雷編 呉を救え!
雷編 呉を救え!
呉の救援として南荊州から曹操軍を追い出した劉備軍の元には呉の首都である建業の陥落の報が届けれた。
そして呉の別働隊である陸遜、凌統、甘寧が加わり軍は建業へ向かった。
黒煙の上がる建業を見渡せる場所で劉備軍は陣を敷く。建業に滞在する曹操軍に向けて攻撃を始まろうとしていた。
姜尚「これより、建業に滞在する曹操軍と戦います。此度の戦は孫権様と多くの呉の将兵の奪還です。迅速に曹操軍を撃破します! 今回は呉軍の陸遜殿、甘寧殿、凌統殿が加わります」
陸遜「陸遜です。お力をお借りします」
陸遜は頭を下げる。
黄忠「あら……可愛い子ね。私は黄忠よろしくね」
陸遜「ありがとうございます黄忠殿。みなさんに遅れをとらぬよう精一杯、戦わせて頂きます!」
黄忠「凄く……いい子……陸遜、危なくなったら私の後ろに隠れなさいね」
陸遜「その時はお言葉に甘えさせて頂きます」
黄忠「まかせなさい」
黄忠はドヤ顔で返す。
張飛「陸遜って幼児体型だよねー」
関羽「こら! 張! 陸遜殿に失礼であろう!」
張飛「だってーー!」
陸遜「自分でも自覚はしております。張飛殿、私達はきっと同類ですよ?」
張飛「そうかなぁ……」
張飛は自分こそが幼児体型だと自覚がない。
黄忠「絶景ね……」
張飛と陸遜が並ぶ光景に黄忠は感動する。
甘寧「俺は甘寧だ。呉で一番強い男だ宜しくな」
凌統「甘寧の子守の凌統です。宜しくお願いします」
甘寧「その紹介はねーだろー! 凌統!」
甘寧は慌てる。
趙雲「ほー。呉で一番強いか……中々興味深いな」
馬超「うん、確かに。子龍程ではないが良い線をいっている」
馬岱「兄貴……今、違う意味で言ったよね……」
馬岱は馬超を冷ややかな目で見る。
劉備「凌統さんも甘寧さんも宜しくお願いしますね」
甘寧「この方が劉備様か……」
凌統「そのようだな」
二人は劉備とは初対面であったが一目で分かる。
関羽「どうしたのだ? 二人とも」
凌統「あっいえ、劉備軍は綺麗な方が多いので少し驚いております」
劉備「そこは劉備軍ではなくて劉備がと言ってくださいね」
凌統「あっはい……」
甘寧「呉軍の女性陣はガサツな奴が多くて……恵まれてるな劉備軍のお男共は」
魏延「なら、私のことをしっかり覚えてくださいね? みんなからは魏延ちゃんと呼ばれいます」
張任「私は張任だ。劉備軍で最も嫁にしたい候補筆頭だ」
甘寧「凌統……何か変なのが出て来たぞ……」
凌凌統「しっ! 口に出すな! 分かってる!」
甘寧と凌凌統は張任の紹介に困惑する。
陸遜「劉備軍は個性的な方が多いですね……」
姜尚「そうかも知れませんが見かけによらない程の強さを持ち合わせています」
陸遜「姜尚殿……いえ……姜尚……さ……ま」
姜尚「陸遜殿? どうかしましたか?」
陸遜「いえ、何でもありません……やっやっぱりお伝えしたいことが!!」
姜尚「作戦についてですか?」
陸遜「いいえ。初めて会った時の無礼をお詫びしたく」
姜尚「無礼? 無礼を働いたのは僕の方です。陸遜殿が詫びることではありません」
陸遜「いいえ! とんでもない約束をさせてしまいました! 私が窮地に陥った時には一人でも駆けつけろと!」
姜尚「え……そんな内容でしたっけ? たしか呉の窮地に……」
陸遜「命を落としかねない……誰もが反故する様な約束を守って頂いた私は……私は……」
陸遜はうっとりとした目で姜尚を見る。
劉備「姜尚君……そろそろいい加減にするべきですよ?」
関羽「ああ。そうやって後先、考えない言動は信用を無くすぞ」
姜尚「え!? 一体、何の話しか全く理解できないのですが!?」
劉備と関羽の言葉に姜尚は困惑する。
張飛「兄ちゃんに悪い虫が憑く音が聞こえた……」
黄忠「ええ……そうね……あの女たらしにはいつか制裁が必要ね」
魏延「まーまー落ち着いて二人とも!」
魏延は二人を落ち着かせようとする。
諸葛亮「全く……みなさん! 孫権様奪還作戦の開始ですよ!」
