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雷子  作者: 三幸
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雷編 南荊州奪還作戦

雷編 南荊州奪還作戦


 

 長安包囲網が完成した劉備軍はいよいよ長安への攻撃を開始しようとした矢先に急報が訪れる。



馬謖「劉備様! 大変です! 呉の抵抗も空しく曹操軍によって荊州が落ちました!」


 天水では馬謖から呉の治める荊州の陥落の報が伝えられた。


姜尚「呉が?! そちらを攻略してきたか……!」


諸葛亮「どうりで天水攻略の後、曹操軍が攻撃を仕掛けて来ないわけですね」


劉備「姜尚君、呉は劉備軍の同盟国です。何とか助けたいのですが……」


姜尚「分かっております。元々長安包囲網が完成次第、呉と共に曹操軍と戦うつもりでした。しかし間に合わなかったか……」


馬謖「姜尚どうする? 呉の本拠地である建業陥落の報はまだ届いていない」


姜尚「長安包囲網を崩す訳にはいきません。ある程度の戦力を残し南荊州へ向かいます」


諸葛亮「出来ることであれば主力全てを向かわせたい所ですね」


姜尚「ですが……そうなると長安からの攻撃に耐えることが……」


諸葛亮「連弩を備えさせましょう」


姜尚「完成したのですか?」


諸葛亮「はい。連弩とスズランから精製した毒があれば守り切れるでしょう」


姜尚「それならば安心して呉に向かえます。天水、羌族の二つの拠点を抑えている以上、長安はどちらかの一拠点を攻めても残りの拠点から長安を攻められる。ゆえに長安は守りに徹することしかできないはず。攻撃の為の攻城兵器も準備しこちらが常に長安を狙う隙を伺っている様にしなければなりません」


諸葛亮「今はそれが良いでしょう。援軍は時間が勝負になります」


劉備「では荊州に向かうのですね」


姜尚「はい。主力全てで向かいましょう」



 呉の救援として劉備も含む主力は一斉に南荊州を目指す。




 劉備軍は天水に数十万の兵を残し成都に滞在する数万の軍を率いて荊州を目指す。


 それは少数の方が行軍速度が速いことと絶対に長安包囲網を崩さない為であった。




関羽「しかし姜尚、荊州が陥落するのが早すぎると思うのだが」


姜尚「それは僕も感じました。呉にも多くの優れた方がいるのに……」


諸葛亮「おそらく、領土の広さゆえです」


姜尚「領土の広さ……」


諸葛亮「大きすぎる領土を守るには呉に人材が少な過ぎたのでしょう。元々の呉の領土に南荊州全てを加えると倍近くになりますから」


姜尚「それは確かにそうなのでしょうが……他に要因があるとしか……」


ホウ統「姜尚の言う通りだ。それだけじゃねー。他にも何か必ず理由があるはずだ。あの周瑜がこんな短期間で敗れるはずがない」


諸葛亮「周瑜殿が居りましたね……では一体何が……」


ホウ統「まーそんな広い南荊州全てを守る事が出来るのは軍神関羽殿くらいのものでしょうね」


関羽「これは嬉しい事を言ってくれる。だがそれがしは守るよりも断然攻めの方が得意だが」


姜尚「確かにそうかも知れませんね。一切攻撃を行わず防御に徹することが前提ですが」


張飛「兄ちゃん。張飛はー?」


姜尚「張飛は僕と一緒にいれば大丈夫だよ」


張飛「ほんとに! ねぇ、みんな! 兄ちゃんに一緒にいようって言われたよ!」


姜尚「張飛! その言い方は誤解を招く!」


関羽「姜尚。そうなのか?」


姜尚「関羽さん。真に受けないで下さいよ!」


馬超「姜尚……分かるぞ。俺も子龍がいれば負ける気がしない! 男子足るもの心の最後の砦は愛だな……」


 馬超の言葉に皆、「やはり馬超は……」の疑問ではなく。「間違いなく馬超は……」と確信した。


関羽「後、少しで南荊州に到着するが何か考えはあるのか?」


姜尚「いいえ。策を弄する時間がありません。あくまでも今回の戦いは呉の救援ですから」


関羽「力押しのみか。ならば南荊州四郡全ての同時攻略ということだな」


姜尚「はい。武陵に関羽さんと張任さん、長沙に黄忠さん、魏延さん、桂陽に趙雲さん、馬超さん、零陵に張飛と馬岱さん。残りは四郡の中心に陣を構え、それぞれの後方支援を行います」


