雷編 羌族同盟戦 下
雷編 羌族同盟戦 下
模擬戦が終わり劉備軍は天水に帰還する。
姜尚「ちょっと危なかったですが、これで同盟が認められたでしょうか? 」
馬超「はい。羌族に同盟が認められました。劉備軍であれば同盟を結んでも良いとのことです」
姜尚「馬超さん。ありがとうございます。馬超さんがいなければ同盟は難しかったでしょう。これで長安包囲網が完成しました」
劉備「ではこれで羌族の方々が味方に……新たに仲間が増えるのは嬉しいですね」
馬超「劉備様。それは羌族も同じです。劉備様と共に戦えることを喜んでいます」
姜尚「劉備さん。此度の戦いですが周倉君と魏延さん、そして馬謖君の功績は非常に大きいものでした。特別に報奨を出して頂けませんか」
劉備「そうでしたか。ではその様に取り計らいましょう」
張任「わっ私も一生懸命戦ったのですが……」
姜尚「張任さんは命令違反をしたのでなしです」
張任「命令違反!? そんな覚えは! あっ……溝堀か……」
姜尚「はい。早い段階で決着が着くところを間延びさせてしまいましたしね」
張任「ううっ……以後、気を付けます……」
劉備「では羌族の方々と一席、設けましょうか」
馬超「それは皆、喜ぶでしょう」
劉備「何でも成都から沢山のお酒が届いているようなの。孔明から全部空けてるようにと言われて。姜尚君も一緒にどうですか?」
姜尚「いえ。僕ははやることがありますので失礼します」
劉備「姜尚君……」
姜尚の去る姿に劉備は寂しさを感じた。
姜尚「矢を作るなんて久しぶりだな……これをこうするのか……」
姜尚は矢尻を矢柄に取り付ける。罰として矢を一人、焚火を起こし作業を進める。
周倉「おい姜尚」
姜尚「周倉君? どうしたの?」
突如現れた周倉に姜尚は驚く。
周倉「おいらも矢を作りたくなったんだ」
姜尚「そっそうなんだ」
周倉「うん。こんなの分担して作れば直ぐに終わるって」
孟獲「おーい姜尚。あっしにも矢を作らせてくれ」
姜尚「孟獲さんまで……」
孟獲が現れる。
孟獲「一人でしみったれた作業してんな。みんなで作れば楽しいものよ」
姜尚「…………」
馬超「姜尚殿」
趙雲「自分達も混ぜて貰おう」
姜尚「馬超さんに趙雲さん!」
馬超と趙雲が現れる。
馬超「何だか面倒なことに巻き込まれたらしいじゃないか?」
姜尚「ええっちょっと」
趙雲「自分達に相談してくれれば良かったのに」
姜尚「すみません。次からそうします」
馬岱「馬謖! 早く来いって!」
馬謖「いや! しかし!」
馬岱「いいから! ちゃんと謝りたいって言ってただろう!」
馬謖「馬岱! 待ってくれ! まだ心の準備が!」
馬岱と馬謖が押し問答している。
姜尚「馬謖君。僕は怒ってないよ。むしろ巻き込んでしまって申し訳ないと思っている」
馬謖「すまない姜尚……完璧な策だと思ったんだが……」
馬岱「何だ、ちゃんと謝れたじゃん」
馬謖「うるさい!」
馬謖は馬岱に怒る。
姜尚「ふふふふ」
姜尚は馬岱と馬謖の心配してくれる気持ちに感謝した。
孟獲「みんなでこう過ごすのも悪くねーな」
馬超「このゆっくりとした時間がいい」
趙雲「しかし、姜尚が女性陣の寝こみを襲うと聞いた時は笑ってしまった」
周倉「おいらはちょっと驚いたよ。まさか姉御の所に行ってないだろうなーなんて」
馬岱「関羽殿の所へ? 死にに行くようなものでしょうに」
「全くだ」
全員の声が揃う。
孟獲「でもよー。他のみんななら、もし行くとすれば誰の所へ行くんだ?」
周倉「おいらは姉御の所だなー」
孟獲「いきなり死にに行くのかよ」
馬謖「私なら先生の所ですね。教えを乞いに行きます」
周倉「スカした答えだな馬謖」
馬謖「何を言っている周倉。いきなり寝込みを襲うなんて全然なっていない。まずは距離を少しづつ縮めてだな」
ホウ統「せっかくだから酒を持ってきた。こうして皆で飲むのも悪くないだろう」
ホウ統が酒を持って現れる。