孔明は一連のやりとりを終わらせ建業攻略を始める。
建業は大都市である。当然のことながらその防衛は簡単に崩せるものではない。
曹操軍の大将は夏候惇で張コウ、満寵、カク昭、がそれぞれ建業の守りに付いていた。
劉備軍は建業の要所である三か所の門から建業攻略に移る。大兵力で籠城することはそれだけ物資の浪費が激しいものだが大都市の建業には十万を超える曹操軍を維持するだけの物資が奪われていた。
北門からは呉軍を中心とした編成した部隊が展開し南門と西門からは劉備軍が二手に分かれ攻撃に移る。
建業は固く門を閉ざされ近づく劉備軍に矢を浴びせた。城壁の高さが通常よりも高く建築された建業に突破する糸口が見つからない。
ホウ統「まったく、嫌になるぜ! 城攻めってのはどうしてこう毎度不利なんだよ!」
馬謖「攻城兵器を持ってきていないことが仇となりましたね!」
姜尚「うん? 攻城兵器ならあるよ? 既に向かわせてあるから時期に門は開くんじゃないのかな?」
馬謖「一体、何処にあるんだ?」
姜尚「あそこ」
姜尚が指を指す。
そこには張飛と魏延が二人で大木を担ぎ門へ向かっている。
「……」
ホウ統と馬謖は言葉を失う。可愛い女の子を攻城兵器と呼ぶ姜尚の感覚よりも大木を二人で担ぎ門に叩き付けようとする姿に。
門を打ち付ける音が戦場に響き渡る。
曹操軍は張飛と魏延に落石を試みるが城壁の上の兵は黄忠と張任の弓部隊の掩護により尽く矢の餌食となった。
後方では趙雲、馬超、馬岱率いる騎馬隊が門を開くのを待ち突撃の準備をする。
ドンという大きな音と共に門が開き騎馬隊が突撃する。騎馬隊は味方を引き入れる為に閉ざされた城門を目指し内部から開門に向かう。
建業の城門が開くと同時に
夏候惇「ふふ……そろそろかしらね……」
建業の城門が開くと同時に夏候惇は不敵に笑う。
カク昭「夏候惇さん。狼煙の準備は出来ています」
夏候惇「なら始めましょうか」
カク昭は狼煙を上げる合図を送る。建業の中心から白い煙があがる。
姜尚「あれは……そういうことか……馬謖君! 急いで張飛と魏延さんを呼び戻し劉備さんの護衛に向かわせて下さい!」
馬謖「あの狼煙のことか! となると敵の新手が来るということだな!」
姜尚「はい! それと孟獲さんの藤甲兵を直ぐに城内に! 敵の反撃が予想されます!」
馬謖「分かった! 劉備様のことは私に任せろ! 姜尚はこの場で現状の把握と指示伝達を頼む!」
姜尚は頷く。
姜尚「上手い……南荊州の陥落の建業への侵攻速度を同時に合わせこちらの索敵させる間を心理的に突いてきたこの連携……油断出来ない」
劉備のいる陣に徐晃と于禁が兵を率い向かうのが見える。
姜尚「劉備さんの元には周倉君がいる……張飛と魏延さんの到着まで何とか持つと思うけど……これで終わりか……いや……まだ他に……」
姜尚は戦場を見渡す。
姜尚「そもそも……曹操軍はどうやって渡河を……呉軍に気付かれづに河を渡ることなんて出来るのか? 呉の攻略の糸口は南荊州……であれば益州を抜けなければ行くことは出来ない……劉備軍の領土を見つからずに抜けることが出来る芸当をもつ者……いる一人だけ……この戦場には鄧艾殿が何処かに!」
姜尚の背中に冷たいものが流れる。
姜尚「直ぐに呉軍の部隊に合流しなければ! 鄧艾殿の異常な地理感覚はこちらの急所を狙ってくるはずだ!」」
姜尚は陸遜達の元へ向かう。
姜尚「陸遜殿!」
陸遜「姜尚様! どうなされましたか? こちらの戦況は上々です」
姜尚も登場に陸遜は戦況を報告する。
姜尚「甘寧殿と凌統殿の活躍、お見事ですね。ですが今は陸遜殿にお聞きしたいことがあります」
陸遜「わっ私にですか! 私は揚州の生まれで未だ男性とのお付き合いもなく正真正銘の清らかな身体です! 貞操を守りつつも遂に運命の人に身体を預ける覚悟が出来たところで……!」
姜尚「じっ自己紹介……ありがとうございます。ですが今は別のことをお聞きしたく」