諸葛亮「張飛殿と馬岱を組み合わせるなんて中々面白いことをしますね。何か考えがあってのことですか?」


姜尚「僕の中で馬岱さんは劉備軍屈指の常識人です。張飛の無茶を止めてくれると思いまして」


諸葛亮「馬岱に止められますかね……」


姜尚「張飛、馬岱さんの言うことなら聞けるよね」


張飛「うん。大丈夫、馬岱は嫌いじゃないし」


馬超「ははは。涼州でも馬岱は信頼が厚い男だった。張飛殿も分かっていただけるか」


ホウ統「逆に譲ちゃんに嫌いな人なんているのかい?」


張飛「うーん……いないかなぁ……でも……少し怖いと思った人が最近……」


 「誰!?」

 張飛の意外な返事に皆が驚く。


張飛「いやっでも! 一瞬だけだったし勘違いかも! 張飛行くね!」


 張飛は逃げるようにその場を去る。


関羽「あの張に恐怖を感じさせた……一体、誰だろう……」


姜尚「勘違いかもと言っていましたし。気にすることではないと思いますよ」


関羽「それもそうか」


 劉備軍は南荊州に向かう。




 南荊州は既に曹操軍に占拠されていた。


 劉備軍の動向は当然。曹操軍に伝わる。


徐晃「于禁。劉備軍が攻めてくるわね」


于禁「分かっています。何かを失えば何かを得る。長安の包囲を許したのは我らが荊州を取る為に必要な犠牲でした」


徐晃「そうね」


于禁「呉から荊州を奪う為にはどうしても劉備軍を長安に釘付けにする必要がありましたが二重の策に果たして劉備軍はどうするか楽しみです」


徐晃「ふふふ……ここもまた時間稼ぎ……」


于禁「出来るだけ長く止めてみますが無駄な兵の消耗は極力避けたいところですね」


鄧艾「徐晃殿、于禁殿。ここにおりましたか」


 鄧艾が現れる。


于禁「鄧艾。準備は整った?」


鄧艾「はい。主力は既に建業に向かいました」


徐晃「じゃあ、今頃、呉の首都は曹操軍主力の猛攻撃で火の海になっているでしょうね」


鄧艾「作戦は事前に伝えた通り武陵、零陵の二郡が陥落したら即撤退でお願いします」


徐晃「分かってるわよ」


鄧艾「では俺は先に建業に向かわせて頂きます」


于禁「あら、あんなに戦いがってたのにもう行くの? 一戦交えてからでも遅くないんじゃない?」


鄧艾「お師匠様からお前は切り札だから簡単には戦うなと言われておりまして」


徐晃「生意気ね」


鄧艾「勘弁して下さい。これでも先輩方の足元にも及ばないと思っておりますので」


徐晃「なら許してあげるわ」


 徐晃は笑顔で応える。


于禁「遅刻は厳禁何だから早く行きなさい鄧艾」


鄧艾「では失礼します」


 鄧艾は建業に向かった。


徐晃「ふーん……鄧艾が切り札ね……ちょっと意外だわ」


于禁「楽進の話だと頭一つ飛び抜けてるらしいわよ」


徐晃「機会があったら一度、試してみようかしら」


于禁「劉備軍を負かしてからね」


徐晃「もちろんよ」



 劉備軍は荊州に到着次第、四群の中心に陣を構え各武将達は散会し曹操軍の待ち構える都市に向かった。


 各部隊が散開し都市に滞在する曹操軍と戦う。


 陣中では姜尚を含む数人の武将が不測の事態に備えていた。


孟獲「おい姜尚。あっしらはいつまで待機してりゃあいいんだ?」


姜尚「救援の要請があるまで……ですかね?」


孟獲「おめえ……いつからそんな楽をするようになったんだ……そんなことじゃろくな大人にならないぞ」


姜尚「別に楽をしようとは思ってはいませんよ。敵の動向が気になりますので」


孟獲「はぁ? 動向って……どういう意味だ?」


姜尚「孟獲さん。おかしいと思いませんか? 実は僕たちの死地にいるんです」


孟獲「はぁああああ! お前、自分でここを選んだんだよな! 馬鹿なのか!?」


