していた。


馬謖「こんな状況で趙雲殿達は押し返そうとしているのか……このままいけば……」


姜維「そろそろか……」


 姜維は全軍退却の合図を出す。


馬謖「ここで退却だと!? みんなの苦労を何だと思っているんだ!」


 馬謖は一喝する。


姜維「馬謖君。僕らも行こう……来るよ逆落としが……」


馬謖「えっ……」


 姜維の言葉に馬謖は驚く。姜維は逆落としを誘発させる為の行動が理解出来なかった。


夏侯淵「ここで退くか……頑張った方だが残念だったな。歩兵を全面に展開! 坂を一気降る! 逆落としにて渾身の一撃を叩き込む!」


 夏侯淵が逆落としに踏み切った理由は二つある。一つは側面から襲われる心配がないということと劉備軍が正面に集まっていること。これは逆落としを仕掛ける絶好の機であった。


 曹操軍は勢いよく坂を降る。槍を前に突き出し劉備軍に襲いかかった。逆落としを使う曹操軍の槍は通常よりも長い。劉備軍の兵士は串刺しにされ騎馬隊もその機動力を活かすことが出来ずに逆落としの餌食となった。次々と押し掛ける曹操軍に劉備軍陣形を崩す他ない……夏侯淵は山頂でその動向を眺めていた。


夏侯淵「決まったな」


 夏侯淵は勝利を確信した。曹操軍の逆落としは劉備軍の陣に大きく食い込むことが山頂から見えた。


張飛「この!」


 張飛は曹操軍を薙ぎ倒すが薙ぎ倒した直ぐに次の攻撃を来る。その速度は今までに経験がない。張飛の身体に少しずつ傷が増えていく。


魏延「張飛さん! しっかり!」


 魏延は張飛を気遣うが魏延も余裕がある状況ではない。用兵術に長けた夏侯淵と訓練された曹操軍は張飛と魏延を苦しめた。趙雲達も防戦一方で攻撃に転じる隙がない。


姜維「全軍に告ぐ! 死地を活路に変えてこそ掴める勝利があることを知れ!」


 姜維は逆落としを防ぐ中で叫ぶ。


「正念場か……」


 誰もがそう思った。姜維の激により少しずつではあるが状況が好転する。いつまでもこの攻撃が続くわけではない。そうただ耐えればいつかは止む。

 

 劣性の中、姜維の鼓舞によって武器を振り続ける将兵は多くの死傷者を出しながらも逆落としを完全に受け止めた。


夏侯淵「まさか……あり得ん! 何故退かんのだ……」


 夏侯淵は焦りを感じた。


夏侯淵「弓兵。これより三度の攻撃を行う。あの混戦している場所むけて矢を放つ」


曹操軍兵士「それでは味方までもが……」


夏侯淵「だから三度だけだ。このままでは押し返される」


 夏侯淵は一斉発射の号令をかける。三度の攻撃に劉備軍と曹操軍に大きな被害が出た。混戦時に矢を躱せる者は少ない。


夏侯淵「これより撤退する」


 夏侯淵はそう言って陣を捨てた。三度の攻撃は敵の戦意を削ぐ為と撤退時の追撃を少しでも減らす為である。決断の早さは多くの戦場を経験している夏侯淵だからこそで並みの武将なら完全に勝敗が決まったわけではない状態であれば立て直しを図る。戦には流れが必ずある。それは援軍であったり計略成功の有無。この戦いに味方はおらず、夏侯淵一人だけしか武将はいない。覆せる流れは絶対に起きないことを知っていた。そして僅かな兵達と共に撤退していく。

 