陸遜「もっ申し訳ありません!! 衣服によって分かりにくいかも知れませんが大きさと形・・・・・・そして張りには自信があります!」
姜尚「…………それでですね聞きたいのは南荊州の陥落は越族の急襲によるものだったのは間違いないと思いますが曹操軍は水路を?」
姜尚は話を切り返す。
陸遜「はい。それは間違いありません。それがどうかしましたか?」
姜尚「港の防衛は既に越族の急襲前に曹操軍によって落ちていた可能性があるのではありませんか?」
陸遜「流石にいくら何でもそれは……それは……まさか、いえ! 越族との急襲に呉軍は混乱しその後の曹操軍の急襲の間を考えれば十分に考えられます!」
姜尚「本来であれば隠密に渡河しようとした曹操軍は越族の急襲を見逃さなかった曹操軍は少数精鋭で呉軍に襲い掛かった」
陸遜「くっ! 事態の把握をすることが出来れば何とかなったかも知れないということですか」
陸遜はやりきれない表情をした。
姜尚「呉軍に悟られず港を陥落させた者がこの戦場の何処かにいます」
陸遜「それはもしかして……」
姜尚「第三の矢が迫っています」
陸遜「ですが……そんな敵は一体、何処に……」
姜尚「呉の都市は建業。他の領地は無事ですか?」
陸遜「建業が落ちて間もありません。残りの都市である会稽と呉が落ちたとの報告は聞いておりません。そもそも建業を通過せず会稽と呉を攻略することなど道なき道を進まねば不可能です」
姜尚「ありがとうございます。その言葉で確信が持てました。会稽と呉は既に落ちています。道なき道を通る者は間もなく現れるでしょう」
陸遜「え……」
陸遜は困惑する。
姜尚「陸遜殿は直ぐに甘寧達を率い会稽と呉から向かって来る敵の増援を防いで下さい」
陸遜「ですがここは……いえ! 分かりました! 直ちに敵、増援迎撃に向かいます!」
姜尚「お願いします! 街道を封鎖するだけで結構です!」
姜尚は劉備のいる陣に向かう。
徐晃と于禁の遊撃隊を劉備と周倉は防ぐ。劣性を強いられるも張飛と魏延の到着により攻守は交代し徐晃と于禁は撤退を余儀なくされた。
建業もまた怒涛に降り注ぐ矢の雨も孟獲率いる藤甲兵により建業の中心まで進むも夏候惇、張コウの抵抗にあい互いに兵を消費した。
街道を塞ぐ呉軍に鄧艾率いる軍団が呉軍に襲い掛かる。兵にして数千を率いる鄧艾は姜尚によって行動を読まれたことにより奇襲をかけ損ねた。
カク昭「夏候惇さん! 鄧艾の援軍が呉の連中に塞がれてる! これ以上の戦いは危険だよ!」
夏候惇「そんな! どうして屈強な我らが負けるの!」
鄧艾の奇襲こそが夏候惇にとって必勝の一手であったが失敗したことにより言葉に怒りが籠る。
李典「惇姉! とにかくここは急ぎ撤退を!」
張合「夏候惇殿早く! カク昭! 俺がしんがりを引き受ける!」
カク昭「うん! 分かったよ!」
夏候惇「納得がいかないわ! 孟徳に何て言えばいいのよ!」
張合「李典! 夏候惇殿を早く退かせろ!」
李典「さぁ早く!」
夏候惇「こんなに悔しいことはないわ!」
李典に手を掴まれ引っ張られる夏候惇は劉備軍を睨みつける。
張合「劉備軍……確かに強い。これから呉軍の力が加わることを考えると恐ろしいな……」
曹操軍は退路を塞ぐ呉軍をほぼ無視し鄧艾と合流し呉に向かった。そしてそのまま呉の船団を奪い合肥に向かった。
劉備軍は建業に入り牢屋に閉じ込められた孫権と武将達を解放した。
姜尚「劉備さん。孫権様と捕えられていた呉の将兵は無事のようです」
劉備「あー良かった……間に合わないかと思い冷や冷やしました」
孫権「劉備殿。此度は誠にありがとうございます」
救出された孫権が現れ劉備に頭を下げた。
劉備「孫権殿、無事でなによりです」
孫権「劉備殿に返しきれない恩ができてしまった……こうなってしまった以上、呉の土地は劉備軍に治めていただくしか……」