姜尚「周りは全て敵。その中心に陣を構えるなんてあり得ない。それは曹操軍にとって千載一遇の機……本当に劉備軍を迎え討つのであれば敵は籠城など絶対にしません」


孟獲「ちょっと待て! あっしにもっと分かりやすく教えてくれ!」


姜尚「おかしいんですよ……この戦いはどうも臭う」


孟獲「もったいぶるな! 早く教えろや!」


姜尚「まぁ簡単に言うとですね。補給を断つことも簡単で包囲することも可能。更に言うなれば……」


孟獲「言うなれば……」


姜尚「劉備さんのいるこの陣が手薄ってことです」


孟獲「そうか……それもそうな……って! 馬鹿野郎! あっしがいるじゃねーか! あっしは強いんだぞ!!」


姜尚「強いって言っても上には上がいますからね。張飛に勝てますか?」


孟獲「手を洗わなくて汚いから無理」


姜尚「黄忠さんに勝てますか?」


孟獲「少し臭いから無理」


姜尚「魏延さんに勝てますか?」


孟獲「優しいから無理」


姜尚「馬超さんに勝てますか?」


孟獲「見てると尻の穴が痛くなるから無理」


姜尚「趙雲さんに勝てますか?」


孟獲「なんか青いから無理」


姜尚「では最後に関羽さんは?」


孟獲「それがしって呼び方するから無理」


姜尚「ね?」


孟獲「仕方がねーな……でどうなんだ? 状況はよ」


姜尚「先生、おやっさん、馬謖君が索敵に走っていますが連絡がないところみるとこの戦いは時間稼ぎでしょうね」


孟獲「てことは……」


姜尚「曹操軍は建業攻略の真っ最中ってことでしょう」


孟獲「手遅れじゃねーか!」


姜尚「かも知れません。ですがこの戦いにはまだ……いや止めておきましょう」


孟獲「おめえ……何か一人で納得すること多いな……」


姜尚「立場上、憶測でものを喋るわけにもいかないもので」


孟獲「大変だな……」


馬謖「姜尚! 今、戻った!」


姜尚「馬謖君。おかえり」


馬謖「駄目だな。主要な経路は全て白だ。それと既に皆、それぞれ攻略対象の都市を陥落させたようだ」


姜尚「じゃあ。みんな直ぐに帰還するね。おやっさんと先生は知ってる?」


馬謖「そう言えば見てないな……どうしたんだろ」


姜尚「もしかしたら何か見つけたかも知れないね。後で聞いてみるよ」




 南荊州の攻略は各武将達の力により難なく取り戻した。



 姜尚は陣に帰還するホウ統と孔明を発見し駆け寄る。


姜尚「先生! おやっさん! 探しましたよ!」


諸葛亮「姜尚、丁度これからあなたの元へ向かおうとしていたところです」


姜尚「だとするとやはり何かあったのですね」


ホウ統「まあな。だが期待するものではなかった。曹操軍の動向は一切掴めなかった」


姜尚「では一体何があったのですか?」


諸葛亮「実は奇妙な話を聞いたのです」


姜尚「奇妙な話? 聞かせて下さい」


ホウ統「実は俺も孔明も初めて聞いた話なんだが、この辺りでは割と有名な話らしいんだわ」


諸葛亮「住民の話だと遥か昔、この土地を治めていた楚という大国に言い伝えられた物語のようで」


姜尚「物凄く興味があります! そんな話なら是非、聞かせて下さい!」


ホウ統「建業に向かう準備が先だろ?」


姜尚「馬謖君にお願いしてあります! 段取りだけなら彼は超一流ですから!」


ホウ統「段取りだけならか……見落としていたな……几帳面なところは確かにそうかも知れん」


諸葛亮「時間があまりないので手短に話ましょう。楚と言う大国が越と言う国を滅ぼした話です。越と呉は深い因縁を持ち続け初めは呉の優位もやがて越に敗れ呉は滅ぼされてしまいます。そしてまた時は経ち越は楚に滅ぼされる運命を辿るのですが……実は滅ぼされていなかったのです」