趙雲「耐え切ったぞ!」


 趙雲は空に向かって吠える。夏侯淵が撤退した後、逆落としの後詰めは止まり苦しい戦いが終わった。


姜維「逆落とし……劉備軍の猛将達がいなければ負けていた……」


馬謖「この威力! 使える場所は限定されるが敵の殲滅は必至だ……」


馬岱「姜維殿! 夏侯淵は既に陣を捨てたみたいだ! 今、兄貴と魏延殿が追撃に向かってる!」


 馬岱は姜維に追撃の旨を報告する。


姜維「馬謖君は趙雲さんと張飛と共に定軍山を占拠して下さい! 後は夏侯淵を追います!」


 姜維の指示で半数の将兵が夏侯淵を追う。






夏侯淵「くっ! 逆落としが防がれるとは以前の劉備軍ではない!」


 夏侯淵とその部隊は定軍山を捨て退路を走る。


曹操軍兵士「夏侯淵様! この先に馬を用意しております!」


夏侯淵「あぁっ! そこまで行けば無事に切り抜けられる!」


 あまりにも険しい退路の為、夏侯淵は事前に退路を抜けた拓けた場所に馬を用意しておいた。


曹操軍兵士「ぐわ!」


 敗走する夏侯淵達に矢が降り注ぐ。


夏侯淵「劉備軍の追手か! いや! 伏兵か!」


 夏侯淵は嫌な予感がした。逃走経路に伏兵。逆落としを仕掛けたが……実は仕掛けさせられたのではと……必ず防ぐ自信の元に敗走経路を読みこの場所に兵を忍ばせた? なら敵の最後の一手はこの場所になる。


夏侯淵「味方の死を振り返るな! 今は前だけを見て走れ!」


 夏侯淵は現れた伏兵を相手にしてはならないことを知っている。


黄忠「待ちなさい夏侯淵! あなたの首はこの黄忠が貰い受ける!」


 黄忠は背を逃げる夏侯淵に向かって叫ぶ。


夏侯淵「黄忠だと……」


 夏侯淵は立ち止まる……一刻も早く逃げなければならない。だが振り向かずにはいられなかった。


夏侯淵「麗……」


 夏侯淵は振り返り黄忠のことを麗と呼んだ。


黄忠「兄上……」


 黄忠は夏侯淵の姿を見て驚く。それは失踪した兄が目の前に立っていたからだ。


夏侯淵「そうか……親父の名を継いだのか。大きくなったな麗……」


黄忠「兄上が夏侯淵? 一体どうして……」


 黄忠に語りかける夏侯淵の口調は優しいものだった。


夏侯淵「麗……今は劉備軍にいる様だが……どうだ曹操軍に来ないか? お前とは戦いたくない」


黄忠「兄上……父上と私を見捨てたにも関わらず……よくもその様なことを……!」


夏侯淵「言い訳をするつもりはない! 劉備は孟徳には勝てん。麗! 先見の眼を持って俺と共に来い!」


 夏侯淵は黄忠に強く語りかける。


黄忠「うっ……うるさい! 兄上がいなくなり父上も亡くなって……私がどれ程の思いで生きて来たか……兄上は知らない!」


夏侯淵「すまなかった麗……もし許されるのであれば今からでも償わせて欲しい……」


黄忠「その様な佞言に惑わされる私ではない! 最早お前は私の兄上ではない! 敵将・夏侯淵だぁあああ!」


 黄忠は弓を引く。


夏侯淵「俺はここで倒れる訳にはいかん! 麗! 力尽くでも連れて行くぞ!」


黄忠「やれるものならやってみろ! 夏侯淵!」


 夏侯淵と黄忠の弓と弩の戦いが始まった。互いに距離を取り合う。夏侯淵は知っている。自分の妹が弓に関して素晴らしい才能を持っているか。


 黄忠は知っている。本来、黄忠の名を継ぐべき正当な後継者である兄の実力を。互いに兄弟だからこそ認め合う二人の矢の応戦は静かであった。隠れて射る。これは戦争ではない一対一の戦いで遠距離戦となる。とても地味だが二人の頭の中は相手の思考を読むことに全回転していた。