姜尚「おやっさん! てっきり羌族との宴席に行っているのかと」
ホウ統「飲めればいいってもんじゃない。お前達と飲める酒が最高に旨いんだ」
孟獲「流石はおやっさんだ!」
姜尚「僕はお酒はちょっと……まだ刑罰の途中ですし」
ホウ統「それもそうか残念だな」
馬超「俺は一杯いただこう」
趙雲「自分もいただきます」
馬岱「俺もお酒は好きじゃないから」
ホウ統「まぁ飲みたい奴だけで飲めばいい」
孟獲「じゃー次は馬岱だな。お前なら誰の所に行君だよ?」
馬岱「それは黄忠さんかなー」
馬超「そうなのか? 以外だな」
ホウ統「あの子はキツイぞー」
馬岱「そうなんですか?」
ホウ統「見てれば分かるさ」
馬岱「じゃー兄貴はって……しまった愚問か……」
馬超「女の所になどいかん! 何が楽しいのか全くわからん!」
孟獲「そっそうか……じゃ趙雲はどうなんだ?」
馬超「!」
趙雲に話を振られたことに馬超は反応する。
趙雲「じっ自分は……分からない……今までそんなこと考えたこともないからな」
馬超「ふー」
馬超は何故か安心する。
孟獲「趙雲つまんねーな!」
趙雲「では孟獲はどうなんだ!」
孟獲「あっしは日替わりで全員のところへ行くぞーー! はっはっはー!」
姜尚「孟獲さんらしいですね。毎日、生傷を増やすなんて……七日で致命傷になりますよ」
周倉「後はおやっさんですね」
ホウ統「俺か? 俺は女のとこより酒のある所へ行くだけさ」
姜尚「きっとそう言うと思いました」
ホウ統「姜尚! 男同志の熱い友情程、悩みを吹き飛ばしてくれるものはないぞ!」
姜尚「はい! みなさん、ありがとうございます!」
孟獲「みんなで楽しく過ごそうや! はっはっはっ!」
焚火を囲み男性陣は楽しい夜を過ごそうとしていた。
張任「私も混ぜてください……」
突如、張任が死んだような眼をし現れる。
「張任!」
突然の張任の登場に皆が驚く。
姜尚「どっどうしたんですか!」
張任「女性陣が集まった時……私だけ呼ばれなかったんです……私……女として見られてない……うっうううう」
張任の目から大粒の涙が零れる。
ホウ統「しっしまった……完全に忘れていた……」
ホウ統は青ざめる。
趙雲「ばっ馬超! 何か言って張任殿を励ましてくれ!」
趙雲は馬超に張任を励ますように伝える。
馬超「えっあ……分かった! 張任殿は誰よりも男らしいと思うぞ!」
孟獲「馬超! お前馬鹿か!」
馬超の励ましに孟獲は突っ込む。
張任「うわぁああああん!」
張任の涙は止まらない。
周倉「張任殿はいい女だと思うぞ! うん、なぁみんな!」
「もっもちろん!」
男性陣は事態の収束に努める。
張任「ほんとに?」
張任は涙目で男性陣を見る。
趙雲「可憐な弓使いで味方だけではなく敵をも魅了する素敵な女性ではないか」
馬岱「そうそう! なんて言っていいか分からないけど戦う女って感じ!」
孟獲「おうよ! 劉備軍の女は身体に特徴があり過ぎるんだ! 胸がデカいかぽっちゃりか、はたまだ幼すぎるとかよ!」
張任「じゃあ……私は……」
馬謖「完璧な体系をしている。張任殿を見て股関を熱くしない者などいないさ」
「こいつ……」
馬謖の生々しい表現に男性陣は呆れと怒りが湧く。
張任「本当ですか? じゃあ……みんな今も……」
馬謖「本当だとも! 先程も、みんなで夜這いするなら張任殿の所だと言っていたところで下半身を隠しているところだ!」
「い!?」
男性陣は馬謖の言葉に驚く。
張任「今の反応……やっぱり嘘ですね! うわぁあああん! みんな嘘つきだぁああ!」
張任は再び泣き出す。
馬岱「いやいや本当だって! 順番を決めてたんだから!」
孟獲「おおよ! 一番は馬超ってさっき決まったんだ! こんな獣の集まりに長居は無用だ張任! 早く戻った方がいい!」
馬超「ちょっ!」
趙雲「馬超! ここは!」
馬超「ぐっ……」
孟獲の振りを馬超は我慢する。