姜尚「それは先生の知る史実と違うと言うことですか?」


諸葛亮「ええ。話を続けます。大軍を率い楚は越に侵攻します。ですが深い霧と白い悪魔が楚の侵攻を跳ね除けます。越は楚に復讐することなくその場で暮らすことに重きを置いたようで楚は越を無視し滅ぼしたことにしたということです。その後も何度か越に侵攻するも全て失敗終わるという物語です」


ホウ統「もうちょっと付け足すとな。白い悪魔と呼ばれる大きな体躯をした部隊は『千艶』と名乗り一騎当千の特殊部隊であまりの強さに楚の将兵も歯が立たなかったそうだ」


姜尚「話は非常に面白いのですが……おやっさんと先生がこんな遅くまで夢中になることではないかと思いますが……」


諸葛亮「話だけなら……ですが、その『千艶』を目撃した者が多数いるのです」


姜尚「え……昔の話ですよね? 今も存在し続けているということですか?」


ホウ統「だから気になったんだよ。曹操軍が『千艶』の存在を知っていて何かしら企んでいるんじゃないかってよ」


諸葛亮「ですがその足取りは結局分からず終いに終わりました」


姜尚「呉の怪物……」


諸葛亮「何か言いましたか?」


姜尚「あっいえ! 何でもありません! みんな待っているでしょうから直ぐに戻りましょう!」

 

 姜尚達は陣に足を向けた。





 

