第70話 ──土と影、そして不穏──
第70話 ──土と影、そして不穏──
翌日のアークライト学園。
午前中の騒ぎが落ち着くどころか、
校内の空気はさらにざわついていた。
「なんか……でかいの来てなかった?」
「土色の制服……あれグラウンドフォージだろ」
「うちの学園、今日どうなってんだよ……」
玲奈
「……来たみたい。」
悠斗
「今度はどこだよ……」
オルタ
「土の匂いがする。」
悠斗
「匂いでわかるのかよ……」
中庭の方から、
地面そのものが歩いてくるような重い足音が響いた。
巌道ガロウ。
グラウンドフォージ魔法学院の代表。
岩のような体格。
土色の制服。
胸には“地脈”の紋章。
ガロウ
「……ここがアークライトか。」
玲奈
「(……大きい……)」
悠斗
「(……強そう……)」
ガロウは悠斗たちの前に立つと、
静かに名乗った。
ガロウ
「グラウンドフォージ代表、巌道ガロウ。」
悠斗
「ど、どうも……」
ガロウ
「天城煉から聞いた。
“空間を欠損させる妙な魔法師がいる”と。」
悠斗
「あいつほんと余計なことばっか言ってんな……!」
玲奈
「(天城さん、情報拡散力が異常……)」
ガロウは悠斗をじっと見つめた。
ガロウ
「……細いな。」
悠斗
「ほっとけ!」
ガロウ
「だが、細いから弱いとは限らん。
土は、見た目で判断しない。」
オルタ
「(この人……悪い人じゃない)」
ガロウは軽く頷き、
そのまま去っていった。
悠斗
「……なんなんだ今日は……」
玲奈
「あと一校だよ。」
悠斗
「まだ!?」
オルタ
「影の学園。」
悠斗
「……嫌な予感しかしない。」
その瞬間――
廊下の照明がふっと揺れた。
まるで光が“怯えた”ように。
玲奈
「……来る。」
悠斗
「おい、なんだよこの空気……」
廊下の奥から、
黒い制服の生徒が静かに歩いてきた。
足音がしない。
影が影を連れてくるような、異様な存在感。
黒瀬イツキ。
シャドウクレスト魔法学院の代表。
イツキ
「アークライトの……空間欠損。」
悠斗
「……またかよ。」
イツキ
「天城煉が言っていた。」
悠斗
「アイツのせいかよ!!」
玲奈
「(天城さん、今日だけで何人に話したの……)」
イツキは薄く笑った。
イツキ
「影は、欠損と相性がいい。
交流戦、楽しみにしているよ。」
悠斗
「楽しみにすんな……」
イツキ
「ふふ。」
影に溶けるように、
黒瀬イツキは姿を消した。
悠斗
「……なんなんだ今日は……
俺、なんかしたか……?」
玲奈
「悠斗が“異質”だからだよ。」
悠斗
「異質って言うな……」
オルタ
「ふふ。」
その時――
悠斗
「……っくし!」
玲奈
「大丈夫? 風邪?」
悠斗
「いや……なんか誰かに噂されてる気がして……」
玲奈
「交流戦が近いから、
名前が出ることもあるんじゃない?」
悠斗
「いや、俺そんな目立つことしてねぇし……」
オルタ
「悠斗のくしゃみ、可愛い。」
悠斗
「可愛いとか言うな!!」
玲奈
「ふふ……」
こうして――
六大魔法学園の代表がすべて揃った。
学園は交流戦一色に染まり、
表では賑やかな準備が進んでいく。
だがその裏で、
誰にも気づかれない“影”が静かに動き始めていた。
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◆ 同じ頃──アークライトから遠く離れた地下施設
外界から完全に遮断された無音の部屋。
円卓に三つの影。
《ヴェルス》。
円卓中央には、
アークライト学園の映像。
六校の代表たち。
そして――篠原悠斗。
女B
「……揃ったわね。
“収穫”には十分。」
男A
「才能の密度が高い。
この規模は十年に一度だ。」
男C
「だからこそ、
静かに摘み取る価値がある。」
映像が切り替わる。
破綻現象の波形。
女B
「篠原悠斗。
破綻は“魔法体系の外側”。
国家魔法局は理解していない。」
男A
「我々は理解している。
破綻は資源だ。」
男C
「扱い方を誤れば世界が穴を開ける。
だからこそ、国家の手に渡る前に確保する。」
女B
「作戦名は──
《サイレント・ハーベスト》。」
男A
「静かに、必要な素材だけを収穫する。」
男C
「世界は外れ値を必要としている。」
女B
「ゆうとくん。
今度こそ逃さないわ。」
三つの影が立ち上がる。
静かに。
淡々と。
まるで人間という概念を忘れたように。
そして――
奪取作戦が動き出した。
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悪の組織はかっこいいorやられ役の二択と相場が決まっている