魏延「あれは! 黄ちゃん!」


馬岱「相手は夏侯淵か! 助けないと!」


 追撃に向かった魏延と馬岱が追いつき夏侯淵に斬りかかる。


夏侯淵「くっ! 三人同時に相手をすることになるとは!」


魏延「えい!」


夏侯淵「そんな攻撃は当たらんよ。御嬢さん」


 夏侯淵は大振りな魏延の攻撃を余裕を持って躱す。


馬岱「でやっ!」


 馬岱が夏侯淵に目がけて槍を突く。


夏侯淵「おっと……今のは中々……ん? お前は……」


馬岱「涼州軍に居た馬岱だ! 潼関での借りを返させて貰うぞ!」


夏侯淵「と言うことは……まさか馬超も……」


 夏侯淵は妹に固執したことが間違った判断だと気付く。


馬超「馬超推参! 夏侯淵! 覚悟!」


 馬超が現れる。馬超は魏延と馬岱が夏侯淵相手に苦戦を強いられている様に見えたことと曹操に敗れた雪辱を晴らす為に一直線に向かっていく。


夏侯淵「いかん! この状況でこの男と戦うことだけは避けねば!」


夏侯淵にとって最悪の間で現れた馬超。童関の戦いで馬超を撃退することに成功した曹操軍であったがギリギリまで追い込まれたのは馬超という男の強さがあったからこそであった。


馬超「遅い!」


 馬超は馬から飛び降り夏侯淵に斬りかかるる。夏侯淵は馬岱と魏延に囲まれた状況と妹である黄忠から狙われることから馬超の攻撃を躱すことが出来なかった。


夏侯淵「ぐっ……! 志半ばで……倒れることになろうとは……麗……せめてお前だけでも幸せに……生き……て」


 夏侯淵は胸を斬られそのまま倒れ戦死した。


馬超「敵将・夏侯淵! 討ち取ったぞ!」


 馬超はこの戦いを終わらせたことを誇示するように吠える。


馬岱「流石は兄貴!」


魏延「馬超さん凄いですー!」


 馬岱と魏延は馬超を讃える。


黄忠「…………」


 黄忠は顔曇らせた。


魏延「黄ちゃん? どうしたの? 具合でも悪いの?」


黄忠「大丈夫です……ちょっと一人にさせて……」


魏延「?」


 浮かない顔をする黄忠に魏延は疑問を抱いた。


 劉備軍は無事に定軍山の戦いに勝利をおさめ漢中を手に入れることに成功した。


漢中に滞在する曹操軍は長安まで退くき、姜維達は漢中に兵を滞在させた。劉備と孔明も曹操軍撃退の報を聞き漢中に足を運んだ。




諸葛亮「これで劉備軍は漢中を手中に収めることが出来ました」


劉備「皆さんのおかげですね」


 勝利を報を聞いた劉備と孔明の声は明るい。


趙雲「今までの苦労が報われた様な気がします」


諸葛亮「ふふふっ趙雲殿。それにはまだ気が早過ぎますよ」


趙雲「そうでしたな。これからが本番と言ったところでした」


馬超「失礼します」


 馬超が現れる。


趙雲「おぉ! 馬超! 夏侯淵を討ち取ったんだな。自分も負けてはいられないな」


馬超「何を言う子龍。今までの子龍の働きに比べれば夏侯淵の首など……」


 なぜか馬超は顔を赤らめ照れながら趙雲に応える。


諸葛亮「馬超殿。謙遜されなくても結構。夏侯淵の首は十分な功績ですよ」


劉備「馬超さん。これからも頼りにしていますね」


馬超「ありがとうございます」


 馬超は劉備軍に明確な居場所を作った。





 診療所では姜維と張飛が手当てしていた。


張飛「もう……結構、痛かったんだけど!」


姜維「大丈夫かい張飛?」


張飛「大丈夫じゃない!」


姜維「後ろで見てたよ。張飛が前線で敵の猛攻を防いでくれたから逆落としに耐えることが出来た……ありがとう」


張飛「そう思うんなら兄ちゃんも張飛の横で戦ってよ」


姜維「はははは。張飛の横で? 攻撃に巻き込まれて死んじゃうよ」


張飛「避ければいいじゃんか!」


姜維「出来ればやってる。それより劉備さんと顔を合わせた? まだなら行っておいで」


張飛「もう……劉姉の所に行くけど兄ちゃんは行かないの?」


姜維「後で行くよ。被害状況をまだまとめきれてないから」


張飛「軍師も大変だね」


 張飛はそう行って劉備の元に向かった。


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