劉備「私は呉の土地を治める気はありません。呉の復興は劉備軍が支援いたします。民が平和に暮らせる世を、共に築きましょう」
孫権「劉備殿……ありがとうございます。呉は劉備軍と共に平和な世を築くことを誓います」
孫権はまた頭を下げる。
周瑜「呉軍総指揮官を務める周瑜と申します。呉軍の代表として劉備様及び、劉備軍の皆様に感謝いたします」
劉備「そんな気になさらにで下さい。姜尚くんのおかげで私なんか役に立ってませんわ」
周瑜「姜尚殿?」
姜尚「周瑜様。ご無事で何よりです。またお会い出来ましたね」
周瑜「キョウ殿……名前が変わったのですか? ありがとう姜尚殿、何かお礼をしなくてはなりませんね」
姜尚「ははは。お礼などとんでもない。これからは共に劉備軍と呉軍共に力を合わせましょう」
周瑜「そうもいきません。お前たちもそう思うだろ?」
周瑜は後ろで待機する呂蒙と周泰に声を掛けた。
呂蒙「もちろんです。返しきれる恩ではありませんが何なりとお申し付け下さい!」
周泰「姜尚殿! 何でも遠慮せず言ってくれていいよ!」
姜尚「本当にお気持ちだけで結構ですから」
姜尚はやんわり断った。
陸遜「お姉様! ご無事でしたか!」
陸遜が現れる。
呂蒙「伯言! 良かった心配していたんだよ!」
周泰「呂蒙は伯言のことばかり心配してだぞ?」
陸遜「周泰さんもご無事で何よりです。他のみんなは?」
周泰「あー。甘寧と凌統の所へ行ってるよ。甘寧が俺に助けられたから俺が一番強いんだってさ」
呂蒙「そうそう、それでみんな甘寧に劉備軍の力だろうって説教しに行ったよ。本当に騒がしい連中だね」
陸遜「また、こうして一緒に居れる日々が始まると思えると過ぎた日々がいかに大切な時間であったか……」
呂蒙「そうだね伯言……」
姜尚「呂蒙殿」
姜尚は呂蒙の名を突如呼ぶ。
呂蒙「はっはい……」
真剣な気持ちが伝わる姜尚の声に呂蒙は驚く。
陸遜「姜尚様? どうかされたのですか?」
陸遜は突然、呂蒙の名を呼ぶ姜尚に疑問を抱く。
姜尚「お疲れだと思いますが……二人きりで話がしたいのですが……」
陸遜「!」
陸遜は動揺する。
劉備「姜尚くん……? どうしたの?」
劉備でさえ只ならぬ事態が起こったと勘違いしていた。
姜尚「初めてお会いして……物凄く変なことを言うかも知れません……」
呂蒙「あっはい……」
姜尚「しかし、どうしてもお話したいことがあります。二人きりで話せる時間を作って下さい」
呂蒙「わっわかりました」
姜尚「では、後程……」
姜尚はその場を去る。
周泰「おいおい! 呂蒙! 一体どうしたんだこれは! 春が来たのか!」
陸遜「春?」
呂蒙「まさか、初めてお会いしたのだから、そんなことは……」
周泰「劉備軍のイケメン軍師に一目惚れされるなんて! 凄いじゃないか!」
呂蒙「周泰やめなって。あの人はそんな人ではないよ」
陸遜「お姉様……」
呂蒙「ん? どうしたんだい伯言?」
陸遜「この伯言。お姉様に逆らったことは一度もございません」
呂蒙「あっああ、そうだね……」
陸遜「そしてこれからもお姉様には逆らうことはございません……」
呂蒙「あっありがとう伯言……」
陸遜「お姉様! お願いがあります! 姜尚様だけは姜尚様だけは、この伯言に譲ってください!」
呂蒙「はっ伯言!? いっ一体何を言って……」
周泰「はははは! こんな陸遜初めてみたよ! 結構、情熱的なんだな!」
周瑜「陸遜。落ち着きなさい。姜尚殿は呂蒙のものではありませんし互いに恋心を抱いているとは分かりません」
陸遜「だって周泰さんが!」
周瑜「周泰」
周泰「あははは……すみません……」
周瑜「呂蒙、まずは姜尚殿の話を聞きに行きなさい。話はそれからです」
呂蒙「分かりました。伯言、大丈夫だから私と姜尚殿は何もないよ」
陸遜「ほんとですか? 信じてますからお姉様!」
劉備「姜尚くんが……呂蒙殿に愛の告白を……みんなに伝えないと!」
劉備は孔明の元に走る。
呂蒙「姜尚殿……お待たせしました」