張任「そうですか……少し自信が付きました……これで今夜は良く眠れそうですが……馬超殿……私の所に来るなら趙雲殿も一緒に……私は横で……」
馬超「え? あっああ……」
張任はその場を去った。
ホウ統「最後はどういう意味だ……」
孟獲「あっしにも分からねー。だがとてつもない恐怖を感じたぜ……」
姜尚「人は見かけによりませんね」
馬超「子龍……いか……ないよな」
趙雲「当然だ。酔い潰れたことにしよう」
馬岱「しかし、何とか難を逃れることが出来た……」
「はぁ……疲れた……おい馬謖!」
男性陣は馬謖を睨む。
馬謖「へっ変なこと言いましたか?」
馬謖は意味が分からない。
男性陣の宴を眺める者達がいた。
張飛「何だか楽しそうにしてるなーいいなー」
黄忠「本当ですね……でもここで行ってしまうと姜尚が罰を……」
魏延「あれ? 何で張任さんが……あっでも帰るのかな?」
諸葛亮「ふむ、少し聞いてみましょう。何を話してたんでしょう?」
張飛達が男性陣の飲み会を眺めていた。
張飛「張任。男連中と何話してたのー?」
張任「あっ……ちょっと照れくさいのですが……」
諸葛亮「どうかしたのですか?」
張任「みんなが……私のことをお嫁さんにしたいと……」
「ぶーーーーー!」
張飛達は吹き出す。
諸葛亮「そっそこに姜尚は……」
張任「もちろん入っています……」
黄忠「あの男……もう殺してしまおう……」
張飛「張飛が殺るから……」
魏延「不定証約は解消ですね……燃えてきました……」
張飛「兄ちゃん! 何考えてんの!! 夏候惇の馬に乗った時もさ!」
諸葛亮「何をしたのですか!!」
張飛「後ろに乗った時、夏候惇の身体に手をまわしてた……多分、おっぱい触ってたよ」
当然、張飛の想像でそんな事実はない。
諸葛亮「ほう……夏候惇の……姜尚はそんなこと私に何の報告もしていませんね」
黄忠「不潔過ぎる……最低……もし張飛の身体に触れば殺してやる……」
諸葛亮「え……」
孔明は違和感を感じた。
諸葛亮「まぁ、ここで何を言っても始まりません。後でホウ統に聞いてみましょう。張飛殿も魏延も早く休みなさい」
張飛「うん」
魏延「じゃあ。行きましょうか」
張飛と魏延は去る。
黄忠「では私もこれで」
諸葛亮「黄忠殿。少しお話ししてもよろしいですか?」
黄忠「はい……何か?」
諸葛亮「率直に聞きます。張飛殿に特別な感情を持っていますよね?」
黄忠「え!? そんな……どうしてそんな風に思うのですか」
諸葛亮「言動から分かります。ですが……何というかそれだけではないようなので」
黄忠「孔明軍師ですから言わさせて頂きます。張飛一筋です。ですが男性陣の中では姜尚は……まだいい方かなと……」
諸葛亮「なるほど両刀の気質ありか……」
孔明は呟く。
黄忠「内緒に! 内緒にしておいて頂けますか!」
諸葛亮「当然です。色恋にとやかく言うことではありませんから。折角だしもう少し聞かせて下さい。張飛殿は姜尚に好意を持っていることは明白です」
黄忠「それは知っています。張飛も姜尚も好きです。出来るなら応援したいと思うのですが……それだけは絶対にさせたくない……」
諸葛亮「頭で分かっていても心が追い付かないようですね」
黄忠「私、自分が怖い! 張飛と姜尚がくっついて私一人だけに取り残される様な事態が! もし、そうなったら……二人とも殺してしまうかもしれない……」
諸葛亮「かなり闇が深いようですね。ですがあの二人がくっつくことはありません」
黄忠「本当ですか!」
諸葛亮「ええ。理由は言えませんがそれだけはお伝えしておきましょう」
黄忠「良かった……誰にも言えなくて苦しかったんです」
諸葛亮「ふふふ。それは良かった。さぁもう休みましょう」
黄忠「はい!」
黄忠は張飛と魏延を追いかける。
諸葛亮「姜尚は私に首ったけ……その事実も知らないなんて……少し可哀想ですね」
幻想にふける孔明は勝ち誇る。