諸葛亮「しかし、これ程早く南荊州を攻略するなんて……戻ったら他の仕事が終わってるっていいものですね」


姜尚「僕の力ではありません。みんなの功績と言えます」


諸葛亮「ふふふ。謙遜しなくとも結構ですよ? それと……」


姜尚「曹操軍の主力が、呉を滅ぼしたことですね」


諸葛亮「敵ながら見事ですね。こんな短期間で一国を滅ぼすだけの軍事力を持っているとは曹操軍やはり油断は出来ません」


姜尚「僕も同じことを考えていました……」


劉備「姜尚君、孔明」


 劉備が現れる。


姜尚「劉備さん……建業の報をお聞きになったのですね」


劉備「呉は劉備軍の同盟国なのに……助けられなかった……」


姜尚「まだ終わっていません。孫権様が生きておられるのなら、また復興されれば良いのです」


諸葛亮「劉備様、姜尚の言う通りです。孫権様の救出に向かいましょう」


劉備「二人とも本当に頼もしいですね」


劉備「孫権殿は大丈夫でしょうか……まさか処刑されたとか」


諸葛亮「おそらくそれは無いでしょう。安易に国の君主を処刑すれば民の反感を買い統治が難しくなります。今は捕らわれたままでしょう」


劉備「良かった。ではまだ助けることができますね」


孟獲「君主さんよー何か呉の武将らしき連中が面会に来てるぞー」


劉備「呉の武将? 通してください」


 陸遜が訪れる。


陸遜「劉備様。曹操軍の猛攻の前に孫権様と多くの将兵が捕らわれました……どうか孫権様を救出する為、お力を貸していただきたいのです……」


劉備「陸遜殿。劉備軍は孫権殿を救出する為にここに居るのです。その願いは必要ありません」


陸遜「では!」


劉備「はい。共に孫権殿を救出しましょう」


陸遜「ありがとうございます! この陸遜も一時、劉備軍にお加えください! それと甘寧と凌凌統も加わらせて頂きます!」


劉備「喜んでお迎えしますよ」


陸遜「直ぐに甘寧と凌統にその旨を伝えて来てもよろしいでしょうか。吉報を待っていると思いますので」


劉備「近くに待機しているようですね。お待ちしております」


 陸遜は甘寧と凌統、そして僅かな兵を迎えに向かった。


諸葛亮「全て捕えられたわけではなかったようですね」


姜尚「はい。これなら何が起こったか答え合わせが出来そうです」


諸葛亮「私たちも向かいましょう」


 孔明と姜尚は陸遜を追いかけた。





 呉の陣営では陸遜の帰りを待っていた甘寧と凌統がいた。


陸遜「甘寧さん、凌統さん、劉備軍は孫権様の救出をご快諾して下さいました」


甘寧「本当か! 聞いたかよ凌凌統! やったな!」


凌統「はしゃぐなよ甘寧。これからが本番なんだ」


陸遜「ふふふふ」


姜尚「陸遜殿、失礼します」


諸葛亮「少しお話をお聞きしたく追いかけて参りました」


陸遜「姜尚殿、諸葛亮殿」


甘寧「ん? 会見にいた天才軍師とその下僕じゃねーか」


凌凌統「甘寧! 失礼だぞ!」


姜尚「お気になさらないで下さい。少し状況を把握したかったので」


甘寧「状況?」


姜尚「周瑜様、率いる呉軍がこのような短期間で敗れた理由です。一体何があったのですか?」


陸遜「それは……」


甘寧「越だよ! 越! くそっあの蛮族が!」


 甘寧は吐き捨てるように言った。


姜尚「越?」


凌統「呉の南に広がる山越と言う蛮族です。長くから呉と争っていたのです」


陸遜「曹操軍の攻撃に備えておりましたが、しばらく沈黙を守っていた越族の急襲にあい……」


姜尚「そう言うことでしたか……何かあるとは思っていましたが……」


諸葛亮「越は呉の後方……いきなり背中を刺されたと言ったところでしょうか」


甘寧「呉軍は混乱しバラバラになった……首都建業まで退却した者はみんな曹操軍にやられちまった。俺達は陸遜の指示で遊撃隊として機を待つことになったんだ」


陸遜「ここは外交を通し孫権様の救出を」


姜尚「それは出来ません」


陸遜「しかし、建業には仲間が捕らわれております!」


姜尚「曹操軍は安易に将兵を処刑しません」


甘寧「何の確証があってそんなこと言ってんだ!」


凌統「甘寧、落ち着けって!」


姜尚「捕虜と言うのは長く捕縛してこそ初めて力を発揮します。長引けば不利な外交を強いれら救出は不可能でしょう」


諸葛亮「そもそも曹操が約束を守るという確証はどこからきているのです? 道がなくなると思考も鈍る。今こそ冷静にならねば孫権様の救出どころではありませんよ? 甘寧殿?」


甘寧「ぐっ! 天才軍師殿の言う通りだ……すまねぇ」


諸葛亮「ふふふ。呉軍最強の男も素直で可愛いではありませんか」


甘寧「ちゃかさないでくれよ!」


凌統「甘寧は可愛いなぁ」


陸遜「可愛いですね」


甘寧「お前等は言わなくていいんだよ!!」


姜尚「とにかく建業に居る間に救出しなくてはいけません。孫権様達を違う場所に移される前に」


陸遜「その通りです……すいません……私の思慮が足りませんでした。外交など時間の無駄ですね」


甘寧「おっおい陸遜、謝ることはねーんじゃねーか? みんなを心配する気持ちは大事だぜ」


姜尚「甘寧殿の言う通りですよ。孫権様達の安否を優先しれば陸遜殿の考えも悪くはありません」


陸遜「あっありがとうございます……」


姜尚「では、僕はこれで……先生、行きましょうか」


凌統「姜尚殿、諸葛亮殿! この甘寧は口は悪いが呉軍で最も優しい男です。宜しくお願いします」


甘寧「凌統! いらんこと言ってんじゃねー!」


姜尚「はははは、甘寧殿。孫権様を共に救出しましょう」


諸葛亮「凌凌統殿。甘寧殿を気遣う友情を感じる言動、呉の絆を見たように思えます。これから宜しくお願い致しますね」


甘寧「あっああ。分かった……ありがとな姜尚!」


凌統「諸葛亮殿! その絆の強さは次の戦いにてご覧いただきます!」


陸遜「おかしいです……急に……胸が苦しい……私は一体……」


 立ち去る姜尚の背中に陸遜に心境の変化があった。

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