痛んだ城壁の上で姜尚と呂蒙は落ち合った。
姜尚「呂蒙殿、足を運ばせてしまい申し訳ありません」
呂蒙「それで……話と言うのは……」
姜尚「はい。実は……」
呂蒙「ちょっちょっと待ってください! 姜尚殿……大変言いにくいのですが……先に言いたいことが……」
姜尚「そうですね。僕もそう思っていました……では二人で一緒に……」
呂蒙「はい……」
「隠れてないで出てきてくださーい」
姜尚と呂蒙は声を揃える。
周泰「あちゃー。バレてたか」
陸遜「うううっ」
周瑜「おほん。部下の恋路を見守るのも上官としての役目だ」
物陰から周瑜、周泰、陸遜が現れる。
呂蒙「周泰に伯言! 周瑜様までも……しかも恋路って……」
劉備「あら残念」
諸葛亮「わっ私は別に覗こうなんて……」
ホウ統「ちっ! いつから気付かれてんだ」
姜尚「劉備さんに先生! おやっさんまでも……」
反対側の物陰から劉備、孔明、ホウ統が現れ姜尚は少し呆れた。
姜尚「やれやれ……そんなに話の内容が気になりますか?」
ホウ統「ん? そりゃー気になるさ。劉備軍の総司令官様が呉軍の異性と密談。気にならない方がおかしいだろ」
姜尚「分かりました。ではみなさんにも聞いていただきましょう。物凄く変なことを話すことになりますがよろしいですか?」
呂蒙「よろしいのですか? 姜尚殿?」
姜尚「はい。……呂蒙殿」
呂蒙「あっはい!」
姜尚「呉に巣食う化け物の話に付いて何か知りませんか?」
呂蒙「化け物ですか……?」
陸遜「呉の化け物? 周瑜様はご存じで?」
周瑜「いや。聞いたことがない」
姜尚「そうですか……では目が見えなくなることに関してはいかがですか?」
諸葛亮「姜尚。一体どうしたのです?」
劉備「何だか怪談話のようですねー」
呂蒙「目が見えなくなる……申し訳ない心当たりがありません……」
周瑜「…………」
周瑜は一人、険しい顔した。
ホウ統「周瑜? 何か心当たりがあるのか?」
周瑜「一つだけ……そしてこの度の越族の急襲……」
陸遜「どう言うことですか……」
周瑜「孫権様の兄であり私の親友の孫策……遺体が見つかった時には部屋の壁には無数の剣撃の跡があった……そう……まるで視界を失い闇雲に剣を振るったような……」
姜尚「…………」
姜尚の直感は当たりだと感じた。
諸葛亮「それで越族の急襲には何の関係が……」
周瑜「孫策が何者かに殺された日は濃霧に覆われていた。越族の急襲の時も同じような濃霧が出ていた……あの濃霧で視界が妨げらられなければ呉軍は混乱することも無かっただろう……」
陸遜「本体が混乱した理由にはそんな背景があったとは……」
ホウ統「お前……一体何を知っているんだ?」
姜尚「僕にも具体的なことは分かりません……化け物の存在はある方からお聞きしましたが機を考えお話します」
ホウ統「そうか……孫策殿の死と越族の濃霧……結びつけるにはあまりにも強引だが……嫌な臭いがプンプンするな」
周泰「じゃー越族にお礼参りと行きましょう」
劉備「では劉備軍も参りましょう」
姜尚「劉備さん。この件は呉軍の方々にお任せするのが良いと思います」
諸葛亮「確かに呉の遺恨に関わることですから」
周瑜「そうさせていただけるとありがたい。越族には借りを返させてもらおう」
姜尚「劉備さん。呉軍の越族討伐の件。僕も同行します」
陸遜「姜尚様と一緒に戦えるなんて……」
劉備「分かりました。劉備軍は曹操軍との戦いの準備をしておきます」
姜尚「お願いします」
ホウ統「劉備様。俺と孔明も呉軍に同行させていただきます」
劉備「孔明とおやっさんもですか?」
ホウ統「軍師たるもの、そのような化け物の話をされては好奇心を止められません。そうだろう孔明?」
諸葛亮「ホウ統、代弁ありがとうございます」
姜尚「明日、早速参りましょう」
周瑜「うむ。呂蒙、周泰、陸遜、呉軍の全軍を持って越族に鉄槌を下す。出陣の準備をしろ!」
「はっ」
呂蒙達は力の籠った返事を返した。




